ミトンとふびん の商品レビュー
何か(主に誰か)を失い傷を負った女性たちが旅に出るなどして小さな幸せを見つける物語。6編の短編が収録されていて、表題作の「ミトンとふびん」と「珊瑚のリング」が良かった。 自分も同じような状況にあれば大きな救いになったかもしれないが、幸いにも今はそうではないこと、ところどころ登場...
何か(主に誰か)を失い傷を負った女性たちが旅に出るなどして小さな幸せを見つける物語。6編の短編が収録されていて、表題作の「ミトンとふびん」と「珊瑚のリング」が良かった。 自分も同じような状況にあれば大きな救いになったかもしれないが、幸いにも今はそうではないこと、ところどころ登場人物の台詞回しが気になったり、あだ名が気になったりと、違和感を感じる作品もあったことでトータルでは星3つ。 あとがきは良かったものの、文庫版あとがきで作者のマイナスの感情が語られているのが作品に合わない印象を受け読後感が良くなかったのもマイナス。 でもいつか救いを求めたい時が来たらまた手に取り好きな短編を読むこともあるかもしれない。
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たぶんいまいちばん出会いたい本だったのでありがとうというきもち うっすらとした死、すこし浮いたままつづく人生
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傷心旅行記の短編集のようでした。 隣人の死による悲しみを背負っている話が多かったので、非日常の旅行を通じて気持ちを切り替えるということかと思っていましたが、あらすじまで読んで、気持ちを切り替えるというよりかは、そういう人に寄り添うような話の方が適切かなと思いました。 ばななさん...
傷心旅行記の短編集のようでした。 隣人の死による悲しみを背負っている話が多かったので、非日常の旅行を通じて気持ちを切り替えるということかと思っていましたが、あらすじまで読んで、気持ちを切り替えるというよりかは、そういう人に寄り添うような話の方が適切かなと思いました。 ばななさんはキッチン以来でした。キッチンでも異様な設定ですが、登場人物が、私なんて、、、というネガティヴでも内省を繰り返して読者を主人公の立場に無理矢理引き寄せるでもなく、現実だったら苦しい設定でも、各キャラクターが軽やかで、そこが読んでいて心地よく感じていました。今回も亡くなった人に似ている人を妻に選ぶなど、設定は変わっていますが、キャラクターが軽やかでした。パンチのあるキャラもいますが物語として必要でそれがあるから全体のバランスが取れているようで。 筆者もそういう性格なのかなと思っていたら、あらすじを読んでとても繊細な印象をうけました。描きたかったような、よりさりげなく、より軽くを意識して描いているからキャラの印象が心地いいのだと思いました。短編の中にあった、メーターの真ん中のような人です。 最近のドラマでもありましたが、すぐに言葉に出るまでに時間がかかるだけでしっかり考えている人で、さらに大事な言葉だけを紡いでいる人なのかなと思いました。 タイトルの言葉選びも好きです。短歌も詠んで欲しいなぁ。 本書を読んで、健やかな時間の使い方というのがとても良いなぁと思ったので、自分もやってみたいと思います。
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読んでたら、心にジンとくる言葉がたくさんで、ふわっと軽くなったり、わかるわかるって刺さってみたり、、生きることに寄り添う本でした。 人生の深みや愛、何かを感じたい時に。 お気に入りの本になりました。 p.32 あなたは私の人生そのものだったの。… …あなたが生きているだけで誇ら...
読んでたら、心にジンとくる言葉がたくさんで、ふわっと軽くなったり、わかるわかるって刺さってみたり、、生きることに寄り添う本でした。 人生の深みや愛、何かを感じたい時に。 お気に入りの本になりました。 p.32 あなたは私の人生そのものだったの。… …あなたが生きているだけで誇らしくて、あなたはほんとうにお気に入りの人に成長して、今思うとあなたを愛したことが私の人生の全部だった。あなたがいなかったら私は何も知らないで死んでいくところだった。それくらい毎日、毎日嬉しかった。 p.58 私は私を信頼できない人に渡してはいけない、母にこんなにだいじにされているのだから、大事にしてくれない人には触らせてはいけない。その代わりにもしも私のいちばんだいじにしているのと同じものをだいじにしている人を見つけたなら、その人の言うことは受け入れて大きくなっていこう。たとえ世界が違っても、男女の差で全然わからないことがあっても、浮気されても。ちゃんといやなものはいやといいながら、距離をだいじにとりながら、なにかが生まれるスペースを決してつめることはせず、他人と他人のままで生きていきたい。 p.68 恋人や夫を女友だちの代わりにしちゃう人は多い。 男は男といる方が楽しいし、彼女のようなものはただいるだけでいいのだ。好きだと言うことと、たまに会えるというだけで。自分がすごく好きと感じるときだけで。でももっと大きな責任感のようなものを自分の恋人には持っていて、それが男の愛の深みなのだ。 p.69 自分のほうが圧倒的に力が強くて今すぐに相手を壊してしまえるということがわかっているからこそ、それをしない自分というものの中にこそ、相手に対する圧倒的な愛情の存在を感じる。 p.242 どんなに他人と親しくなり、その人のことをわかったつもりになっても、結局その他人とは自分の中に生きているその人にすぎない。その人本人ではない。
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ここではない場所、がもたらしてくれる癒しのようなもの。旅先で食べる食事のぬくもり、触れる人々のやさしさ。痛みや悲しみを抱えて向かう旅でさえ、いつも何かを受け取り、満たされ、すこし疲れて、でもまた次の目的地を探す。 高級スーパーで、週末の宴のためにわくわくとお買い物をする感覚を「単...
ここではない場所、がもたらしてくれる癒しのようなもの。旅先で食べる食事のぬくもり、触れる人々のやさしさ。痛みや悲しみを抱えて向かう旅でさえ、いつも何かを受け取り、満たされ、すこし疲れて、でもまた次の目的地を探す。 高級スーパーで、週末の宴のためにわくわくとお買い物をする感覚を「単調な生活を楽しくする」と言語化してくれたのがなぜかすごく印象深い。 「人類が週末に向けて準備したいことはどの国でもみな同じだ」(「カロンテ」p.176) 「カロンテ」とは三途の川の守り人のこと。 仁木順平さんの装丁もとても美しい。朝と夜と、山と海と、四つの季節が絶妙に入り交じる色彩。
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相変わらずだった。 男も女も子供も年寄りも 誰も彼もが美しくてモテモテで 恋人ふたりだけの清らかな世界に けっ!と嘆きつつ このぼんやりとあたたかく 春の陽だまりにまどろむような感じは まさに吉本ばななだなー と久しぶりに読んで思った。唯一無二。 そして、やっぱり死人が多い。 台...
相変わらずだった。 男も女も子供も年寄りも 誰も彼もが美しくてモテモテで 恋人ふたりだけの清らかな世界に けっ!と嘆きつつ このぼんやりとあたたかく 春の陽だまりにまどろむような感じは まさに吉本ばななだなー と久しぶりに読んで思った。唯一無二。 そして、やっぱり死人が多い。 台北の賑わいやヘルシンキの凍える空気 八丈島の海風なんかをまざまざと感じ ちょっと旅に出たくなったりした。
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お土産を選ぶ その行動だって当たり前なんかじゃなくて、待っている人がいてくれることがどれだけ幸せなのか噛み締めたい 吉本ばななさんの文章、独特で面白かった
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旅の話、という背骨に、その旅をする人たちの思いや、くぐり抜けてきた別離の痛みなどが肉付けされて、たくましく生きていく生き物となった、その美しさを、私はこの短編集に見いだしました。あとがきの冒頭の「登場人物それぞれにそれなりに傷はある。しかし彼らはただ人生を眺めているだけ。」という...
旅の話、という背骨に、その旅をする人たちの思いや、くぐり抜けてきた別離の痛みなどが肉付けされて、たくましく生きていく生き物となった、その美しさを、私はこの短編集に見いだしました。あとがきの冒頭の「登場人物それぞれにそれなりに傷はある。しかし彼らはただ人生を眺めているだけ。」ということなのですね。傷ついた登場人物が癒しを得るという筋の小説は多く書かれていますが、ここまで到達した作品は、実はあまりないように感じていました。さすがは吉本ばななさん。ぜひ「次の山を登り」きるように、次作にお取り組みくださいますように!
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大事な人を亡くしても、近しい人との関係性が変わっても、人生は続いていく。 いろんな人間関係があっていいんだな、と思えた。
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久しぶりの吉本ばななさんの作品を読みました。 大切な人を失ったけれど、まわりの優しい人達に救われていく短編集。 現実はそんなに都合よく、素敵な優しい人なんてなかなかいないよなぁとは、ちょっと思いつつ、ばななさんならではの文章を味わいました。 私は、「珊瑚のリング」が一番現実味があ...
久しぶりの吉本ばななさんの作品を読みました。 大切な人を失ったけれど、まわりの優しい人達に救われていく短編集。 現実はそんなに都合よく、素敵な優しい人なんてなかなかいないよなぁとは、ちょっと思いつつ、ばななさんならではの文章を味わいました。 私は、「珊瑚のリング」が一番現実味があって、ほろっとした作品でした。
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