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一汁一菜でよいという提案 新潮文庫
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商品詳細
| 内容紹介 | |
|---|---|
| 販売会社/発売会社 | 新潮社 |
| 発売年月日 | 2021/10/28 |
| JAN | 9784101033815 |
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一汁一菜でよいという提案
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一汁一菜でよいという提案
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商品レビュー
4.2
180件のお客様レビュー
今年のベスト本かもしれない。食に対する価値観が変わった本。毎日の自炊ってとても大切で、尊い行為なんだな。 ご飯と味噌汁とあれば漬物だけでいい、しっかりと自分の手で食事を毎日紡いでいこうと思えた。
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本書を読んでまず驚いたのは、「ただの食事」と思っていたものが、暮らしそのもの、生き方そのものとこんなに深くつながっていたのか、ということでした。土井先生が紹介する、家庭料理を作ってきたお母さんたちの「救われた」という声や、さまざまなシーンで料理に関わってきた人たちの価値観が変わっ...
本書を読んでまず驚いたのは、「ただの食事」と思っていたものが、暮らしそのもの、生き方そのものとこんなに深くつながっていたのか、ということでした。土井先生が紹介する、家庭料理を作ってきたお母さんたちの「救われた」という声や、さまざまなシーンで料理に関わってきた人たちの価値観が変わっていく様子に、「料理の捉え方が変わると、暮らしの向きも変わるんだ」と実感させられました。 一汁一菜は、流行りの“丁寧な暮らし”のファッション的なムーブメントではなく、日本の「晴れと褻」の感覚や、民藝、縄文文化までさかのぼるような、文化の根っこの部分から提示されている暮らしの哲学だと感じました。足し算・掛け算で「何品も作らなきゃ」と力んでいた自分に対して、「味噌汁に旬の野菜や少しの肉を入れて、きちんとご飯を炊けば、それで十分」という引き算の提案は、とても優しく、しかし芯の通ったメッセージでした。 結婚してから、自分が作りたいもの・食べさせたいものに意識が向きすぎて、結局コンビニや外食に頼ってしまう日も多くありました。作り手の顔が見えない食事から同じように栄養を摂るのか、それとも味噌汁一つでも、自分や家族のために台所に立つのか。その違いは、健康面だけでなく、暮らしへの肯定感にもつながるのだと教えられました。 また、ここ数十年のファストフードやチェーン店化の広がりと、糖質・脂質の過剰摂取といった現代の食事情への視点も興味深かったです。ジャンクフードの「その場の快楽」も知っている30代半ばだからこそ、日々の軸足は一汁一菜のような、心身ともに心地よい食に置きたいと思うようになりました。 料理が苦手な人や、毎日のごはん作りに疲れている人はもちろん、「自分にとっての心地よい暮らしとは何か」を考えたい人にもすすめたい一冊です。いい食事を通して、いい人生を少しずつ編み直していく。その入り口に、この本は静かに、けれど確かに立っていると感じました。
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一汁一菜…味噌汁とお漬物だって立派な家庭料理なのだと、日本の食卓史の変遷、器を選ぶ楽しみ、ハレとケの概念など様々な観点から教えてくれる本。 昭和時代の料理教室ブームや洋食の普及、戦後日本の食卓の変化の話が興味深いものだった。アメリカの市場成長戦略としてパン食を普及させたGHQだ...
一汁一菜…味噌汁とお漬物だって立派な家庭料理なのだと、日本の食卓史の変遷、器を選ぶ楽しみ、ハレとケの概念など様々な観点から教えてくれる本。 昭和時代の料理教室ブームや洋食の普及、戦後日本の食卓の変化の話が興味深いものだった。アメリカの市場成長戦略としてパン食を普及させたGHQだったり、米食低能論だなんて馬鹿げた運動が行われていたり。おかげで現代にすっかりパン食が根付いているではないか。 私もパンをはじめ洋食は大好きだが、やはりお米と味噌汁、納豆など、和食をいただくとホッとする。特別に美味しいものではない。文中で述べられている通り、「フツーに美味しい」がしっくりくる。 だけど、温かいお味噌汁を啜ったときに感じる全身の細胞の一つ一つまで染み渡る安らぎ。ああ、これが著者の言う身体が喜ぶ安心感か。 確かにお味噌汁は毎日いただいても飽きる事がない。 味噌のある国に生まれてよかったな、微生物の力はありがたいなと心から思う。 著者は、一汁一菜は決して手抜きではないと言ってくれる。 ご飯と味噌汁があればいいと言ってくれる。 だし汁の代わりに野菜を油で炒めてもいいと言ってくれる。 一菜は味噌そのものでもいいと言ってくれる。 旬を味う楽しみを教えてくれる。 恋人や将来伴侶となった人には料理をきちんと作ってあげたいと思っていた。決して一ヶ月の中で献立がかぶらないように、2、3品目は作ってあげたい、いや、作らなければと思っていた。そしてそれが満足にできない自分を責めていた。 本当は料理なんて大嫌いなのに。 結局結婚することはなかったが、自分のための料理であっても簡単に済ませるのは、なんとなく一女性としてダメなんじゃないかと感じていた。 そんな罪悪感をすっかり晴らしてくれた本書に感謝している。 読み終えて、これからはお味噌汁しか作らないと宣言した。 もし気が向いたら他にも何か作るかもしれないけどね。
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