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ペスト 岩波文庫
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商品詳細
| 内容紹介 | |
|---|---|
| 販売会社/発売会社 | 岩波書店 |
| 発売年月日 | 2021/04/16 |
| JAN | 9784003751329 |

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商品レビュー
4
25件のお客様レビュー
岩波文庫の本読む時って難解さに挫けない覚悟と、時の洗礼を受けた名著に対峙する心構えが必要という偏見があるのですが、「ペスト」は何でもっと早く読まなかったんだと拍子抜けするくらい読みやすかった。し、読みやすさの割に合わないくらい哲学的。 ある街をペストが襲った1年弱の話を群集全体の...
岩波文庫の本読む時って難解さに挫けない覚悟と、時の洗礼を受けた名著に対峙する心構えが必要という偏見があるのですが、「ペスト」は何でもっと早く読まなかったんだと拍子抜けするくらい読みやすかった。し、読みやすさの割に合わないくらい哲学的。 ある街をペストが襲った1年弱の話を群集全体の描写と具体的な個人の描写を交えて描いてるから、全体的な様子も細かいリアリティもイメージできて、読み応えがあった。ヴィクトール・フランクルの「夜と霧」みたいに、壮絶なことが目の前で起こっているのに職業的医師の視点を通してるから、心に訴えようとするエピソードというよりも、淡々と事実が記録されていくおかげで目を逸らさず読ませる巧さがある。 解説読んでなるほどなと腑に落ちたのが、「ペスト」という多殺性・致死性の高い感染症の話のようで、第二次世界大戦時のナチス・ドイツのファシズム下の戦争で生活を極度に制限され奪われた比喩でもあるということ。 ペストと戦争に、自由を奪われることや理不尽さが日常になるという共通項を見つけて物語に昇華するという文学の力を思い知りました。 1913年生まれのカミュ自身、幼少期に第一次世界大戦で父が戦死、第二次世界大戦ではフランスのレジスタンス活動に参加、結核を患ったこともあるという経歴。 当事者だからこそ過度に装飾し過ぎず人類の悲劇を書けただろうし、災禍の中の人間が持つ問いが単なる感染症への向き合い方ではなく、「理不尽そのものにどう向き合うか」という普遍的なものになっている。 ペストが消滅したわけではないといった文末で締められているが、生きている限り何度でもやってくる厄災や理不尽の中で、リウー医師のように自分ができることを積み上げていくことが唯一の抵抗となるという価値観にはすごく共感することがあった。 自分が今厄災の中にいないから呑気に言えてるだけかもしれないけど、苦痛や不条理はできるだけすぐ取り除きたいから、劇的なショートカット(当時だと神に祈って救済してもらうとか)に意識を向けることとか、苦しさの中に生きる意味を見出すみたいな自己防衛のためのポジティブ変換じゃなく、できることをやるだけという禅的な考えを持ち続けられるようになりたい。 いい本って、読み終わると荒削りだった自分のぼんやりした価値観をシャープにしてくれるような素晴らしい彫刻刀になるなと感じる一冊だった。 「人生に意味を見つけよう」「生まれてきた意味があるはず」という考え方より、「人生は意味を与えてくれないけど、それでもできるだけ誠実に生きよう」っていう考え方の方が自分としてはしっくりくることがわかった。いい考え事ができた時間だった。
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読んでいて、なんとなく「夜と霧」ぽさがあるな…?と思っていたら、ナチスや第二次世界大戦の暗喩?みたいな感じで、ペストは書かれていたのね。 物語なんだけど、起承転結もあるんだけど…なんだか、史実に基づいているかのような奇妙な感覚 病気の描写や罪なき子どもたちが亡くなる場面は辛かった...
読んでいて、なんとなく「夜と霧」ぽさがあるな…?と思っていたら、ナチスや第二次世界大戦の暗喩?みたいな感じで、ペストは書かれていたのね。 物語なんだけど、起承転結もあるんだけど…なんだか、史実に基づいているかのような奇妙な感覚 病気の描写や罪なき子どもたちが亡くなる場面は辛かった。 ペストの流行を通じて、人々が変わっていく中での、生とは、罪とは、というテーマも面白かった。 教養のためにも、読んで良かったな、と思った。 解説や注釈も深く、カミュの思想が広く取り上げられた作品なんだとわかった。
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コロナ下によく読まれ、店頭から消えたカミュの『ペスト』を今更ながら読んだ。 当時、私も読もうと本屋に行ったのだが、すでに在庫はなく、代わりにデフォーの『ペスト』を読んだのだ。 デフォーの方は自身の幼いころに、実際にロンドンでペストが流行った時のロンドンの様子を、聞き書きや資料をも...
コロナ下によく読まれ、店頭から消えたカミュの『ペスト』を今更ながら読んだ。 当時、私も読もうと本屋に行ったのだが、すでに在庫はなく、代わりにデフォーの『ペスト』を読んだのだ。 デフォーの方は自身の幼いころに、実際にロンドンでペストが流行った時のロンドンの様子を、聞き書きや資料をもとに書いた史実だが、カミュの方はフィクションである。 簡単明瞭に記された史実の重みに比べれば、フィクションである本書の詳細な描写が却って状況を軽く感じさせるように、最初は思えた。 が、実際にコロナのパンデミックを経験した後に読んだことで、ペストのために町に閉じ込められてしまったオランの町の人々の閉塞感や、不安や苛立ちなどがまざまざと思いだされて、カミュの創造したオランの人々が、身近に感じられるのだった。 もちろん現実のコロナ下の日本との違いは多々ある。 通信手段が手紙しかない彼らと違って、私達にはネットがあった。 メールで、ズームで、SNSで不安を訴え、慰めることができた。 それができないオランの人々は、でも、町から外に出られないだけで、町の中を歩き回ることは自由だった。 外出自粛などと言う概念はなく、映画館は繁盛し、オペラも上演された。 そして主演男優は舞台上に倒れた。 主人公のリユーは医者で、妻は結核の療養のため町を出たところでのペスト騒ぎである。 コロナの時の日本の医療従事者も相当過酷な状況だったことは知られているが、リユ―やその仲間たちの生活はかなり苛烈であるように思える。 朝から夜遅くまで診察・治療(基本的に往診)をし、治療法の研究を手伝い、悩みを聞き、愚痴を聞き、行政に今後の方針を迫るという八面六臂の活躍ぶりに、彼らの免疫力について不安になる。 行政は、市民たちに不安を与えると困るので、はっきりとペストであることが判明するまでは様子見をしようとするのだが、リユーは「名前はどうでもいい。大事なのは時間が勝負なのだ」と、早め早めの処置を提言する。 とはいえ、ワクチンや血清の在庫がふんだんにあるわけではない。 ところが解説を読むと、この『ペスト』は、「ナチス」をペストに託して書かれたものなのだという。 閉塞感や理不尽で身近な死、圧倒的であり、無力感にさいなまれる日々。 これは流行病だけではなく、戦争も同じなのだ、と。 多くの人たちが、早くペストが沈静化するのをのぞんでいるなか、ひとりコタールと言う人物は、この状況が続けばよいと願っている。 彼は、本来なら逮捕され有罪判決を受けるはずの小悪党なのだが、ペスト下で罪人の留置が一時保留されているのだ。 これはイスラエルの某首相の姿に重なるものがある。 最後にペストが治まり、町が開かれるというその前日、リユーは一週間前に妻が療養先で亡くなったことを知る。 理不尽。
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