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次の夜明けに 下一個天亮 現代台湾文学選1
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次の夜明けに 下一個天亮 現代台湾文学選1

徐嘉澤(著者), 三須祐介(訳者)

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次の夜明けに 下一個天亮 現代台湾文学選1

定価 ¥2,090

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商品詳細

内容紹介
販売会社/発売会社 書肆侃侃房
発売年月日 2020/09/19
JAN 9784863854161

次の夜明けに

¥770

商品レビュー

3.7

7件のお客様レビュー

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2025/06/30

この小説は、台湾の歴史について知らなくてはいけないのではないかと思い、ここ数週間、台湾史の本を読むに至ったきっかけの本。これ一冊で、日本統治時代から2012年までの台湾の歴史を一望したような気になる。一望したというのはただの気のせいなのだが、ただ、これから台湾の歴史について読むと...

この小説は、台湾の歴史について知らなくてはいけないのではないかと思い、ここ数週間、台湾史の本を読むに至ったきっかけの本。これ一冊で、日本統治時代から2012年までの台湾の歴史を一望したような気になる。一望したというのはただの気のせいなのだが、ただ、これから台湾の歴史について読むときには、この『次の夜明けに』の誰々世代の時代だな、という風に思い返してしまうとは思う。 戦前新聞社で記者をしていた日本人の男とその妻春蘭、二人の息子である平和と起義、さらに起義の息子哲浩に至る親子三代の物語である。台湾で発行されていた新聞の日本語面を担当していた父は、二・二八事件後、会社の副編集者であった呉金錬という人物が連行されてから、何も語らず、何もしない彫像のようになってしまう。春蘭は、台湾南部の高雄に引越し、田畑を買い、二人の息子と植物状態になってしまった夫の世話をする。やがて、平和は社会的弱者を守る弁護士となり、起義はおばに育てられたのち、社会運動家となって獄中生活を経験する。 ここまでの二代の物語が、二・二八事件や美濃の反ダム建設運動といった歴史的事件に直接的に絡みながら語られるのに対して、三代目の起義の息子、哲浩の物語はやや毛色が違う。哲浩はゲイであり、ボーイフレンドの傑森との関係と、父との対立、そして和解が描かれる。 一番印象的だったのは、やはり植物状態になってしまった父が、最後に書き残した手記を春蘭たちが見つけたところだった。日本語で書かれたその手記を読めたのは、家族の中で、戦前=日本統治時代の「国語」教育を受けた春蘭だけだったことが、大きな歴史と一つの家族の間にあるつながりを端的に示していて、印象的だった。というより、知識としては知っていたけれど、戦前生まれの人たちが日本語を話すことができ、日本語の読み書きができるということの意味を、物語として初めて実感した。改めて、文字の読み書きというのが、自然に身につく知識ではないことに、驚いたと言ってもいい。 この物語に一貫している分かりやすいテーマは、親子間の断絶とそのつながりの復活である。最初の父と子は、父が植物状態になるということで、コミュニケーションが根本的に断絶している。唯一書き残された手記も、言語の壁によって断絶していて、通訳者を介さない限り、父の言葉を直接受け取ることはできない。起義は、息子がゲイであることを認められない。平和の子どもは、結婚した女性書記官の連れ子である。 この物語に出てくる三代の親子は、言葉が、血が、価値観が、何かしら一度断絶する。しかし、それらは、何の前触れもなく、別の価値を与えられることでつながり直されるのである。それは、父の書き残した手記を真実だと受け入れることで、ゲイカップルでも老後死後の世話をするという約束を交わすことで、長い間拒んできた結婚をすることで果たされる。そして、そのつながりは、絶妙に歴史の変化と呼応している。 時々挟まれる三代の家族と関わりがありながらも、家族から見れば周縁にいる人々は、どれも大きな歴史を代表する人物である。家のお手伝いさんである阿美に、ダム建設に雇われた外国人労働者、少年Yの母親。こうした人たちと、三代の家族との関係も、やはり、それぞれ三代の世代の時代に呼応するように異なっている。 ちょっと面白かったのは、この言い方が適切かどうか分からないけれども、どの語り手も、自身が語り手になっているときは、とても知的(?)に見えることだった。特に、母の春蘭は、「阿美! 阿美!」のところがそうだが、息子たちから見れば、すこし困った老いた母という感じである。ただ、最初の「次の夜明けに」のときには、とても良妻賢母(?)な語りをしている。こういったところにも、ジェネレーションギャップのようなものがある。 最近、有吉佐和子の『青い壺』を読んだときも思ったが、世代による価値観の違いというのは、すごく小さな体験の違いの積み重ねで生まれている。物語を読めば読むほど、これはたしかに、ギャップが生まれるよな、というように、ジェぇねレーションギャップの存在にすごく納得してしまう。 その差が大きな歴史とつながったとき、「次の夜明けに」のような親子の物語が生まれるのだと思った。

Posted by ブクログ

2024/04/30

台湾文学にふれてみたくて。 大きな時代の流れの中で、一人一人の持つささやかな願いと家族のつながり。台湾の歴史を学びながら、ある人はじっと耐え、ある人は声をあげてきたのだろうと静かに考えてみる。とてもいい物語だった。 同時に、日本はどうなのか?という疑問が浮かぶ。小説に描かれて...

台湾文学にふれてみたくて。 大きな時代の流れの中で、一人一人の持つささやかな願いと家族のつながり。台湾の歴史を学びながら、ある人はじっと耐え、ある人は声をあげてきたのだろうと静かに考えてみる。とてもいい物語だった。 同時に、日本はどうなのか?という疑問が浮かぶ。小説に描かれていたものと似たような動きや事件があったはず。自分は無関係だからとさらっと流していたこと、きちんと考えてみようと思う。 訳者あとがきのタイトルに関するエピソードも興味深く、改めて言葉の持つ奥深さにハッとさせられた。たった一文字だけど、そこに含まれる意味の大きさ。本を読み終えたあと、もう一度表紙のタイトルをじっくりと読みたくなる。

Posted by ブクログ

2024/03/02

台湾の作家・徐嘉澤さん。 1947年の二二八事件から時代や社会に翻弄されながらもそれぞれの生き方を見つけていく三代にわたる家族の物語。 時代や社会はどうしようもなく、生き抜く姿が切なくて心がぎゅっとなりました。 身動きのできないこのコロナの今も、時代の波に翻弄され...

台湾の作家・徐嘉澤さん。 1947年の二二八事件から時代や社会に翻弄されながらもそれぞれの生き方を見つけていく三代にわたる家族の物語。 時代や社会はどうしようもなく、生き抜く姿が切なくて心がぎゅっとなりました。 身動きのできないこのコロナの今も、時代の波に翻弄されていて、私も頑張っていこうと生きる力がもらえる作品でした。 題名を「次の夜明けに」と訳された訳者の三須さんのあとがきでのお話もよかったです。 「夜明けを待って次になにをするべきなのか」

Posted by ブクログ