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うつ病九段 プロ棋士が将棋を失くした一年間 文春文庫
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商品詳細
| 内容紹介 | |
|---|---|
| 販売会社/発売会社 | 文藝春秋 |
| 発売年月日 | 2020/07/13 |
| JAN | 9784167915339 |

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うつ病九段
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商品レビュー
4.3
36件のお客様レビュー
先崎九段には「3月のライオン」のコラムで文章はよく読んでいたものの、著作は初めて読んだ。うつ病の体験記という重い内容だが、文章は平易で読みやすい。一方で驚かされたのはうつ病やその症状に関する解像度で、著者の言語化の能力に舌を巻く。また対局私自身が最近将棋にハマっていることもあり、...
先崎九段には「3月のライオン」のコラムで文章はよく読んでいたものの、著作は初めて読んだ。うつ病の体験記という重い内容だが、文章は平易で読みやすい。一方で驚かされたのはうつ病やその症状に関する解像度で、著者の言語化の能力に舌を巻く。また対局私自身が最近将棋にハマっていることもあり、将棋の能力(対局や詰将棋)がうつ病からの回復度合いの指標になるのは何となくわかる気がした。 回復の過程で多くの棋士に励まされ、そのちょっとした一言に勇気づけられ、対局を通じて社会復帰に近づいていく様子が印象的だった。そして何より、うつ病を乗り越えた著者が、自身の少年時代も振り返りながら、「将棋は、弱者、マイノリティーのためのゲームだと信じて生きてきた。国籍、性別、肉体的なことから一切公平なゲーム、それが将棋だ。私は、その将棋のプロであることに誇りを持って生きてきた。」と語る章では、読みながら涙がこぼれた。 ただ、最後の解説が佐藤優で、内容もほとんどなかったことにはうんざりした(鈴木宗男事件がどうのこうのと、こんな素晴らしい作品の読後に語ってほしくない)。文藝春秋はさすがにもう少し依頼先を考えてほしいと思う。これだけで星を減らしたいくらいひどい。
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信州大学附属図書館の所蔵はこちら→ https://www-lib.shinshu-u.ac.jp/opc/recordID/catalog.bib/BB31500326
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- ネタバレ
※このレビューにはネタバレを含みます
うつの身に起こる様々な症状をリアルに描写してくれている。言語化が上手い。うつの辛さを少しでも理解したい方にはおすすめの本。 重度のうつはこんなにもキツいのか。私は中程度のうつと診断されているが、それでもかなりキツい。身体が鉛のように重い感覚は凄く分かります。とにかく何をするにも一、二の三のような決断が必要、という感覚。でもなんとか動けているのでありがたいです。 日内変動や貧困妄想については初めて知りました。まさに今その状態になっていたので腑に落ちました。ああこれもうつの症状だったんだなって。自分をもっと理解するためにも、もっとうつについて学びたいと思いました。 以下個人的メモ 偏見はなくならないよ。人間というのは自分の理性でわからない物事に直面すると、自然と遠ざかるようになっているんだ。うつ病というのはまさにそれだ。何が苦しいのか、まわりは全くわからない。いくら病気についての知識が普及したところで、どこまでいっても当事者以外には理解できない病気なんだよ。 うつの疲れは、健康な人間の疲れとは本質的に違う。一言で言うならうつの疲れは「辛い」のである。何が辛いんだと言われても困る。脳が勝手に辛いと言う信号を送っているのだ。そして意欲が減退するので、行動、発想などがどんどんしぼんでゆく。だから、うつで病んだときに休むのは休養などと言うものではなく、脳の命令で体が自然と横にさせられているようなものなのだ。疲れも休みもうつのの神様(最低の神様だ)によって、ただただあやつられている。 元気になるときの感じも全く違う。普通の疲れなら、食事をしたり気晴らしをしたり、昼寝をしたりするたびに少しずつ回復を実感できるはずだ。うつの疲れはこの取れゆく実感というものが全くない。ひたすら脳からの「疲れが取れた」と言うサインを待つよりないのである。
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