うつ病九段 の商品レビュー
先崎九段には「3月のライオン」のコラムで文章はよく読んでいたものの、著作は初めて読んだ。うつ病の体験記という重い内容だが、文章は平易で読みやすい。一方で驚かされたのはうつ病やその症状に関する解像度で、著者の言語化の能力に舌を巻く。また対局私自身が最近将棋にハマっていることもあり、...
先崎九段には「3月のライオン」のコラムで文章はよく読んでいたものの、著作は初めて読んだ。うつ病の体験記という重い内容だが、文章は平易で読みやすい。一方で驚かされたのはうつ病やその症状に関する解像度で、著者の言語化の能力に舌を巻く。また対局私自身が最近将棋にハマっていることもあり、将棋の能力(対局や詰将棋)がうつ病からの回復度合いの指標になるのは何となくわかる気がした。 回復の過程で多くの棋士に励まされ、そのちょっとした一言に勇気づけられ、対局を通じて社会復帰に近づいていく様子が印象的だった。そして何より、うつ病を乗り越えた著者が、自身の少年時代も振り返りながら、「将棋は、弱者、マイノリティーのためのゲームだと信じて生きてきた。国籍、性別、肉体的なことから一切公平なゲーム、それが将棋だ。私は、その将棋のプロであることに誇りを持って生きてきた。」と語る章では、読みながら涙がこぼれた。 ただ、最後の解説が佐藤優で、内容もほとんどなかったことにはうんざりした(鈴木宗男事件がどうのこうのと、こんな素晴らしい作品の読後に語ってほしくない)。文藝春秋はさすがにもう少し依頼先を考えてほしいと思う。これだけで星を減らしたいくらいひどい。
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信州大学附属図書館の所蔵はこちら→ https://www-lib.shinshu-u.ac.jp/opc/recordID/catalog.bib/BB31500326
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- ネタバレ
※このレビューにはネタバレを含みます
うつの身に起こる様々な症状をリアルに描写してくれている。言語化が上手い。うつの辛さを少しでも理解したい方にはおすすめの本。 重度のうつはこんなにもキツいのか。私は中程度のうつと診断されているが、それでもかなりキツい。身体が鉛のように重い感覚は凄く分かります。とにかく何をするにも一、二の三のような決断が必要、という感覚。でもなんとか動けているのでありがたいです。 日内変動や貧困妄想については初めて知りました。まさに今その状態になっていたので腑に落ちました。ああこれもうつの症状だったんだなって。自分をもっと理解するためにも、もっとうつについて学びたいと思いました。 以下個人的メモ 偏見はなくならないよ。人間というのは自分の理性でわからない物事に直面すると、自然と遠ざかるようになっているんだ。うつ病というのはまさにそれだ。何が苦しいのか、まわりは全くわからない。いくら病気についての知識が普及したところで、どこまでいっても当事者以外には理解できない病気なんだよ。 うつの疲れは、健康な人間の疲れとは本質的に違う。一言で言うならうつの疲れは「辛い」のである。何が辛いんだと言われても困る。脳が勝手に辛いと言う信号を送っているのだ。そして意欲が減退するので、行動、発想などがどんどんしぼんでゆく。だから、うつで病んだときに休むのは休養などと言うものではなく、脳の命令で体が自然と横にさせられているようなものなのだ。疲れも休みもうつのの神様(最低の神様だ)によって、ただただあやつられている。 元気になるときの感じも全く違う。普通の疲れなら、食事をしたり気晴らしをしたり、昼寝をしたりするたびに少しずつ回復を実感できるはずだ。うつの疲れはこの取れゆく実感というものが全くない。ひたすら脳からの「疲れが取れた」と言うサインを待つよりないのである。
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うつ病の家族を理解するために読んだ。 必ず治る脳の病気。 正直読むのがしんどくなる時もあったが、 分かりやすくうつ病の実情を述べてくれるので、 あぁこういう感じなのか、しんどいだろうなと うつ病ぽいとうつ病は違うんだなと なんとなく分かったことが増えたので 読んで良かった
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”三月のライオン”の軽妙なコラムで知っていたから、なんとなく病気のイメージと結びつかず(あくまでイメージですが)、本書を見かけたときも『えっ?』って感じだった。で、今のタイミングでいよいよ読むことにした訳だけど、さすが文筆稼業も元々こなされていただけあり、読みやすい。当事者が見て...
”三月のライオン”の軽妙なコラムで知っていたから、なんとなく病気のイメージと結びつかず(あくまでイメージですが)、本書を見かけたときも『えっ?』って感じだった。で、今のタイミングでいよいよ読むことにした訳だけど、さすが文筆稼業も元々こなされていただけあり、読みやすい。当事者が見ている風景も、かなり自分事として感じられる気がする。それにしても、具体的に何月何日発症、ってところまで指摘できる、ってのはかなり意外でした。もう少し緩徐なイメージがあったので。
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うつ病の当事者が回復期に書いた闘病記。 うつの最中は: ・決断ができない(そのこと自体にストレスを感じる) ・思考力がすごく落ちる ・アクシデントを認識しても反応できない ・喜びを感じることがない ・正常状態ではありえなくらい悪い方に考えてしまう ・表情が作れない ・症状に日内...
うつ病の当事者が回復期に書いた闘病記。 うつの最中は: ・決断ができない(そのこと自体にストレスを感じる) ・思考力がすごく落ちる ・アクシデントを認識しても反応できない ・喜びを感じることがない ・正常状態ではありえなくらい悪い方に考えてしまう ・表情が作れない ・症状に日内変動がある ・起きたり動いたりできない ・よくなったとおもったら悪くなることもある ・気を遣われていると思うとかえって落ち込む ・まわりから忘れられてしまったという気持ちになる(ので、人と会うと疲れるのだが、本当は会いたい) うつにとって大事なこと: ・医師の治療を受ける ・散歩 ・気質うんぬんよりも環境と考える ・根気強く治療を続ける ・堂々と生きる まわりにできること: ・小さい声で話す ・あなたのことがが好きであると伝える ・軽くがんばってというのはOK ・偏見を持たない ・弱者である ・N-of-1なので知った気にならない この著者特有かもしれないこと: ・棋士としてのアイデンティティが向上心につながった ・アイデンティティが地道な努力を可能にした ・他人にきちんと頼ることができた ・兄が精神科医で医者を信頼することができた
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Amazonオーディブルで聴いた。 積読本をオーディブルで見つけると、うれしいような、がっかりするような、複雑な気持ち。 プロ棋士の先崎学さんのうつ病の記録。 本作をうつ病の人が読むとムカつくのではないか…。 本当に大変だったとは思うけど、お兄さんが精神科医で、早い段階で慶應大...
Amazonオーディブルで聴いた。 積読本をオーディブルで見つけると、うれしいような、がっかりするような、複雑な気持ち。 プロ棋士の先崎学さんのうつ病の記録。 本作をうつ病の人が読むとムカつくのではないか…。 本当に大変だったとは思うけど、お兄さんが精神科医で、早い段階で慶應大学病院で適切な入院治療を受け、早めに回復。 将棋があったおかげでうつ病を克服した!みたいなノリで、そういうものがない人はどうすんねん、と思ってしまう。 まあ、先崎学さんのうつ病の記録だから、人が参考にするべきものではないんだろうけど。 この作品の貴重な部分は、うつ病をどう治すか、どう治ったか、という部分でなく、うつ病がどんなものか、がとても分かりやすいことだと思う。 うつ病になるとあらゆる決断ができなくなる、活字が頭に入らなくなる、映画を見てもわからなくなる、棋士が将棋がわからなくなる、そういう大変な病気。 どうやって治ったのか、ということについて大事だと思ったのは、うつ病は朝の調子が悪く夜元気になるけど、つらくても朝ちゃんと起きてご飯を食べ、昼に歩いて、夜調子が良くなっても早く寝る、それが大事なんだと思う(それができる程度の段階だった、とも言えるけど)。 うつ病においても大事なのは、睡眠と食事と運動…あらゆることについてそれに尽きる…。 入院中のお見舞いで一番ありがたかったのは現金、と書かれていて、そうだよね、と思うけど、失礼なのかと思ってなかなかお金は贈りづらい。 自分より年下の人については失礼には当たらないのかな〜。
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こういう棋士がいるって、ぜんぜん知らなかった 週刊誌に長く連載を持ってたらしい 一度も、読んだことない 週刊誌なんて、読まないし マンガが好きみたい うつ病になっても、マンガを読もうとする でも、マンガさえ、理解できなくなってきて かろうじて4コマ漫画だけ、分かる、とか 文章...
こういう棋士がいるって、ぜんぜん知らなかった 週刊誌に長く連載を持ってたらしい 一度も、読んだことない 週刊誌なんて、読まないし マンガが好きみたい うつ病になっても、マンガを読もうとする でも、マンガさえ、理解できなくなってきて かろうじて4コマ漫画だけ、分かる、とか 文章が読めなくなる、読んでも理解できなくなる、とか 相原コージの、自分では、うつ病になるような、特別な理由もなく、苦しいことか、悩みとかもないのに、脳のバグみたいな理由で、突然、死にたくなる、みたいな話があったけど でも、客観的に見てると、将棋業界の、AI問題のために、著者にはいろんな気苦労や、肉体的なオーバーワークがあり、やっぱり過労になってたり、うつ病になる理由はあったような気がした。 睡眠に、障害が出る、というのは分かった 真夜中に目が醒めるようになった、とか 性欲がなくなるとか 食べものの、味覚がなくなるとか お風呂に入らなくなるとか あらゆるものの意欲がなくなるとか テストステロンが低下してるのか 更年期障害とも関係があるのか うつ病が、入院によって、ちょっとずつ良くなっていくプロセスも、描かれてて分かりやすかった。
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棋士のうつ病体験記。 自分の周りにうつ病の人がいないから、というのは言い訳だけど、これまでうつとは「心の風邪」ぐらいにしか捉えられていなかった自分を恥じたい。 うつっぽい、でもなく、軽いうつでもなく、脳を病気するとこんな生活や考えになるんだと、読書中の衝撃は凄まじかった。 文章...
棋士のうつ病体験記。 自分の周りにうつ病の人がいないから、というのは言い訳だけど、これまでうつとは「心の風邪」ぐらいにしか捉えられていなかった自分を恥じたい。 うつっぽい、でもなく、軽いうつでもなく、脳を病気するとこんな生活や考えになるんだと、読書中の衝撃は凄まじかった。 文章のなかで、先崎先生がだんだんと回復していく姿を追っているうちに、先生と自分の境目がわからなくなっていた。先生が周りの人にかけてもらった言葉に、なぜか自分の心がじんわりとあたたかくなる感覚を覚えた。 先生が周りの方からかけてもらった言葉は、自分の大事な人や友人知人がうつになったとき、かけてあげたいな、と思えるヒントに溢れていた。究極は、うつか否かが重要なんじゃなくて、相手を尊敬して、敬意を払い、言葉で少しずつ感謝の気持ちを伝えあえたら、この世界はもっと生きやすくなっていくはず。 当事者の目線から本を書いてくださったことに、心から感謝申し上げたい。
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本書はノンフィクションで、登場する棋士の先生方もすべて実名。 先崎九段も含めて将棋ファンであれば誰でも知っている先生方が次々と登場します。 将棋ファンとして、少しは将棋を指す身として、読みたかった本でした。 内容としてはうつ病になった先崎九段が、発症から回復までの様子を綴ってい...
本書はノンフィクションで、登場する棋士の先生方もすべて実名。 先崎九段も含めて将棋ファンであれば誰でも知っている先生方が次々と登場します。 将棋ファンとして、少しは将棋を指す身として、読みたかった本でした。 内容としてはうつ病になった先崎九段が、発症から回復までの様子を綴っているのみ。 かなり生々しい体験談です。 そしてこの本を読んでうつ病についての認識が変わりました。 「心の病気ではなく脳の病気」なんですね。 プロ棋士の先生が7手詰めを解けなくなるとは...。
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