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暴君 新左翼・松崎明に支配されたJR秘史
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暴君 新左翼・松崎明に支配されたJR秘史

牧久(著者)

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商品詳細

内容紹介
販売会社/発売会社 小学館
発売年月日 2019/04/23
JAN 9784093886659

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2021/03/30
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暴君 新左翼・松崎明に支配されたJR秘史 著者:牧 久 発行:2019年4月28日 小学館 松崎明という人物は、その世界では有名人というかかなりの“大物”だそうだ。僕は名前ぐらいしか知らなかった。 国鉄の労働組合と言えば、最大組織の国労(社会党)、鉄労(民社党)、動労(革マル派)、千葉動労(中核派)に大別され、JRへの分割民営化に際し、「闘う動労」を標榜していた動労が、もともと労使協調路線だった鉄労とともに賛成に回ったという知識ぐらいはあった。なぜ急にマスメディアが「過激派」と紹介し、警察が「極左暴力集団」と呼ぶ革マル系の動労が賛成に回ったのか、僕には理解できていなかった。その裏事情が450ページ以上にわたって詳しく紹介されている。著者は日経新聞出身のフリージャーナリスト。松崎明が死ぬまで、彼に関する報道はタブーとされ、あの週刊文春でさえもキオスクで販売拒否されるなど容易に手が出せなかったという。 動労の大転換は、松崎の方針によりなされた。労働争議で国鉄を解雇された彼は、動労の専従となり、委員長にまでのし上がっていたが、国鉄民営化前年に敵対してきた鉄労の全国大会に招かれ、解体を叫んでいた鉄労とともに民営化に際して「労使共同」を訴えた “コペルニクス転換”の演説を行った。彼は哲学者・黒田寛一とともに革マル派を創設したメンバーで、いうまでもなく共産主義革命を掲げる。それなのに、この頃には自民党機関誌「自由新報」や反共団体統一教会の「世界日報」などにもしばしば登場して、共産党や国労の批判を繰り広げた。 なぜコペ転をしたのか? それは黒田寛一が説く「形勢不利な時には敵の組織に潜り込む」という戦略を踏襲したのだと著者は分析している。 国鉄改革において、改革3人組と呼ばれた者がいた。後のJR東海社長となる葛西、JR西日本社長となる井出(福知山線脱線事故で全国的な有名人となった)、そして、JR東日本社長となる松田。葛西と井出は松崎とは袂を分かったが、松田は以後もべったり。上司の住田とともに、住田―松田体制(JR東日本)と松崎との癒着が始まる。松崎は気に入らない幹部社員がいると、住田―松田ルートで平気で左遷させる、あるいは辞めざるを得なくしてしまう、そんな経営者をもあやつるドンとなった。 車はボルボやベンツ。ボディーガードをつかせ、ハワイに別荘2軒、国内にもマンション、別荘、別宅を持つ。しかし、体が弱まるとともに、徐々にその勢いは衰え、JR東日本側も彼を切りにかかる。そして、その死とともに彼の力は影も形も消え失せる。 北朝鮮の金正恩はちょっと別として、シリアのアサドや以前のスペインのフランコなど、やればできるのにどうしてずっと独裁させたままにするのか?やってみれば意外と簡単なのに、という気もするが、どうなんだろう。ましてや松崎明という軍事力を持たない独裁者。なぜ彼の死を待たなければ終わりにならなかったのか。ちょっと不思議でもある。

Posted by ブクログ

2020/12/13

 東日本旅客鉄道株式会社。 日本国有鉄道から分割民営化され、会社名の通り東日本一帯を管轄する巨大企業だ。 子会社は70社あり、事業の中身は多岐に渡る。 これだけの大きな会社なので、当然従業員も多くなる。 しかし組合は一枚岩ではなく、いくつも分裂して増えていった。 その組合を仕切っ...

 東日本旅客鉄道株式会社。 日本国有鉄道から分割民営化され、会社名の通り東日本一帯を管轄する巨大企業だ。 子会社は70社あり、事業の中身は多岐に渡る。 これだけの大きな会社なので、当然従業員も多くなる。 しかし組合は一枚岩ではなく、いくつも分裂して増えていった。 その組合を仕切っていたのが、本書で書かれた松崎明氏である。  若い世代にはピンとこないだろう。 そもそも、ストライキ、だの革マル派・中核派、セクト・アジトなどと言う言葉からしてもはや歴史教科書の「現代史」に出てきた単語だけれども、ほんの30年前まではリアルな言葉として、企業や上層部には響いていた。  しかし数年前にJR東日本の最大労組から一斉に3万人以上もの組合員が抜けた。 理由は様々だが、組合が言うように、「脱退工作」が行われただけでは人は動かないだろう。 新たな労組が生まれたし、これまでの労組も残っているが、多くの元組合員たちは戻っていない。  なぜだろう?  労組そのものは悪ではない。使用者に対抗する正当な手段であり、それによって守られるべき労働者がいるのも理解しているつもりだ。 だが、入らなければ昇進に響き、政治運動が行われ、使用目的が不明瞭な高い組合費を収めなければならず、レクへの参加が必須の労組が果たして現代に賛同を得られるか?無理だろう。  本書で描かれた松崎氏によって確かにできたばかりの企業が安定した面もあるだろうし、会社もそれを利用していたのだろう。 けれども、彼のやり方は、正しくなかった。 力をちらつかせ、意に沿わなければ潰すやり方は正しくない。 そして、力で支配する相手を利用した会社も、やはり正しくはなかった。  私は暴力と恐怖で支配するやり方は間違っていると思う。 それは誰に対しても同じだ。 単純に会社が、労組が良い悪いではなく、どんな場合であっても、恐怖で人を支配する事はあってはならない。 JR東日本が、これからも継続していくためにも、より多様性と柔軟性を大切にする企業であってほしいと思う。

Posted by ブクログ

2020/10/17

マングローブ枯れたり。という一言に尽きる。 思い返せば松崎氏死後のこの手の文献に触れたことはなかった気がするけれど、大塚社長以来、着実に革マルの「牙を抜く」労政が実行されていたのだなあと認識。他方で共産革命にはスリーパーが不可欠なのかしら、とも思ったり。 思想の是非はともかくとし...

マングローブ枯れたり。という一言に尽きる。 思い返せば松崎氏死後のこの手の文献に触れたことはなかった気がするけれど、大塚社長以来、着実に革マルの「牙を抜く」労政が実行されていたのだなあと認識。他方で共産革命にはスリーパーが不可欠なのかしら、とも思ったり。 思想の是非はともかくとして、松崎氏は個人として相当魅力的な人物だったのでしょう。これを歴史として捉える時代に生きているのが幸運なのかどうなのか。 かつて駒場の学友会に切り込もうと冗談交じりで語りながら結局果たせなかったアマチュアジャーナリストとしては、嫉妬とともに最大限の敬意を表する次第です。

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