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奥のほそ道
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奥のほそ道

リチャード・フラナガン(著者), 渡辺佐智江(訳者)

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奥のほそ道

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商品詳細

内容紹介
販売会社/発売会社 白水社
発売年月日 2018/05/26
JAN 9784560096291

奥のほそ道

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商品レビュー

4.5

16件のお客様レビュー

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2026/07/05

著者リチャード・フラナガンはオーストラリア・タスマニアに生まれ育つ。 12年の歳月を掛けて書かれた本作は、「捕虜番号サンビャクサンジュウゴ(335)に捧」げられている。すなわち、日本軍の捕虜となり、泰緬鉄道建設に従事させられた著者の父アーチー・フラナガンである。 アーチーは幸運な...

著者リチャード・フラナガンはオーストラリア・タスマニアに生まれ育つ。 12年の歳月を掛けて書かれた本作は、「捕虜番号サンビャクサンジュウゴ(335)に捧」げられている。すなわち、日本軍の捕虜となり、泰緬鉄道建設に従事させられた著者の父アーチー・フラナガンである。 アーチーは幸運なことに生還したが、「死の鉄路」とも呼ばれる泰緬鉄道の建設は困難を極め、多くの死者を出した。タイ(泰)からビルマ(緬甸)、全長415キロの軍用鉄道。元々、難工事である上に、雨季に苦しめられ、疫病が蔓延した。無理やりな突貫工事に駆り出された捕虜約1万3千人、アジア人労務者推定数万人が死に至ったという。 父親や、著者自身をも投影したようである主人公、ドリゴは、外科医である。 物語は彼の人生を行きつ戻りつ追っていく。 幼少時代の家族との思い出。 青年期に出会った鮮烈な恋。 捕虜生活の過酷な体験。 除隊後のいささか冷ややかな妻との暮らし。 彼の人生の奥底には、いつでも「詩」がある。 テニスンやダンテを愛し、捕虜時代に俳句を知る。 重厚な物語は詩情を謳い、短詩は背後に物語を秘める。 赤い花を挿したかの人とたどれる未来はなかったのか。 痩せさらばえ、下痢に苦しめられる同胞をどうすればよかったのか。 年老い、「ひとかどの人物」となったドリゴだが、心の平安は訪れない。 戦争は終わっても、人生は続く。 収容所時代をドリゴとともにした者たちの人生も物語は追う。 ある者は戦争犯罪者として裁かれて死に、ある者は生体解剖事件に関与したものと知己となる。ある者は恋い焦がれた妻に裏切られる。 生還できた者たちが、生還できなかった者の思い出の店へと向かう。そこでの店主とのやりとりがしみじみと温かく哀しい。 ドリゴの人生を大きく変えたのは、1通の手紙だった。彼は、その手紙の中の嘘に気付かなかった。 人生とはままならぬ皮肉なものだ。北へと向かう細道のその先に待ち受けるのは地獄であるのかもしれない。けれども人は進むのだ。一歩ずつ。はかない愛を抱えながら。 「露の世は露の世ながらさりながら(一茶)」

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2026/01/16

オーストラリア軍の軍医であったドリゴは、太平洋戦争中に日本軍の捕虜となりタイとビルマを結ぶ鉄道建設に従事させられる。その戦前、戦中、戦後を描いた作品。太平洋戦争を舞台とした小説や伝聞はこれまで主に日本人またはアジア各国の人々からのものが多かったように思う。本書は連合国側から見た日...

オーストラリア軍の軍医であったドリゴは、太平洋戦争中に日本軍の捕虜となりタイとビルマを結ぶ鉄道建設に従事させられる。その戦前、戦中、戦後を描いた作品。太平洋戦争を舞台とした小説や伝聞はこれまで主に日本人またはアジア各国の人々からのものが多かったように思う。本書は連合国側から見た日本兵の言動が綴られており、日本人では書きにくい内容も率直に述べられている。著者の父親が捕虜となり生還した経験から書き上げたとのこと。大戦を経験した方が高齢になっていくが、近年その子や孫世代が資料や伝聞をもとに本書のような物語を多く発刊しているような気がする。やはり当事者が思い起こしたり綴ったりするのは相当な苦痛を伴うだろうし恐らく多くの方はできない。当事者の周囲の方たちによってこのように文学で様々な角度から大戦を記憶に留め、一人一人が自分で考えて行動を決定し過ちを繰り返さず平和な日々が続いていくといいなと思う。

Posted by ブクログ

2025/09/23

泰緬鉄道の建設に捕虜として動員されたオーストラリア兵たちの惨状。第二次大戦中の軍の蛮行というのは、国、場所を問わずだが、それでも日本人として恥じることは多いし、そもそも人の尊厳を顧みることができないような状況を作ってしまう戦争そのものの悪性を考えることも多い。この小説はその悪性、...

泰緬鉄道の建設に捕虜として動員されたオーストラリア兵たちの惨状。第二次大戦中の軍の蛮行というのは、国、場所を問わずだが、それでも日本人として恥じることは多いし、そもそも人の尊厳を顧みることができないような状況を作ってしまう戦争そのものの悪性を考えることも多い。この小説はその悪性、惨状を伝えることのみにとどまらず、被害、加害の枠組みを超えて、自分の意思とは無関係に戦争に巻き込まれた人間たちの、“心の惨状”が描かれている。 オーストラリア側では、過酷な捕虜生活を生き抜いた医師が、ボタンの掛け違いのような不毛な結婚生活に自己嫌悪、戦地での過酷さと戦後の日常の落差に心の均衡を失い、口を閉ざす。日本側でも、多くの敵兵捕虜を死に追いやった兵士が自分の行為を振り返るも、天皇陛下のため、祖国のためという大義にしがみつき、死の間際まで、自分が生きた意味を見出せない。 時や場所を行き来しつつ描かれる人々の内心は、善悪を越えて生々しく、あまりに重い内容で読み進むのにかなり時間がかかったが、この大作がなぜ戦争小説の最高傑作と評価されているのかが、全身に沁みわたっていくような読書時間だった。

Posted by ブクログ

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