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陰翳礼讃
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商品詳細
| 内容紹介 | |
|---|---|
| 販売会社/発売会社 | パイインターナショナル |
| 発売年月日 | 2018/01/18 |
| JAN | 9784756250124 |
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陰翳礼讃
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商品レビュー
4.4
75件のお客様レビュー
幼少期、田舎にある祖父母の家に行くのが好きでした。 コンビニも街灯も無い、辺り一面田んぼで、夜はカエルの鳴き声が響き渡るほど田舎です。 そんな環境下での楽しみは星空を見ることでした。街灯が無い分、真っ暗闇に映る星空は圧巻でした。 著者の谷崎潤一郎さんは、美しさとは「光そのも...
幼少期、田舎にある祖父母の家に行くのが好きでした。 コンビニも街灯も無い、辺り一面田んぼで、夜はカエルの鳴き声が響き渡るほど田舎です。 そんな環境下での楽しみは星空を見ることでした。街灯が無い分、真っ暗闇に映る星空は圧巻でした。 著者の谷崎潤一郎さんは、美しさとは「光そのもの」にあるのではなく、「光と影が織りなす、微細なグラデーション(陰翳)いんえい」の中にこそ存在すると説きました。 重厚な石造りの建築の中で、いかにして暗闇から部屋を隅々まで明るく照らすか考えてきた西洋の文化が伝来し、影=悪、光=善のような考えが少しずつ浸透していきます。 そうして、和室の障子からうっすら差し込む光と影のコントラストといった陰翳が日本から失われていったといいます。 何事にも光をあてすぎず語りすぎず、いろんなものや情報が溢れている今だからこそ「引き算の哲学」を大事にしたいです。
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- ネタバレ
※このレビューにはネタバレを含みます
耽美派と言われ、背徳の世界を描いた作品群という印象が拭えない著者。本作も「陰翳」の文字に、どこか淫靡で秘めごとめいたイメージをこれまで持っていたが、実は、軽妙洒脱なエッセイではないか? と著者の意外な面を垣間見た気になった。 明治生まれで、自分の生まれた年まで生きていたことを思うと、当時の男性にしては長寿だったろう。本書を記したころは50前後で、現代なら脂の乗り切ったところであろうが、 「早い話が、街頭の十字路を号令で横切るようになっては、もう老人は安心して町へ出ることが出来ない。」 と、日本の高度経済成長、一足飛びの発展に戸惑う老人としての感慨も述べていたりもする。うん、エッセイだな。 なにしろ、冒頭の方で、 「日本の建築の中で、一番風流に出来ているのは厠であるとも云えなくはない。」 と、いきなり小学生のネタか? と思えるような場所から語りはじめるのだから、どこか可笑しい。 「やはりああ云う場所は、もやもやとした薄暗がりの光線で包んで、何処から清浄になり、何処から不浄になるとも、けじめを朦朧とぼかして置いた方がよい。」 これなど、マジで語っているのか、面白おかしく書いているのか、どちらだろうと笑えてくる。 ともかく、まずはPIE INTERNATIONさんの装丁、企画としての本書に賞賛を送っておかなければ。 このシリーズ、大川裕弘氏による写真との組み合わせでいくつか出ていて、去年、たまたま軽井沢に立ち寄ったときに現地の書店で『茶の本』(岡倉天心著)を見て、いいなと思ったもの。 それより先立ち、本書が出ていたが、勝手に恐れ多くて、手に取る順番が逆になったが、本書も、写真と共にキーフレーズが抜き出され、『茶の本』同様に、視覚的にも著者の意図を補完するような美しい写真と共に、非常に読み応えがある作りとなっている。 『茶の本』同様に、東洋文明、日本古来のアートセンスを、文字通り“礼賛”する内容で、日本文化に改めて敬意を払いたくもなり、誇りを感じることができる好著だ。 漆器や日本画の金箔のつかい方、その見方もさることながら、それらが置かれている日本家屋そのものの芸術性を高く評価しているところが白眉だろう。日本の美の全ての基礎は、建物からなるという論旨だ。 「寺院のみならず、宮殿でも、庶民の住宅でも、外から見て最も目立つものは、或る場合には茅葺きの大きな屋根と、その庇の下にただよう濃い闇である。」 「左様にわれわれが住居を営むには、何よりも屋根と云う傘を拡げて大地に一廓の日かげを落し、その薄暗い陰翳の中に家造りをする。」 「日本座敷の美は全く陰翳の濃淡に依って生れているので、それ以外に何もない。」 こうして、漆器、建築のみならず、陶器や料理、能や歌舞伎といった芸能など、ありとあらゆるアートを語り、そこにある陰翳の意味を解いていくが、最後に記す一文が、自身の本分、文学に触れているところは、流石、『文章読本』を記した大作家だけのことはあると感心する。 むしろ結論は、そこにあったか?! とさえ思えた。 「われわれが既に失いつつある陰翳の世界を、せめて文学の領域へも呼び返してみたい。文学という殿堂の櫓を深くし、壁を暗くし、見え過ぎるものを闇に押し込め、無用の室内装飾を剥ぎ取ってみたい。」 お見事! ※本書の翌年に上梓した『文章読本』も、改めて当たってみようと思った。
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■参加者の感想■ 三島由紀夫の『春の雪』を以前課題本にしたが、情景描写などが本当に気が狂うほど細かく、ずっとその描写が続くような文体だった。 谷崎潤一郎は物書きだからこそ、警察に言うような些細な言葉にできない細かい部分に入り込んで表現しており、それが旅先での彼の仕事(執筆)に...
■参加者の感想■ 三島由紀夫の『春の雪』を以前課題本にしたが、情景描写などが本当に気が狂うほど細かく、ずっとその描写が続くような文体だった。 谷崎潤一郎は物書きだからこそ、警察に言うような些細な言葉にできない細かい部分に入り込んで表現しており、それが旅先での彼の仕事(執筆)になっているのが面白い。 谷崎の『痴人の愛』は、中年の男が15歳の少女を引き取って立派な婦人に育てようと共同生活を始める話だが、読み進めるとストーリーが非常に滑らかで、恋愛に狂っていく人間の心理が見事に描かれている。 エロティズムや性欲といった人間の生きる力を、ポルノ小説のように徹底的に気持ち悪く書くのではなく、ほんの些細な関係性として置くだけで、あとは読者の想像に委ねる書き方をしている。 『陰翳礼讃』にある、高級レストランで暗闇の中にスポットライトがぽんぽんと当たり、光がないところには何も置かない空間や、真っ黒な器に入ったお吸い物を観察するような「わびさび」の話が非常に印象的。 日本の高級なものは、お寺の枯山水の庭のように、高級になればなるほど物が少なくなっていく「何もない美しさ」がある。 日本家屋において「何もないエリアが暗闇になること」で、そこに何かがあるのではないかという日本人の想像力が掻き立てられる、という部分にとても共感した。 明治初期の鹿鳴館での舞踏会は、西洋と同じように進んでいることをアピールしようとしたものだが、ヨーロッパ人から見れば「猿真似」と風刺されるようなものだった。 日本人は欧米人のような白い肌になりたくておしろいをどれだけ塗っても、透き通るような白さにはならないが、そもそも日本人はその肌の色に合った美的感覚をこれまで作ってきたのだから、欧米とズレていてもそれは仕方のないことだという指摘が腑に落ちた。
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