陰翳礼讃 の商品レビュー
小説なのかと思いきや評論だった。ひたすら日本の陰影文化の良さについて語った作品。プリクラとか逆光動画が嫌いなので共感した。やっぱ写真や動画は編集しない方がいいよ。
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日本の美学は光と陰のコントラスト。 まわりとの協調をはかるのもここから来ているのか? 昔から白を貴いとするのはなぜなんだろう。 西洋の美学に関する本も読んでみたいと思った。
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昭和初期に書かれた、日本における光の意味を教えてくれる本。 ほどほどのあかりで、見るべきではないものはそのままに。 当時の光の増大に対する違和感は、現代で言うところの、情報量の増大と似ていると思った。 西洋人は闇を排除し隅々まで明るく照らし、光による闇の討伐を目指した。一方で、日...
昭和初期に書かれた、日本における光の意味を教えてくれる本。 ほどほどのあかりで、見るべきではないものはそのままに。 当時の光の増大に対する違和感は、現代で言うところの、情報量の増大と似ていると思った。 西洋人は闇を排除し隅々まで明るく照らし、光による闇の討伐を目指した。一方で、日本人は闇と共存し、ある意味、一体化していた。 しかし、日本人は、親しい闇を、西洋文明の流入により、追いやった。 見るべきではないものを突きつけられ、どう対処すべきか、悩まされる。実は、悩む必要などなく、対処すべき事でもない。それとは、ずっと前から無意識に共存してきたのである。 鎖国によって生じた文明の遅延に対する劣等感から、西洋文明に追いつこうとするが、日本人の、無意識下の民族性が抗っている。 西洋人は、情報の取捨選択にたけているが、日本人は、侘び寂びや、静寂を愛でる繊細な民族であり、結局のところ、苦手なのである。
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日本の夜は明るすぎる。もっと暗くした方が良い。という意見にはめちゃくちゃ共感。 日本の文化は薄暗い住環境の中で興隆したからこそ光の中ではなく陰翳でこそ美しい。たとえば蒔絵に使われる金は暗闇で見ることを前提につくられている。白光する中で見ても何らの美性もない。バッサリそう言い放...
日本の夜は明るすぎる。もっと暗くした方が良い。という意見にはめちゃくちゃ共感。 日本の文化は薄暗い住環境の中で興隆したからこそ光の中ではなく陰翳でこそ美しい。たとえば蒔絵に使われる金は暗闇で見ることを前提につくられている。白光する中で見ても何らの美性もない。バッサリそう言い放つ文豪・谷崎潤一郎に感服せざるを得ない。それが正しいか否かは置いておいて、なるほど。そのような視点もあるのか!と納得させられてしまった。
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日本語が美しかった。 光があるからこそ闇があり、 日本人ならではの繊細な感性が美しいと思った。 普段読まないタイプの本だったので、語彙が増えた。
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谷崎潤一郎の文章に合った写真にとても癒されました。 今まで陰や暗さは負のイメージを持っていましたが、本書を通してそれらの奥深さや荘厳さを理解することができました。また、日本と欧米の対比関係が明るさや色への理解を深めることができました。
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こういう本が手元にあって、ページをめくりながらティータイム、みたいな生活が理想。 いつになったら実現するでしょう・・
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年の瀬でいろんな負債が溜まってる時にまあまあ染みる綺麗さ。 これ読むと毎回いろんな“みているモノ”を触りたくなるくらいにはモノへの成り立ちと景色を敬ってしまう。 この本はいろんなところで引用されるし応用されるけど、全ストーリーラインを写真でなぞり切るっていうのはなかなか勇気がい...
年の瀬でいろんな負債が溜まってる時にまあまあ染みる綺麗さ。 これ読むと毎回いろんな“みているモノ”を触りたくなるくらいにはモノへの成り立ちと景色を敬ってしまう。 この本はいろんなところで引用されるし応用されるけど、全ストーリーラインを写真でなぞり切るっていうのはなかなか勇気がいるんじゃないだろうか。純粋に、自分と違うイメージがつくことで新しい発見が多いと思った。
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美しい…。 久々に自分が日本人に生まれて良かったと思わせてくれる作品だった。 学生の頃に初めて紐解いた時は、正直なところその良さが分からなかった。 当時本を開いて、句読点が少なく旧仮名が小さな文字でびっしりと並んでいるのを見ただけでウンザリとした記憶がある。 当時から読書好きを...
美しい…。 久々に自分が日本人に生まれて良かったと思わせてくれる作品だった。 学生の頃に初めて紐解いた時は、正直なところその良さが分からなかった。 当時本を開いて、句読点が少なく旧仮名が小さな文字でびっしりと並んでいるのを見ただけでウンザリとした記憶がある。 当時から読書好きを自認していたが、まだまだ未熟だったということだろう。 年を経て老眼やら、その他の目の不調やらで、その手の書籍は一層敬遠したくなるところである。 ではなぜこれを手に取ったのか。 実は書店の写真集コーナーなのである。 ふと見覚えのある書名に興味を持ってパラパラとめくるうちにぐいと引き込まれた。 「ん?なんだ?これは…」 しかし思いとどまった。写真入りなのでちと高い。積読が多くなっていることもあって、また無駄遣いになってもいかんかなと。 後日その書店に何気なく足を伸ばすと、何故か吸い寄せられるように写真集コーナーへ、そしてまた手に取っている自分がいた。 「もうこれは縁だな…。」 諦めてそのままレジへ向かった。 そこから毎晩ずつ噛みしめるように本書を少しずつ読み進めた。(もちろん他の積読はそのままに。) じっくり夜に触れたい。 そんな所は筆者の得意とするところ、その術中にまんまとハマってしまった。 美しい…。 文書の抑揚、厳選された言葉、静かな語り口の中に潜む熱く燻るような陰翳美への情念。 そしてその文章と絡み合う、瞑く、儚く、朧げな多くの写真に酔わされ、時折織り込まれる豊かな色彩にハッとさせられる。 言葉と画像が織りなす芸術とは正にこう言うものなのだろう。きっと。 そして読後に浮かんだのは… くらくてはかなくてぼんやりしたもの そのなかにうつくしさをかんじることができるにほんじんのこころ 幼い頃に訪れた祖父母の古い家, ただでさえ薄暗い小さな家日本家屋の中、部屋、台所、風呂場、和式トイレなどの隅々にあった、より暗くそれでいてぼんやりとした陰。 そこから何か異界のものが匂うように立ち上がってくる異空間感覚。 それは恐怖?楽しみ?陶酔感? (そして現在においては郷愁感?) 現在の高解像なメディア(文書、画像、音楽などなど)は感覚が衰え始めている自分にはとても有難い。 しかし一方で、高い解像度は何もかもハッキリし過ぎて刺激が強く、受け取っているとすぐに疲労してしまうのも年齢的なものか。 ならば… 「低い解像度、少ない光量の中に、自分はどんなものを見、感じることが出来るのか」 そんな心持ちで趣味の書籍やカメラに向き合ってみるのも一興。 などとつらつらと考えている。
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日本人であるということを、考えさせられる本だった。 題名に難しい漢字が並んでいるから、内容も同じく難しいのだろうと覚悟して読み始めたけど、意外とスラスラ読めて、なるほどなぁと思う部分もあった。 写真も内容と雰囲気がよく合っていて、写真集として眺めていたくもなる。
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