若い読者のための第三のチンパンジー 草思社文庫

ジャレド・ダイアモンド(著者), レベッカ・ステフォフ(編者), 秋山勝(訳者)

• 販売会社／発売会社: 草思社
• 発売年月日: 2017/06/02
• JAN: 9784794222800

商品レビュー

2025/07/03

人も結局動物だよね。でも動物と人を隔てるものはなんだろうか。というところから、様々な科学的根拠に基づき説明し、人類の将来への考察でまとめている。
引合いに出されている学問でいうと、鳥類学、進化生物学、人類生態学、古環境学、古病理学、言語学（訳者あとがきより）などなど幅広い知識を、とてもわかりやすい文章で記載しており、非常にいい本だと感じた。

2025/04/25

ヒトの生活習慣について考えたいと思って手に取った。
類人猿からヒトへの進化の過程や、他の種との相違を丁寧に説明されている部分は非常に面白い。
終盤の、ヒトによる環境破壊や殺戮等については、自分の興味が薄いこともあってか、あまり面白いとは感じられなかった。

2025/04/11

人類とはこういうものだと、その起源や本能行動から解き明かす人類解体書を書くのがジャレドダイヤモンドの真骨頂。久々に読んだが、その探究を巡るサイエンスミステリーが楽しい。

幾つも興味深い話があるが、ガゼルのストッティングについて触れたい。ストッティングとは、肉食動物に狙われた際に逃げ出すかわりに、ゆっくりと走っては、脚を伸ばしたまま、空中に高々と跳びあがることを繰り返す動作だ。挑発行為にも見え、自滅的な行動としか思えない。時間やエネルギーを無駄に費やし、ライオンには襲いかかる機会を与えている。

しかし、そこには当然ながらきちんとした目的がある。ストッティングは信号であり、それにより、相手を踏み止まらせる効果がある。狩の成功率が高くない事を示して、無駄な行動、つまりコスパが合わない事を予めディスプレイするのだ。お互い無駄な鬼ごっこはやめようよ。

自然界には、この逆パターンもある。敢えてコスパが悪い状態を示して、それでも生き延びれる程強い個体だからと異性を惹きつける作戦だ。こうした示威的な動きは、人間社会でも見られる。ヤンキーのディスプレイなんかはその象徴だろう。高額なブランド品を身に付けたりもそうだ。

他にも、共通言語を持たない移民たちによる言語の自然発生的事例、ハワイのサトウキビ農園での
英語を基にしたピジンの話とか、人間以外に農業を行うのはアリで、植物を栽培し、動物の家畜化をおこなっているという話とか。ジャレドダイヤモンド、安定の面白さである。