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JR上野駅公園口 河出文庫
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商品詳細
内容紹介 | |
---|---|
販売会社/発売会社 | 河出書房新社 |
発売年月日 | 2017/02/07 |
JAN | 9784309415086 |
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商品レビュー
3.4
251件のお客様レビュー
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※このレビューにはネタバレを含みます
柳美里さん、一時期ハマってたくさん読んだのですが、彼女の小説は実体験をもとに、すごく身を削って書いている印象があって、たくさん読んだらすごく苦しくなって、最近は読んでいなかった。先日「ベストエッセイ」という単行本を入手して好きな作家さんのエッセイを読んでいたらその中に柳美里さんのエッセイがあり、あ、またこの人の作品読みたいなと思ったので、本書を手に取りました。 私が好きな他のリベラルな作家さんも、弱者に寄り添う姿勢を重視していて、その中でこの作品に触れているのも出会っていたので以前から読みたいと思っていました。 本書は、上野公園でホームレスとして暮らす男性の回想、というスタイルの小説です。小説を通して、ずっと、暗いです。男性がシゲさんというインテリのホームレスからいろいろ教えてもらっている会話(会話というかシゲさんの語り)も差し挟まれてるのだが、シゲさんは死んだ(コヤで冷たくなっていた)ということが書かれているので、死んだシゲさんの幽霊と話してる?つまり主人公ももう死んでる?と思いながら読むことになるし、死んでないにしても、そもそも何か深い事情があってホームレスになったのだろうから、読む方も暗い気持ちになる。 そしてその回想は、幼い頃から貧しく、12歳からずっと出稼ぎで下のきょうだいのために働き、所帯をもってからも貧しく、出稼ぎばかりで家族と一緒に過ごしたことも、写真を撮ったこともない、という内容。長男が生まれるときには難産で大変だったけれど、産婆さんを頼むお金すらなかった。そしてその長男は若くして(21歳)急死する。やっと故郷に帰って、妻と暮らしていたら、また不幸が訪れる・・・なんて、不運な、なんて人生なんだ・・・。 主人公は平成の天皇と同じ年に生まれ、息子は皇太子(当時)と同じ日に生まれた。貧しさから抜け出せる希望もなく、出稼ぎで上野に来たときに遠くに目にした天皇陛下。感動で天皇陛下万歳と叫ぶ人々。同じ人間なのに、全く別の人生を生きる人間がいる。同じ空間にいるはずなのに、全く違う世界のように感じる。 ホームレスとして上野公園にいると、ときどき天皇陛下の行幸があり、コヤが目につかないように強制退去を言い渡される(山狩り)が行われる。その実態はほとんど世に知られることがない。ホームレスは「いない人」とされる。 ホームレスや山狩りの実態を書くことによって、決して天皇制を否定しているわけはない。ただ、こんな人生もあるということを淡々と、哀しげに書いているだけだ。しかし、天皇陛下の行幸や、オリンピックや、高速道路の開通など、華やかな表舞台の反対側には、光と影のように別の世界が存在していること、そして人々がそれを見ようとしないことに気づかされる。今年もパリ五輪で熱狂したが、そもそもスポーツを始められる環境にない人たちだって大勢いる。みんながみんな、スポーツから夢や希望をもらうことができるだろうか? 最後は、主人公が駅のホームから身を投げたようにも、身を投げる想像をしているようにも受け取れる。そのとき、ふるさとの地に津波が押し寄せる映像が見える。また大切な人が、犠牲になるのが見える。 主人公が最後に自殺したのかどうか、読んだ人によって受け止め方が違うみたいだが、あえてそういう書き方をしているのかな。私は、あぁ、最後には死を選んだんだな、と思いながら読んだけど、最後まで読み切って、いや、やっぱり生きていくしかないんだなと思い直した。どんなに理不尽なことがあっても、愛する人をたくさん失っても、人は生きていかなければならない。悲しみをたくさん抱え込みながら。
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上野公園のホームレスの男の生活を描いた作品。 作者は上野公園での取材をもとに描いている為、限りなくノンフィクションに近いフィクションである。ホームレスって、なんで仕事からしないの?仕事しようと思えばできるんじゃないの?正直この本を読む前はそう思っていた。そのような考えが一気に覆っ...
上野公園のホームレスの男の生活を描いた作品。 作者は上野公園での取材をもとに描いている為、限りなくノンフィクションに近いフィクションである。ホームレスって、なんで仕事からしないの?仕事しようと思えばできるんじゃないの?正直この本を読む前はそう思っていた。そのような考えが一気に覆った。 この作品を通して「山狩り」という言葉を初めて知った。「山狩り」とは、天皇や皇族が訪れる際に特別清掃、いわばホームレスの排除をすることである。 たしかに以前と比べると上野公園で最近ホームレスを見かけない。園内では大道芸や楽器を演奏するアーティストの活動が盛んになったり、外国人観光客がより一層賑わいを見せている。 「この単調な風景のどこかに、痛みが在る」 「この、似たような時間の中に、痛む瞬間が在る」 今、上野公園から姿を消したホームレスたちはどのように生活しているのだろうか。
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以下の文章を見たときに、まさに自分のことだ、と思った(他にも共感者多いだろうけど) 「慣れることができなかっただけだ。どんな仕事にだってなれることができたが、人生にだけは慣れることができなかった。人生の苦しみにも、悲しみにも・・・喜びにも・・・」
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