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JR上野駅公園口 河出文庫
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商品詳細
| 内容紹介 | |
|---|---|
| 販売会社/発売会社 | 河出書房新社 |
| 発売年月日 | 2017/02/07 |
| JAN | 9784309415086 |

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JR上野駅公園口
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商品レビュー
3.4
278件のお客様レビュー
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1933年、天皇と同じ日に生まれた主人公・カズ(森一夫)の人生を通じて、日本の栄光の影にスポットを当てる作品。 家族を養うために1964年東京五輪の建設現場等、カズはひたすらに出稼ぎを続け、家族と離れ離れの生活を続けていた。そんな矢先、息子が21歳で急死し、妻にも先立たれ、絶望の淵に追い込まれてホームレスとなる。 物語終盤で、すでにカズ自身も鉄道自殺を遂げていることが明かされ、幽霊となって上野駅を行き交う人々を見守っていることが明かされる。ラストでは、東日本大震災の津波で孫娘も亡くすという、逃れようのない不幸の連鎖が描かれて幕を閉じる。 とにかく台詞が多く、カズが生きている人々の声を断片的に聞きながら自身の人生を回想する構成が秀逸。独特の言い回しや詩的表現が連続し、作品の奥深さを際立たせている。 同じ日に生まれながらも、「光」として生きた天皇と、その「影」として生きたカズの対比が見事。天皇一家が公園内の施設を訪問する際、ホームレスが「特別清掃(山狩り)」に遭い、彼らの存在自体が風景から消される。それらを踏まえ、自身の息子に皇太子と同じ名前をつけたカズが、天皇を目前にして涙を流すシーンには胸を打たれた。 2020年は世界的に「孤独」や「居場所の喪失」が意識された時期であり、社会から排除されたカズの物語が世界的に評価されたことから全米図書賞受賞に繋がった模様。 「東日本大震災で避難生活を余儀なくされている人々、帰るべき家をなくしたホームレスの人々、両者の痛苦を繋げる蝶番のような小説」(あとがき)であり、まさしく時代が生んだ小説だと感じた。 ホームレスになりたくてなる人なんていない。人間である以上、それぞれには等しく過ごしてきた時間があり、現在があり、未来がある。 誰もが、個性を奪われたり、社会に無視されてはならないと感じた。
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柳美里の『JR上野駅公園口』は、福島に家族を残し、人生の多くを出稼ぎに費やした男性が、上野公園でホームレスとして暮らす日々を回顧する物語だ。上野という場所は、集団就職や出稼ぎで東北からやってくる人々の玄関口である一方、国立西洋美術館、東京文化会館、恩賜上野動物園などの文化・レクリエーション施設が集まる賑やかなスポットでもある。 物語を通じて、ホームレスとこうした施設に集う人々との「光と影」が鮮やかに描かれていると感じた。特に印象深いのは、ルドゥーテの「バラ図譜」展の前で、二人の女性が薔薇とは無関係の世間話に興じているシーンだ。 人生で「必要のない見識」である芸術を鑑賞しに来ているはずなのに、結局は身内の話題ばかり。そのギャップに、強い皮肉を感じずにはいられなかった。また、主人公の内省として登場する 「光は照らすのではない。照らすものを見つけるだけだ。そして、自分が光に見つけられることはない。ずっと、暗闇のままだ――」 という一節は、胸を締め付けられるほど辛かった。後半では、五十代で不動産会社に就職したものの、バブル崩壊で職を失い離婚に至った男性のエピソードが出てくる。これを読んで、「運や時代が悪ければ、誰にでも起こり得る」と改めて実感した。そして、息子の浩一が亡くなった際に住職が語った言葉、 「同じ死に方でも、良い悪いが変わってくるのは、良い悪いを自分で判断しているからに他ならない。だから、死に際を説いてはいけません」 は、今後の人生に深く刻みたい一言となった。
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ホームレスになってしまった男の回想を彼と共に巡る話であった。彼の母の言葉であった「おめぇは運がねぇ」の言葉通り、彼の人生は一生を通してなかなか不運な人生であったと思う。 しかし一生を通してずっと不幸であったわけではない。両親がいて妻がいて、子も孫もいた時期もあるのだから、人並みに幸せだった時期もあるのだ。だから身近な人々が早逝して結果ホームレスになってしまっても可哀想な人生だったねとまとめることはできない。 彼は人が長い年月をかけて経験する幸と不幸を早送りのように経験してしまったのだ。ただそのダメージは大きく、彼は未来に向かって生きることを忘れて過去にとらわれる人生を送るようになってしまった。 死が普通の人よりもやたら身近にあって、家族の死を想いながら広い公園の隅で終わらない過去に生きていた男。誰もいない未来を生きるよりも、過去を生きていることで旅立った家族とずっと一緒にいられるならそちらの方が幸せなのかもしれない。
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