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JR上野駅公園口 の商品レビュー

3.4

254件のお客様レビュー

  1. 5つ

    29

  2. 4つ

    70

  3. 3つ

    87

  4. 2つ

    28

  5. 1つ

    9

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2024/11/04

不思議な感覚に陥る物語。 上野駅前の公園に住むホームレスを通して生と死の狭間を描いているように思う。 生きているとはどういうことなのか、死とは何なのか、ある意味辛抱強く読むことが必要な本だと思う。

Posted byブクログ

2024/10/22

以前読んだ時は少々退屈してしまい途中でやめてしまった。今度こそと意気込んだら意気込む必要などなかったくらいに引き込まれた。 きっと心の余裕の問題だったのだろう。 感想はうまく言葉にならないことの方が多いけど、とにかく読んでよかった。 世界の見方が少し変わった気がする。 国のた...

以前読んだ時は少々退屈してしまい途中でやめてしまった。今度こそと意気込んだら意気込む必要などなかったくらいに引き込まれた。 きっと心の余裕の問題だったのだろう。 感想はうまく言葉にならないことの方が多いけど、とにかく読んでよかった。 世界の見方が少し変わった気がする。 国のために生き、なにも報われず、社会に蹴り落とされて死んでいった主人公の魂。いまの日本じゃいつまで経っても上野公園から離れることができないんじゃないかな、といたたまれない気持ちになる。上野公園にふらりと舞い戻った主人公が天皇に手を振るクライマックスは、圧巻だった。 原発ができる前の浜通りの人々の暮らし、 加賀藩からの開拓のことなど 知れてよかった話がたくさんあった。

Posted byブクログ

2024/10/11

淡々と主人公の独白が続く、困難に満ちた生活を振り返る。 そしてある時、この人は今どこにいるんだ?って疑問が湧いてくる。 JR上野駅公園口での静かで激しいクライマックス。 何か今まで経験してなかったモノに触れてしまった気がする。

Posted byブクログ

2024/09/05
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

柳美里さん、一時期ハマってたくさん読んだのですが、彼女の小説は実体験をもとに、すごく身を削って書いている印象があって、たくさん読んだらすごく苦しくなって、最近は読んでいなかった。先日「ベストエッセイ」という単行本を入手して好きな作家さんのエッセイを読んでいたらその中に柳美里さんのエッセイがあり、あ、またこの人の作品読みたいなと思ったので、本書を手に取りました。 私が好きな他のリベラルな作家さんも、弱者に寄り添う姿勢を重視していて、その中でこの作品に触れているのも出会っていたので以前から読みたいと思っていました。 本書は、上野公園でホームレスとして暮らす男性の回想、というスタイルの小説です。小説を通して、ずっと、暗いです。男性がシゲさんというインテリのホームレスからいろいろ教えてもらっている会話(会話というかシゲさんの語り)も差し挟まれてるのだが、シゲさんは死んだ(コヤで冷たくなっていた)ということが書かれているので、死んだシゲさんの幽霊と話してる?つまり主人公ももう死んでる?と思いながら読むことになるし、死んでないにしても、そもそも何か深い事情があってホームレスになったのだろうから、読む方も暗い気持ちになる。 そしてその回想は、幼い頃から貧しく、12歳からずっと出稼ぎで下のきょうだいのために働き、所帯をもってからも貧しく、出稼ぎばかりで家族と一緒に過ごしたことも、写真を撮ったこともない、という内容。長男が生まれるときには難産で大変だったけれど、産婆さんを頼むお金すらなかった。そしてその長男は若くして(21歳)急死する。やっと故郷に帰って、妻と暮らしていたら、また不幸が訪れる・・・なんて、不運な、なんて人生なんだ・・・。 主人公は平成の天皇と同じ年に生まれ、息子は皇太子(当時)と同じ日に生まれた。貧しさから抜け出せる希望もなく、出稼ぎで上野に来たときに遠くに目にした天皇陛下。感動で天皇陛下万歳と叫ぶ人々。同じ人間なのに、全く別の人生を生きる人間がいる。同じ空間にいるはずなのに、全く違う世界のように感じる。 ホームレスとして上野公園にいると、ときどき天皇陛下の行幸があり、コヤが目につかないように強制退去を言い渡される(山狩り)が行われる。その実態はほとんど世に知られることがない。ホームレスは「いない人」とされる。 ホームレスや山狩りの実態を書くことによって、決して天皇制を否定しているわけはない。ただ、こんな人生もあるということを淡々と、哀しげに書いているだけだ。しかし、天皇陛下の行幸や、オリンピックや、高速道路の開通など、華やかな表舞台の反対側には、光と影のように別の世界が存在していること、そして人々がそれを見ようとしないことに気づかされる。今年もパリ五輪で熱狂したが、そもそもスポーツを始められる環境にない人たちだって大勢いる。みんながみんな、スポーツから夢や希望をもらうことができるだろうか? 最後は、主人公が駅のホームから身を投げたようにも、身を投げる想像をしているようにも受け取れる。そのとき、ふるさとの地に津波が押し寄せる映像が見える。また大切な人が、犠牲になるのが見える。 主人公が最後に自殺したのかどうか、読んだ人によって受け止め方が違うみたいだが、あえてそういう書き方をしているのかな。私は、あぁ、最後には死を選んだんだな、と思いながら読んだけど、最後まで読み切って、いや、やっぱり生きていくしかないんだなと思い直した。どんなに理不尽なことがあっても、愛する人をたくさん失っても、人は生きていかなければならない。悲しみをたくさん抱え込みながら。

Posted byブクログ

2024/08/15

上野公園のホームレスの男の生活を描いた作品。 作者は上野公園での取材をもとに描いている為、限りなくノンフィクションに近いフィクションである。ホームレスって、なんで仕事からしないの?仕事しようと思えばできるんじゃないの?正直この本を読む前はそう思っていた。そのような考えが一気に覆っ...

上野公園のホームレスの男の生活を描いた作品。 作者は上野公園での取材をもとに描いている為、限りなくノンフィクションに近いフィクションである。ホームレスって、なんで仕事からしないの?仕事しようと思えばできるんじゃないの?正直この本を読む前はそう思っていた。そのような考えが一気に覆った。 この作品を通して「山狩り」という言葉を初めて知った。「山狩り」とは、天皇や皇族が訪れる際に特別清掃、いわばホームレスの排除をすることである。 たしかに以前と比べると上野公園で最近ホームレスを見かけない。園内では大道芸や楽器を演奏するアーティストの活動が盛んになったり、外国人観光客がより一層賑わいを見せている。 「この単調な風景のどこかに、痛みが在る」 「この、似たような時間の中に、痛む瞬間が在る」 今、上野公園から姿を消したホームレスたちはどのように生活しているのだろうか。

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2024/07/28
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

以下の文章を見たときに、まさに自分のことだ、と思った(他にも共感者多いだろうけど) 「慣れることができなかっただけだ。どんな仕事にだってなれることができたが、人生にだけは慣れることができなかった。人生の苦しみにも、悲しみにも・・・喜びにも・・・」

Posted byブクログ

2024/06/17
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

福島生まれの男性が、家族のために出稼ぎ生活を送る間に息子を亡くし、60を過ぎて出稼ぎ生活に終止符を打って郷里に帰ってから妻を亡くし、子どもたち家族に迷惑をかけまいと東京に舞い戻ってホームレスになる。そして孫娘は震災の津波で亡くなった。 さまざまな事情を抱えているだろう、家のない人々との少ない会話。上野を行き来する家のある人々の会話。淡々とした彼の観察眼。 天皇や皇族が上野の博物館や美術館を訪れる時の「特別清掃」、山狩り。一度目の東京五輪時に出稼ぎで土木作業に従事した彼が見る、二度目の東京五輪の時代。「自分と天皇皇后両陛下を隔てるものは、一本のロープしかない。飛び出して走り寄れば、大勢の警察官たちに取り押さえられるだろうが、それでもこの姿を見てもらえるし、何か言えば聞いてもらえる」という言葉に、多くのものが集約されている。 誰もが見て知るホームレスの存在は、知っているだけで無視して日々を過ごし、山狩りのように、都合の悪い時だけ目を向けてどこかに追い払う存在になっている。衣食住という現代の人間の最低限のインフラを持たずに生きる人々に、誰も目を向けていない現状が、乾いた筆致で浮かびあがる。とても身近な国内のことですらこうなのに、戦争だ難民だというより距離のある出来事にいったい何ができよう、と自戒を込めて思う。 上野のホームレスには東北出身者が多いと書かれている。地域格差、経済格差。だが、そういう社会的説明では尽くせない、小さな出来事の積み重ねが、人の人生の歩みを隔てていく様子が読み取れる。家族の死や自然災害、他者への思いやりの深さ。 誰を責めるでもなく、自分の置かれた状況をどこか冷めた目で見ているのが哀しい。流される、という言葉が浮かんだ。

Posted byブクログ

2024/06/02

生きるために働くのか働くために生きるのか、自分のためにそうするのか他人のためなのか、死ぬために生きるのか生きるために生きるのか、何がなんだかよく分からなくなってくる。ドキュメンタリーのようでもあるけど時々夢想かなにかをしているのか?と思えるほど現実味がないように思えてきたりもする...

生きるために働くのか働くために生きるのか、自分のためにそうするのか他人のためなのか、死ぬために生きるのか生きるために生きるのか、何がなんだかよく分からなくなってくる。ドキュメンタリーのようでもあるけど時々夢想かなにかをしているのか?と思えるほど現実味がないように思えてきたりもする。あえてここに書かれていない空白の中にこそ主人公の思いがあるような気もしてくる。うーん。不思議な感じ。#河出文庫グランドフェア

Posted byブクログ

2024/05/22

この作品は1回だけじゃなく何度も読んで 読み砕きたくなる内容だった。 一読では難しさを感じる。 ただ、ホームレスでここまで読ませる作品も初めて出会ったなと思った。

Posted byブクログ

2024/05/18

上野公園のホームレスの過去を中心に描く。途中途中で絵画の描写や、公演を行き交う人たちの描写があるが、中身の関連性が感じられない、読みにくい、という感想。実際のホームレスの取材に基づいているようで、いろんな過去があるよなー、ということには改めて気づいた。山狩を通して天皇家の権力批判...

上野公園のホームレスの過去を中心に描く。途中途中で絵画の描写や、公演を行き交う人たちの描写があるが、中身の関連性が感じられない、読みにくい、という感想。実際のホームレスの取材に基づいているようで、いろんな過去があるよなー、ということには改めて気づいた。山狩を通して天皇家の権力批判?みたいなこともあったらしい。

Posted byブクログ