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あなたを選んでくれるもの CREST BOOKS
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商品詳細
内容紹介 | |
---|---|
販売会社/発売会社 | 新潮社 |
発売年月日 | 2015/08/27 |
JAN | 9784105901196 |
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商品レビュー
4.2
60件のお客様レビュー
- ネタバレ
※このレビューにはネタバレを含みます
映画監督である著者が、完成間近の脚本でスランプに陥って行き詰るところから話が始まる。そして思い付きで、メルカリやジモティーのオフライン版みたいな小冊子「ペニーセイバー」でものを売る人たちを訪ねて行ってインタビューすることを始めるのだ。そのインタビュー集がこの本。 出てくる人たちはみんな度肝を抜かれるような個性的な人々で(そもそも貧しさなどの理由があってこのご時世にインターネットを使用できない人々なのだ)、著者の短いインタビューでも強烈な印象を残す。他人のアルバムを集めて売ってるバム、オタマジャクシを売ってる高校生のアンドルー、あと妻に送ったエロいクリスマスカードの表紙だけ売ってる老人ジョーの話が面白かった。 最後の最後にインタビューしたジョーとの出会いが、脚本を大きく動かすのみならず著者の人生観まで変えていってしまう流れは本当に映画みたいだった。50歳を過ぎたら人生の残りは小銭みたいなもので何も成し遂げられないと書いていた彼女が、別に何歳だって人生は小銭で、その寄せ集めで、それこそが美しいのだ、と悟っていく。 ふんだんに載せられている写真がどれも良かった。こちらをまっすぐに見つめてくるまなざし、生活感あふれるごちゃごちゃのテーブル、ペット、古びた売り物の何か。おしゃべりなおばあさんの売ってるスーツケースがかわいくて、正直ちょっと欲しい。 ただ、読んでいると、インタビューする類の人たちにあまり関わり合いになりたくなさそうな著者の腰が引けた姿勢が気になってしまう。人生のことをインタビューするのに、彼らに寄り添うとまではいかなくても、深い話をしようという気が全くないのがもったいなく感じる。もらった食べ物を即捨てたり昔の盗みを誰でもすることみたいに悪びれもせず告白しているあたりもなんだかちょっと嫌だった。
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※このレビューにはネタバレを含みます
著者が見ず知らずの人にインタビューしたその記録。写真に映る人々や家もとても素敵で面白かった。 突然のインタビューを受けてくれた人とだけあってどの人も個性的で魅力的。特に最後のジョーとの出会いが映画に繋がっていく流れは素敵で映画も観たくなった。
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あるチャプターでこんな一文が出てくる。「彼の人生はあまりに強烈で、あまりに並はずれて重く、あらゆるフィクションを超越していた」。フィクションを超越する人生とは何だろう。生身の人間が持つリアリティの重みとは何だろう。 著者が本書でやったようにリアルで人と話すというのは、多かれ少な...
あるチャプターでこんな一文が出てくる。「彼の人生はあまりに強烈で、あまりに並はずれて重く、あらゆるフィクションを超越していた」。フィクションを超越する人生とは何だろう。生身の人間が持つリアリティの重みとは何だろう。 著者が本書でやったようにリアルで人と話すというのは、多かれ少なかれその人の人生に踏み込むということだ。現実は創作でも思いつかないようなものを見せつけてくる。誰かが意味を持って作るフィクションと違い、リアリティはたとえ理解が及ばなくても事実としてそこにあり、こちらに働きかけてくる。現実は時に解釈を寄せ付けない。その消化の難しさがリアリティの重みだと思う。 この本にはありきたりな人はただの一人も出てこない。印象的といえば全編がそうで、安易な解釈を拒む強烈なイメージの塊なのだが、私はこの部分が好きで、覚えておきたいと思った。「ジョーという役の肝はジョーだった。わたしが書いた台詞に意味なんてなかった。…たとえこの老優たちがアドリブをしても、それは彼らの人生を――つまり役者ひとすじに歩んできた人生を――映したものにしかならないだろう。彼らに魅力がなかったわけではない。ただ、彼らのなかに妻とパウパウ湖で出会った人は一人もいなかった」
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