炎の塔

五十嵐貴久(著者)

• 販売会社／発売会社: 祥伝社
• 発売年月日: 2015/07/01
• JAN: 9784396634735

商品レビュー

2025/12/09

五十嵐さんと言えば「リカ」シリーズですが、勿論リカシリーズ全て読ませて頂きました。
が、Xでこちらの作品を発見し早速読んだらもうノンストップで一気読みしてしまいました。
横山秀夫さんの刑事ものシリーズにハマったりもしましたが消防士ものは初でして。
しかも女性消防士なんだから応援せずにはいられませんよね。ラストはなかなかのあっさりだったので伝言ちゃんと伝えた？とも思いながら「波濤の城」ポチってました。笑

2025/11/30

銀座にそびえ立つ、地上100階、地下5階、高さ450メートルのファルコンタワー。オープニングセレモニー当日に火事が！
銀座第一消防署、略称"ギンイチ"が中心となって、消火と救助に当たる。ギンイチの消防士
、28歳の夏美が主人公。

火事が起きることはわかっているので、最初からドキドキしながら読んでいた。タワーの責任者である鷹岡が、まあわかりやすい成金のイヤなやつ。オープン日を延期したくないための無茶ぶりのせいで、最新鋭のビルで起こるはずのない火事が起こってしまうのだ。しかも、報告があっても頑として認めようとしない。しまいには、非常ベルをうるさいからと切ってしまう。こいつ、ありえない‥。と思っていたら、1人だけ逃げようとして死んでしまう。ちょっといい気味ではあるが、生き残って針の筵に座ってほしかったとも思う。

最初のボヤ騒ぎの時にたまたま派遣されたせいで、地獄のような火災現場で奮闘することになった夏美。才能や適性、女ならではのハンデに悩みながらも、やはり消防士で殉職した父親を想い、人を助けたい一心で頑張る。20歳まで普通に暮らして来た女の子が、そこから消防士を目指して実際になったのだから、並大抵の努力ではない。夏美がんばれ、と応援しながら読み進めた。
しかし、この現場でも夏美の同僚たちが何人も殉職していく。高層タワーの火事が、いかに危険で過酷なのか、思い知らされる。

亡くなるのは消防士だけではない。逃げる途中に炎に撒かれたり、せっかく乗り込んだ救助用のヘリコプターが突風で墜落したり。そして、自分を犠牲にして人の命を救った人もいた。子どもたちがたくさん乗ったエレベーターを無事に地上に降ろすために、邪魔になっていた鉄柱と共に墜落した笠原さん。最後に奥さんの名前を呼んだ場面で、泣いた。
高校の化学教師をしている中野さん。教え子とホテルに来るという登場の仕方で、最初はただのキモいやつだった。それが、夏美と、彼氏の折原と3人で、タワー崩落を食い止めるための奇想天外なミッションに挑む。結果、中野だけ命を落としてしまうのだ。瀕死の重症を負った身で、最後のピースをはめる。ターミネーター2の、あの場面を思い出した。最後に夏美と折原と別れる前に、付き合っていた女子高生に伝言を頼みたいと言う。「真剣に愛していた」と。中野さん、生きててほしかった。

ほぼほぼ、人災だった。しかし、救うのも人だ。

冒頭で、意図的な誤発注でプールサイドに運び込まれた塩酸5トン（！）。そして、折原が働いていたタワー内の恐竜展。こんな使われ方をするとは思いもよらず。かなりの力技ではあるけど、続きは明日でいいや‥を許さない迫力に満ち満ちた物語だった。

2025/11/27

#読了
2025/11/27
炎の塔/五十嵐貴久

凄く面白かった。読書垢さんのツイートで知って読んだんだけど、その方の仰っていた通りノンストップで最後まで読み切ってしまった。やっぱりムカつく会社の社長とかに腹を立てたり、自分を犠牲に誰かを救う人達に感動したり。これ映画化してないの嘘でしょ。