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無私の日本人 文春文庫
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商品詳細
| 内容紹介 | |
|---|---|
| 販売会社/発売会社 | 文藝春秋 |
| 発売年月日 | 2015/06/10 |
| JAN | 9784167903886 |

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商品レビュー
4.1
83件のお客様レビュー
本書では私心や私欲のない無私な人3人が紹介されています。古文書研究で名高い著者がこのまま歴史に埋もれさせては勿体ないと小説化。今のご時世では滅多にお目にかかれない無私な人3人の生き様は、私の心のダムを見事に決壊させました。
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我欲を捨てて生きる――言葉にするのは簡単だが、実行となると途端に難しくなる。本書は、そんな「無私」を地で行った江戸中期の人々の姿を描いた物語である。 登場するのは、穀田屋十三郎、中根東里、そして太田垣蓮月。いずれも名を残した人物ではあるが、その生き方の本質は「名を求めなかった」...
我欲を捨てて生きる――言葉にするのは簡単だが、実行となると途端に難しくなる。本書は、そんな「無私」を地で行った江戸中期の人々の姿を描いた物語である。 登場するのは、穀田屋十三郎、中根東里、そして太田垣蓮月。いずれも名を残した人物ではあるが、その生き方の本質は「名を求めなかった」ことにあるのかもしれない。 まず穀田屋十三郎。彼の住む吉岡宿は、仙台藩の直轄ではなく、負担ばかりが重くのしかかる土地であった。普通なら愚痴の一つもこぼしたくなるところだが、彼が考えたのは逆転の発想だった。藩に千両を貸し付け、その利息で宿場を救う――まるで現代の金融スキームのようだが、根底にあるのは私利ではなく、郷土を救いたいという一念である。 次に中根東里。博覧強記、清貧、そして筋金入りの変人。これほどまでに“学者らしい学者”も珍しい。だが彼は、名声とは無縁の生涯を選んだ。膨大な知識を持ちながら、それを作品として残さなかったからである。名を上げることより、学び続けることそのものに価値を見出した人だったのだろう。結果として、彼は「村儒者として生き、村儒者として死んだ」。だが、その潔さにこそ、ある種の気高さが宿る。 そして太田垣蓮月。美貌の女流詩人というだけでも物語が一つ書けそうだが、彼女の生涯はそれだけでは収まらない。美しさゆえの煩わしさから逃れるために歯を抜いたという逸話には、思わず息を呑む。だが晩年の彼女は、まさに「無私」の人であった。名声も、執着も、どこか遠くに置いてきたかのような静かな境地に至っている。 さて、こうした人物像を眺めていると、どうしても現代の我々の姿が重なってくる。 便利で豊かな社会は、人間の欲望を燃料にして動いている。それは否定しようのない事実であり、またその恩恵を受けているのも我々自身だ。だから「無私」と言われても、どこか現実離れした美談のように聞こえてしまう。 しかし、本書が示しているのは「昔の日本人は偉かった」という単純な話ではないだろう。 たとえばヨーロッパには、いまなおノブレス・オブリージュの精神が息づいているし、古代ローマに目を向ければ、公共事業を私財で賄った人々の名が遺跡に刻まれている。無私の精神は、時代や国を超えて、人間の中に確かに存在してきたものなのだ。 そう考えると、「無私」とは特別な人間だけの資質ではなく、誰の中にもかすかに残っている“可能性”なのかもしれない。 もっとも、それを日常で実践できるかどうかは、また別の話ではあるのだが。
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歴史関係の本は偉人を描いていることがほとんどだと思ってた。が、今回は違った。 この本では偉人としての認知度は低いものの、自らの地位や財産を投げ打って、世のため人のために全てを捧げた3人の生涯が綴られている。教科書に出てくる偉人と何ら引けを取らない。心が洗われるし、自分には何ができ...
歴史関係の本は偉人を描いていることがほとんどだと思ってた。が、今回は違った。 この本では偉人としての認知度は低いものの、自らの地位や財産を投げ打って、世のため人のために全てを捧げた3人の生涯が綴られている。教科書に出てくる偉人と何ら引けを取らない。心が洗われるし、自分には何ができるかを考えずにはいられなくなるような刺激的な本だった。 どの話も素敵だったが、中でも大田垣蓮月の話が一番心揺さぶられた感じがする。どんな卑しい者にも分け隔てなく、持っているものを分け与える。うまくいかない時も、周りに責任を求めるのではなく、自分自身が未だ何かに執着しているからだと悟る。絶対に並大抵の精神力じゃこれだけ無私になることなんてできないと思う。江戸無血開城も、蓮月の説得が関係しているのが事実なのだろうか。事実なら、凄すぎないですか、蓮月さん。。。
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