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無私の日本人 の商品レビュー

4.1

83件のお客様レビュー

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2026/04/08

本書では私心や私欲のない無私な人3人が紹介されています。古文書研究で名高い著者がこのまま歴史に埋もれさせては勿体ないと小説化。今のご時世では滅多にお目にかかれない無私な人3人の生き様は、私の心のダムを見事に決壊させました。

Posted byブクログ

2026/03/25

我欲を捨てて生きる――言葉にするのは簡単だが、実行となると途端に難しくなる。本書は、そんな「無私」を地で行った江戸中期の人々の姿を描いた物語である。 登場するのは、穀田屋十三郎、中根東里、そして太田垣蓮月。いずれも名を残した人物ではあるが、その生き方の本質は「名を求めなかった」...

我欲を捨てて生きる――言葉にするのは簡単だが、実行となると途端に難しくなる。本書は、そんな「無私」を地で行った江戸中期の人々の姿を描いた物語である。 登場するのは、穀田屋十三郎、中根東里、そして太田垣蓮月。いずれも名を残した人物ではあるが、その生き方の本質は「名を求めなかった」ことにあるのかもしれない。 まず穀田屋十三郎。彼の住む吉岡宿は、仙台藩の直轄ではなく、負担ばかりが重くのしかかる土地であった。普通なら愚痴の一つもこぼしたくなるところだが、彼が考えたのは逆転の発想だった。藩に千両を貸し付け、その利息で宿場を救う――まるで現代の金融スキームのようだが、根底にあるのは私利ではなく、郷土を救いたいという一念である。 次に中根東里。博覧強記、清貧、そして筋金入りの変人。これほどまでに“学者らしい学者”も珍しい。だが彼は、名声とは無縁の生涯を選んだ。膨大な知識を持ちながら、それを作品として残さなかったからである。名を上げることより、学び続けることそのものに価値を見出した人だったのだろう。結果として、彼は「村儒者として生き、村儒者として死んだ」。だが、その潔さにこそ、ある種の気高さが宿る。 そして太田垣蓮月。美貌の女流詩人というだけでも物語が一つ書けそうだが、彼女の生涯はそれだけでは収まらない。美しさゆえの煩わしさから逃れるために歯を抜いたという逸話には、思わず息を呑む。だが晩年の彼女は、まさに「無私」の人であった。名声も、執着も、どこか遠くに置いてきたかのような静かな境地に至っている。 さて、こうした人物像を眺めていると、どうしても現代の我々の姿が重なってくる。 便利で豊かな社会は、人間の欲望を燃料にして動いている。それは否定しようのない事実であり、またその恩恵を受けているのも我々自身だ。だから「無私」と言われても、どこか現実離れした美談のように聞こえてしまう。 しかし、本書が示しているのは「昔の日本人は偉かった」という単純な話ではないだろう。 たとえばヨーロッパには、いまなおノブレス・オブリージュの精神が息づいているし、古代ローマに目を向ければ、公共事業を私財で賄った人々の名が遺跡に刻まれている。無私の精神は、時代や国を超えて、人間の中に確かに存在してきたものなのだ。 そう考えると、「無私」とは特別な人間だけの資質ではなく、誰の中にもかすかに残っている“可能性”なのかもしれない。 もっとも、それを日常で実践できるかどうかは、また別の話ではあるのだが。

Posted byブクログ

2026/02/15

歴史関係の本は偉人を描いていることがほとんどだと思ってた。が、今回は違った。 この本では偉人としての認知度は低いものの、自らの地位や財産を投げ打って、世のため人のために全てを捧げた3人の生涯が綴られている。教科書に出てくる偉人と何ら引けを取らない。心が洗われるし、自分には何ができ...

歴史関係の本は偉人を描いていることがほとんどだと思ってた。が、今回は違った。 この本では偉人としての認知度は低いものの、自らの地位や財産を投げ打って、世のため人のために全てを捧げた3人の生涯が綴られている。教科書に出てくる偉人と何ら引けを取らない。心が洗われるし、自分には何ができるかを考えずにはいられなくなるような刺激的な本だった。 どの話も素敵だったが、中でも大田垣蓮月の話が一番心揺さぶられた感じがする。どんな卑しい者にも分け隔てなく、持っているものを分け与える。うまくいかない時も、周りに責任を求めるのではなく、自分自身が未だ何かに執着しているからだと悟る。絶対に並大抵の精神力じゃこれだけ無私になることなんてできないと思う。江戸無血開城も、蓮月の説得が関係しているのが事実なのだろうか。事実なら、凄すぎないですか、蓮月さん。。。

Posted byブクログ

2026/02/10

「穀田屋十三郎」寂れる宿場町を立て直そうと村人・百姓・庄屋が立ち上がり資金を集め、金貸業を計画。貸付先は金策で難儀している藩・武士でいくつもの難儀を乗り越えていく村人の勇姿を映し出す史実の物語だ。現代風では道理にない発想から国民が固い頭の国を動かし、敷いては国に承認させ、国の仕組...

「穀田屋十三郎」寂れる宿場町を立て直そうと村人・百姓・庄屋が立ち上がり資金を集め、金貸業を計画。貸付先は金策で難儀している藩・武士でいくつもの難儀を乗り越えていく村人の勇姿を映し出す史実の物語だ。現代風では道理にない発想から国民が固い頭の国を動かし、敷いては国に承認させ、国の仕組みを変えさせる、と言う筋書きとなる。「逆転の発想」的な嘆願書で国を納得させるのだ。国は国民から多くの税金を搾取し、政治家らが思いのある事業へ、企業への分配で税金を使う。一旦政治の腐敗、もしくは独走が起きても国民は選挙でしか合否ができない仕組みは不都合だ。政治家等の特権、不当な行動、振る舞いなどを監視しする第3者的存在、国民的組織が必須だと考える。本書にある「中根東里」博学があっても無欲な人間の人生は哀れなもの。人の欲はほどほどにあることが大切だ。「大田垣蓮月」才能ある人は何をやっても成就する、だがそれを恵まれない人に分け与える心に感動する。「素直なる心の言葉は古に、帰らん道の姿なりけり」(言葉というものはいくら言い散らしても、花を思えば、実はない。言葉というのは、人の心の声だから、思いの丈を延べるほかない。思うことを言わずにいられないと思うと、草木でさえも風に託して声を立てるのだから)

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2025/12/11

磯田道史の歴史小説集『無私の日本人』を読みました。 磯田道史の作品を読むのは初めてですね。 -----story------------- 貧しい宿場町の行く末を心底から憂う商人・穀田屋十三郎が同志と出会い、心願成就のためには自らの破産も一家離散も辞さない決意を固めた時、奇跡へ...

磯田道史の歴史小説集『無私の日本人』を読みました。 磯田道史の作品を読むのは初めてですね。 -----story------------- 貧しい宿場町の行く末を心底から憂う商人・穀田屋十三郎が同志と出会い、心願成就のためには自らの破産も一家離散も辞さない決意を固めた時、奇跡への道は開かれた―無名の、ふつうの江戸人に宿っていた深い哲学と、中根東里、大田垣蓮月ら三人の生きざまを通して「日本人の幸福」を発見した感動の傑作評伝。 ---------------------- 2012年(平成24年)に刊行された作品で、以下の3篇が収録されています。  ■穀田屋十三郎  ■中根東里  ■大田垣蓮月  ■あとがき  ■解説 論理と情緒を兼ね備えた人 藤原正彦 感涙必至! 人気歴史家が描く、美しい日本人……江戸に生きた3人の清冽な日本人の人生を、人気歴史家が資料をもとに緻密に描きあげた感涙必至の物語、、、 真に偉い人物がここに! 貧しい宿場町の行く末を心底から憂う商人・穀田屋十三郎が同志と出会い、心願成就のためには自らの破産も一家離散も辞さない決意を固めた時、奇跡への道は開かれた―無名の、ふつうの江戸人に宿っていた深い哲学と、中根東里、大田垣蓮月ら三人の生きざまを通して「日本人の幸福」を発見した感動の傑作評伝。 歴史学者・磯田道史が古文書を丹念に読み解き、江戸期に「無私」の精神で生きた3人の人物を描いた作品集……庶民、知識人、女性という、それぞれの立場で「自分より他者を優先する」生き方を選んだ人々の姿が浮かび上がっていましたね、、、 『穀田屋十三郎』は『殿、利息でござる!』というタイトルで映画化されているようですね。 3人のそれぞれの生き方に感銘を受けましたが、やはり印象的だったのは『穀田屋十三郎』、、、 伊達藩の財政難と宿場町・吉岡宿の疲弊を救うため、十三郎ら町人が「藩に金を貸し、その利息を町民に分配する」という前代未聞の奇策を実行……破産覚悟で資金を集める姿は、共同体のために私財を投げ打つ「無私」の精神を体現しており感動的だったし、現代における地域再生や公共性のあり方を考える上で示唆に富んだ内容だと思いますね。 財布を落としても戻ってくる……という日本の社会の基盤は、こうした「無私」の精神が根底にあるんだろうな と感じました、、、 また、親切ややさしさ、対面、身分相応、公共心、家意識、家格、廉恥……等々、当時の価値観について、詳しく触れられていたことも印象的でした。 これらの価値観が、現代社会を形成するうえでの根本になっていたんでしょうね……これからも残していきたい価値観や考え方、美徳について考えさせられた一冊でした。

Posted byブクログ

2025/12/08

古文書好きの歴史研究者による無私を貫く江戸の人物3篇。人間やはり自分が大事であるが、作品における三人は兎に角、他人を救うことに全力を注ぐことで、今の自分では未熟で、共感という面では難しいが、とても清々しい人物たちを見習い、人が喜ぶことを無常の愉しみと考えることが出来る人になりたい...

古文書好きの歴史研究者による無私を貫く江戸の人物3篇。人間やはり自分が大事であるが、作品における三人は兎に角、他人を救うことに全力を注ぐことで、今の自分では未熟で、共感という面では難しいが、とても清々しい人物たちを見習い、人が喜ぶことを無常の愉しみと考えることが出来る人になりたいと感じる。 大田垣蓮月の中で「自他平等の修行」心に自分と他人の差別を無くする修行を生涯続けること、に感銘した。蓮月の最晩年のシーンでは思わず落涙。 司馬遼太郎の文体に似ている気がしとても読みやすいと感じた。作者のほかの作品も読んでみたい。

Posted byブクログ

2025/10/04

映画「殿、利息でござる!」の原作。映画がよかったので、映画観てしばらくたってから読みました。文章も読みやすく、どんどん読み進められます。こんなかっこいい日本人が、実は市井には、世の中には沢山いるのかも。と誇らしく思いました。すべての日本人に読んで、読みつがれて欲しい一冊です。

Posted byブクログ

2025/04/14

無名の普通の日本人にあった哲学 こんな無垢な精神を持ち 我が身の保身や利益ではなく 地域の人のために全てを投げ出し 全財産を 家族を失う事になっても よしとした市井の人々 気持ちをグッと掴まれた 何が無くても私利私欲に走る現代 お金のある無しで全てを判断する人々 出世の為に人を...

無名の普通の日本人にあった哲学 こんな無垢な精神を持ち 我が身の保身や利益ではなく 地域の人のために全てを投げ出し 全財産を 家族を失う事になっても よしとした市井の人々 気持ちをグッと掴まれた 何が無くても私利私欲に走る現代 お金のある無しで全てを判断する人々 出世の為に人を貶める人 そんなことをみてきた者として 本物とは何かを思い出させた作品 こんなに潔く生きてはいけないが 善とは何か考えて行動したい 3篇共に素晴らしい作品 日本人の心根について考えさせられた 歴史ものだけど一気に読めた

Posted byブクログ

2025/01/19

おすすめ。 #教養 #感動 #興味深い 書評 https://naniwoyomu.com/38935/

Posted byブクログ

2025/01/05

映画観ていい人ばかりと思って読んだら映画以上にいい人ばかり。これを読むと世のために自分ができることを考えさせる。

Posted byブクログ