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華氏451度 新訳版 ハヤカワ文庫SF
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華氏451度 新訳版 ハヤカワ文庫SF

レイ・ブラッドベリ(著者), 伊藤典夫(訳者)

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華氏451度 新訳版 ハヤカワ文庫SF

定価 ¥1,650

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商品詳細

内容紹介
販売会社/発売会社 早川書房
発売年月日 2014/06/27
JAN 9784150119553

華氏451度 新訳版

¥1,155

商品レビュー

3.9

443件のお客様レビュー

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2026/09/21

華氏451度、摂氏にすると約233度。紙が自然発火して燃える温度である。 本作で描かれる近未来のアメリカでは、本は自然発火することはないが人為的に燃やされている。なぜ本の所有が禁止され、見つかると燃やされるのか、本を燃やすことを職分とする「昇火士(fireman)」たちもすでに把...

華氏451度、摂氏にすると約233度。紙が自然発火して燃える温度である。 本作で描かれる近未来のアメリカでは、本は自然発火することはないが人為的に燃やされている。なぜ本の所有が禁止され、見つかると燃やされるのか、本を燃やすことを職分とする「昇火士(fireman)」たちもすでに把握していない。けれど、物事に両面があること、人間の野蛮さや孤独さを知らせるようなもの、平和で幸福であるべき世界を乱す不幸や悲しみや恐怖をもたらす情報を排除するべく、スピーディーで刺激的な没入型の娯楽番組を発展させる一方で本が排除されたのだということが、次第に明らかになる。 舞台となっている都市では戦争が間近に迫っているが、市民たちは誰もそれを真剣に受け止めていない。思い悩まず、想像せず、情報を組み立てず、ただスピードと刺激の中で生きている。生きている、単に時間を、日々を、人生を空虚に燃やしている。 昇火士のモンターグは、隣家の不思議な少女と出会ったことで、己の置かれている環境について意識を向けるようになる。少女が語る自然や言い伝え、彼女が口にする「なぜ」の言葉に知らぬ間に目が開かれ、忘れていた、あるいは目を背けていた現実世界の手触りと再び出会い直すモンターグだが、少女が不意に消えたことで、迷いを深くする。その結果、彼自身も思いもよらなかった方向へと人生が変わっていくのだが――― 本とは何か。なぜ我々は、私は、本に惹きつけられるのか。燃やされる本たちの姿を思うと胸が痛み、所有者たちの辛さを他人事でなく受け止めてしまう私だが、本作で描かれるディストピアは、違う形で現実のものとなり始めている気もしてゾッとする。 本作が書かれたのは1950年代始めで、核爆弾をもって戦争を終わらせたアメリカが、冷戦下の緊張の裏で進む経済的繁栄のなかにあった時期である。作品のベースには核による世界滅亡の危機や思想弾圧への危惧があったのだろう。けれど、読書においても「タイパ」が求められ、動画やゲームは楽しんでも本は読まないという人が増えている現代、どんどんスピードが上がる刺激的娯楽、考えない、考えさせない社会の構造は実現しつつあるのではないか。そして、そんな社会を築く原動力となっているのは、独裁政権でもなければ軍事権力でもない、何よりも「幸せな気持ちでいたい、心痛めるものは見たくない」という我々自身の弱さ、インスタントな快楽で時間を埋めて思考することのしんどさから逃げようとしている反射的逃避なのではないか。 本は私の心を癒し、非日常の世界に逃避することでリフレッシュさせてくれる。だがそれだけのために本を開くのでは、インスタントな快楽を追う本作の登場人物たちと同じことだ。本が与えてくれるもの、見せてくれる世界は、癒しやリフレッシュだけではない。本の世界で知る痛みや苦悩をまっすぐに受け止め、この世の汚泥と矛盾、悲哀と敗北を見つめてこそ、本という形ではるか昔から人間たちが積み上げてきた知を人生の糧とすることができるのではないだろうか。非日常の世界で時間を燃やし消費するだけではない、血肉となる読書を続けていきたい。

Posted by ブクログ

2026/09/08
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

本が禁止された世界のお話。 様々な情報を統制され、自分で考えることをしなくなった人間への警鐘が根底に流れている。 ただ、個人的にはあまり話が入ってこずなかなか気持ちが乗らないまま終わってしまった。こういうたいぷのSFはやっぱり苦手かも。 でも、本が私たちに何を教えてくれるかというメッセージはよかった。

Posted by ブクログ

2026/09/06
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

ラストのあっけなさを含めてディストピアだ……。 火を燃やすことに愉悦を感じていたはずのモンターグが、クラリスとの出会いをきっかけに昇火することから背を向けるまでの過程にゆっくり首を絞められているような閉塞感があった。 マクレラン一家のような、創造的でいろんなことを気にするひとたちは管理社会にとって都合が悪いんだなあ。 キーマンなのにクラリスの退場が早すぎてびっくりした……。 「ぼくらは、しあわせになるために必要なものはぜんぶ持っているのに、しあわせではない」の言葉が好き。 モンターグが都市から逃げ出した後、放浪者たちのひとりが言っていること(価値があるとわかっていたらどんなに繰り返してもつらくはない)がニーチェっぽいなと思った。 一瞬で都市は壊滅したけど、現実に本気で兵器を持ち出した戦争をしたらこんな感じで本当に一瞬で終わるんだろうなあ……。

Posted by ブクログ

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