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人質の朗読会 中公文庫
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商品詳細
内容紹介 | |
---|---|
販売会社/発売会社 | 中央公論新社 |
発売年月日 | 2014/02/22 |
JAN | 9784122059122 |
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人質の朗読会
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商品レビュー
3.9
207件のお客様レビュー
語り合う場所は危機的な状況なのに、話す内容はどこか穏やかで温かい気持ちにもなる 私だったら、どういうことを話すだろう…
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朗読される内容がどれも温かくて優しいものばかりでした。 ほんとにいつまでも朗読会が続けば良いのに、と思ってしまいました。 重たい感じもなく良かったです。 もし死ぬのかも…、という状況の中で自分だったら過去のどんな話をするのだろうか。 こんな温かい内容自分には話せないかも…。 い...
朗読される内容がどれも温かくて優しいものばかりでした。 ほんとにいつまでも朗読会が続けば良いのに、と思ってしまいました。 重たい感じもなく良かったです。 もし死ぬのかも…、という状況の中で自分だったら過去のどんな話をするのだろうか。 こんな温かい内容自分には話せないかも…。 いや、口ベタで上手に話せないかも…。 そんなこんなを考え、過去を思い返してみたり、さらにこの先の生き方を考えさせられました。
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9篇からなる短編小説集で、冒頭から小川洋子さんらしからぬ衝撃的な設定があります。各編の外側に別の世界を準備することで、連作ではない短編どうしがつながる発想と構成が見事です。 物語は、地球の裏側の小さな村で、遺跡観光ツアーの日本人8名が反政府ゲリラに拉致、という報道から始まり...
9篇からなる短編小説集で、冒頭から小川洋子さんらしからぬ衝撃的な設定があります。各編の外側に別の世界を準備することで、連作ではない短編どうしがつながる発想と構成が見事です。 物語は、地球の裏側の小さな村で、遺跡観光ツアーの日本人8名が反政府ゲリラに拉致、という報道から始まります。事件発生から百日以上過ぎ、犯人の仕掛けたダイナマイトの爆発で人質は全員死亡。 さらに2年が過ぎ、特殊部隊の盗聴テープに録られた人質の音声が公開されます。人質たちが順に自らの過去を語った様子は、「人質の朗読会」と題しラジオ番組で流され、その放送を一夜ごとに再現したのが本書の内容です。 7(ツアー客)+1(ツアーガイド)+1(政府軍兵士)一人一人の語りから見えてくることがあります。他人には些細なことでも当人にとっては特別で、記憶の中に染みつき、意識の底に刷り込まれた出会いがあるのだと‥。 そして、各編の共通点として「死」と「祈り」が見え隠れします。さらに本書の冒頭、既に8人は救出作戦が失敗し、死亡していることが明かされており、言わば死者が語る自らの物語なのです。 確かに、物語によって死者たちが蘇り、生きた証を伝えることでこの世とつながり続けることができるのでしょう。ただ小川さんは、人物の内面には決して踏み込みません。冷徹かつ克明な描写に徹することが、透明感あふれる筆致を生むのでしょうか。幻想的に見えながら、輪郭が明確でリアリティが失われない世界に、感心し圧倒されます。ある一人の人間が生きたある時間を追体験する‥、不思議で妙に心に残る読書体験でした。 不思議な巡り合わせですが、本書(単行本)が発刊された直後、東日本大震災が発生し一万人を超える方が亡くなりました。当然ながら、一万を超す一人一人の物語があったはずで、これを誰が書き残し伝えていくのでしょう‥。
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