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商品詳細
| 内容紹介 | |
|---|---|
| 販売会社/発売会社 | 新潮社 |
| 発売年月日 | 2014/01/24 |
| JAN | 9784103336426 |

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商品レビュー
3.2
158件のお客様レビュー
- ネタバレ
※このレビューにはネタバレを含みます
同郷の作家、小山田浩子の芥川賞受賞作。 文章自体は読みやすいのに、どこか不穏で気味が悪い雰囲気が漂う独特の作品だった。 ○穴 夫の地元への転居を機に、社会的肩書をなくした主人公・あさひが、家族や地域社会の中で個性を無くしていく様子が描かれる物語。 あさひが河原で穴に落ちるシーン以降、黒い獣・義兄・子供らという存在しないものたちが描かれ、謎が残されたまま物語は終わる。 個人的には、下記の理由から義兄は実存する可能性を否定しきれないと感じた。 ・姑があさひに支払をお願いした封筒の中の金額が2万円合わない (姑が返金したのは4000円のみ。残りの2万円の行方が不明) ・世羅さんの「タカちゃん」発言 少なくとも、姑に顔が似てきたというラスト一行から、あさひが個の存在をなくして地域社会という「穴」に落ちたことは断定できる。 随所で使用される広島弁や県北といった表現から、おそらく広島県北部がモデルになったと思われる。確かに広島の県北は田舎。もちろんいいところだが。 主人公のあさひが、そんな田舎に引っ越した際に感じた都市部との生活ギャップの描き方が秀逸だった。 「朝から晩まで働かないと生活できない私と、昼前には一通りの用事が済んであとは夕食を作るまで呆然としていてもいい私と、本当に同じ人間だろうか。一週間で飽きる、と思ったが実際は一日で飽きた。(中略) 時間が経つのが遅いのに、一日、一週間が過ぎるのが異様に早い。様々な予定、納期、ミーティング、給料日、そういうもので時々刻々を刻まないと、時間というのはずるりと垂れ落ちてその速度を把握できなくなってしまうものらしかった。」(p.24-25) ↑自分自身、都市部から田舎へ転居した経験があるのでこの感覚にはとても共感した。その感覚を、とても丁寧に言語化する著者の文学的センスに驚いた。 ○「いたちなく」・「ゆきの宿」 主人公夫婦と斉木君夫婦との交流を描く物語。いずれの作品においても、女性が持つ「母性」について取り扱う。 主人公は夫婦関係や将来のことについて全く何も考えておらず、妻が精液検査キットを渡してきても笑ってしまうようなダメ男。斉木君も近所の人をババア呼ばわりしたり、人間的にまだまだ未熟な印象を持つ男として描かれる。 それとは対照的に、主人公の妻や洋子さん(斉木君の妻)は家庭的で、こどもはいないにしろ「母性」を備えた人間として描かれる。 「いたちなく」では、「イタチの母親を殺すと他のイタチが家に住みつかなくなる」という結末から、家庭における「母」の強さを暗示して物語は終わる。 その後日譚となる「ゆきの宿」では、「いたちなく」で描かれたダメ夫たちの愚痴を通してなのか、妻同士がしっかり交流を深めている。 そして、斉木君夫婦にこどもが生まれ、斉木君は立派に家事をこなす男として成長した姿が描かれる。 その中でも、主人公だけは精神的に成長しておらず、一人だけ味覚が幼い描き方がされる。 ラスト、雪の中で近所のお婆さんに妻が妊娠していることを告げられた後、あえて主人公の心理描写をせずに情景描写で終わるところが本作の深みを増している。 この後、主人公は立派な男となり、主人公夫妻は幸せを掴むことができるのか? ハッピーエンドともバッドエンドとも言えない、不思議な余韻が残る終わり方だった。
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芥川賞受賞作。短いのですぐ読めます。不思議な話ですね。夫の転勤で姑の家の隣に派遣勤務を辞めて引っ越し夫の家族と交流し、謎の動物とその作る穴、虚幻?の義兄とのやりとりの日々。人物の表情や着ているもの、自然や食べ物の描写が解像度高く書かれており、読みにくくはないのだけれどリズムが独特...
芥川賞受賞作。短いのですぐ読めます。不思議な話ですね。夫の転勤で姑の家の隣に派遣勤務を辞めて引っ越し夫の家族と交流し、謎の動物とその作る穴、虚幻?の義兄とのやりとりの日々。人物の表情や着ているもの、自然や食べ物の描写が解像度高く書かれており、読みにくくはないのだけれどリズムが独特と感じました。何(主題)を書いているのか分からない。それまでと環境がかわり、まやかしの世界に紛れ同化していくという様でしょうか。楽しいとか、感心するとか、怖いとか、共感するとかではなく、ちょっとのズレで変な世界にいるみたいな話でした。つまらなくはないけど面白くもない。つかみどころない感想でした。 他の2編の方がとっつきやすいです。ありそうで、共感するシーンが多い。これも解像度高い。物事がどこでどう起きているかの視覚的イメージが高い。料理の説明とかなかなか自分でインスタに書けないので感心しました。
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正直出てくるモチーフについて、どれもなんの暗喩だか分かりそうで分からない。全てめちゃくちゃ意味がありそうでもなさそうでもある。 でも、だからこそ繰り返し読みたくなる。このどれが現実かわからない不気味な雰囲気、かなり癖になる。だいぶ好き。よくわからなくたって面白い。 『穴』は子孫を...
正直出てくるモチーフについて、どれもなんの暗喩だか分かりそうで分からない。全てめちゃくちゃ意味がありそうでもなさそうでもある。 でも、だからこそ繰り返し読みたくなる。このどれが現実かわからない不気味な雰囲気、かなり癖になる。だいぶ好き。よくわからなくたって面白い。 『穴』は子孫を残すための家族というシステムに自動的にというか、穴に落ちるようにうっかり組み込まれる怖さを描いているのかな。主人公はいろいろと不思議なことには遭遇するが、引っ越した家は田舎とはいえ同じ県内だということや、そもそも夫の実家の隣の借家のことを全然知らないというのが、身近にこそよくわからない穴があると示すようで示唆的。 『いたちなく』『ゆきの宿』は、他の生命を踏みつけにしてでも、生命を何が何でも後に残す獰猛な本能の恐ろしさという感じかな? 主人公たちと年もそこそこ近く、意味がわからないなりに共鳴できた気もする。どうせよくわからない気もするが、とりあえずもう一回読み直そうと思う。
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