穴 の商品レビュー
とにかく穴とは一体なんなのか、 義理の祖父の水撒きや、姑、舅が 昼間は何処にいるのか、働いている とは言っているが何をしているのか 全く謎だ。 夫は携帯を離さず妻と暮らしている 様に見えるが存在はその家には 無い様である。 穴や見えない獣、全く知らない義兄 と接する内に田舎の因習...
とにかく穴とは一体なんなのか、 義理の祖父の水撒きや、姑、舅が 昼間は何処にいるのか、働いている とは言っているが何をしているのか 全く謎だ。 夫は携帯を離さず妻と暮らしている 様に見えるが存在はその家には 無い様である。 穴や見えない獣、全く知らない義兄 と接する内に田舎の因習、その地に すっかり馴染み姑と同じ顔、お嫁さん にすり替わっていた。 他の連作の二篇も都会と田舎、女二人の 何かを含くみを持った会話や男達との 見えない薄い膜、全ての作品が何か不穏 で不安を掻き立てる。
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河原にある胸の高さほどの深さの穴、それが示すことは最後まで明かされず、そして義祖父が亡くなってから、河原にいた多くの子供たちは忽然と姿を消えたり、黒い謎の獣、いるはずのない義兄など、最初から最後まで全体的に不気味な雰囲気が漂う作品だった。 しかし、不気味で少し怖い要素も含まれてい...
河原にある胸の高さほどの深さの穴、それが示すことは最後まで明かされず、そして義祖父が亡くなってから、河原にいた多くの子供たちは忽然と姿を消えたり、黒い謎の獣、いるはずのない義兄など、最初から最後まで全体的に不気味な雰囲気が漂う作品だった。 しかし、不気味で少し怖い要素も含まれているのにも関わらず、そこまでホラーな雰囲気をまとっていないのが、著者が紡ぐ文章の巧さから来ているものだと考える。 知らない土地で、姑家族と過ごすという一見ありふれた内容ではあるのだが、そのありふれた日常の部分に潜む非日常の部分に着目して、作品は展開されているのだろう。 私たちの何気ない日常にも、気づいていないだけでこの作品のような不気味で、だが不思議と怖さはない少し非日常な部分が潜んでいるのだろうか。
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タイトルの“穴”にスリリングさを感じて手に取ったが、奇妙な出来事が起こるけれども不条理を承服するどこまでもリアリスティックな物語だったように思う。現代社会における矛盾や問題に多くの人がそうするように、声をあげず諦観し慣れてゆく様が写し出されているように思う。諦観を抱くような読後感...
タイトルの“穴”にスリリングさを感じて手に取ったが、奇妙な出来事が起こるけれども不条理を承服するどこまでもリアリスティックな物語だったように思う。現代社会における矛盾や問題に多くの人がそうするように、声をあげず諦観し慣れてゆく様が写し出されているように思う。諦観を抱くような読後感は嫌いでは無い。 ▼獣が出てくるなら、村上春樹の「緑色の獣」(収録『レキシントンの幽霊』)くらい突っ切る話を期待していたが違っていたので半読了。またいつか残り二篇を読むことにする。
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漸く家にかえってます。 ってな事で小山田浩子の「穴」 穴 いたちなく ゆきの宿 の3編集。 西加奈子さんの日常生活を綴る感じは似てるかもw いたちなくとゆきの宿は続編になってる。 じゃが、深くはないかなぁ…。 最後に余韻や不満を残す感じの終わり方。 続編が続け...
漸く家にかえってます。 ってな事で小山田浩子の「穴」 穴 いたちなく ゆきの宿 の3編集。 西加奈子さんの日常生活を綴る感じは似てるかもw いたちなくとゆきの宿は続編になってる。 じゃが、深くはないかなぁ…。 最後に余韻や不満を残す感じの終わり方。 続編が続けば面白い展開になるんかなw 2015年24冊目
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小山田浩子『穴』読了。中編で表題作の「穴」、連作短編「いたちなく」「ゆきの宿」の三篇を収録。 「穴」 夫の転勤に伴い彼の故郷の街にやってきたあさひ。非正規の仕事を辞めて求職中だが田舎町で車がないと話にならない場所で、決め手がないままいつになく暑い夏を過ごしている。 そんなある日義...
小山田浩子『穴』読了。中編で表題作の「穴」、連作短編「いたちなく」「ゆきの宿」の三篇を収録。 「穴」 夫の転勤に伴い彼の故郷の街にやってきたあさひ。非正規の仕事を辞めて求職中だが田舎町で車がないと話にならない場所で、決め手がないままいつになく暑い夏を過ごしている。 そんなある日義母に頼まれたおつかいに行くが、途中の川原で奇妙な獣を見かけてあとを追いかけたら突然すっぽりと穴に落ちた。 引っ越して以来夫と夫の実家(というかほぼ義母)以外との交流は無く孤独な毎日を送るが、何もすることがなくても精神的にはあまり変調は来さないんだな。いや、これ自体が変調なのだろうか。いわば今まで見えていた世界と、それに重なるように、見えたり隠れたりするのだけれども、それは不思議で混乱するのだけれどもあさひは自分の中だけに収めようとする。夫は遅くまで仕事で忙しいし、家にいるときもスマホで何かやり取りしていて上の空だったりする。義実家では祖父はうまくコミュニケーションが取れず、父母とも仕事で忙しいようで干渉がほとんど無いのはいいが、義父などほぼ見かけることがない。この辺も案外アバウトなんですよね。 そういうこともあっておかしなこともおかしいままに放置されていて、この作品全体の緩さが形成されている。果たして、あれは何だったんだろうね。 導入部は「市内」のあさひのかつての職場がメインの場面として出てくるが、そこでは存分に現代の世知辛さが当たり前のこととして語られる。そこもまた、おかしな部分ではあるけれどもあさひは「そういうもの」として受け取っているところがあり、そういう意味ではいわゆる現実世界のおかしさも、引っ越した田舎町でのおかしさも同列に語ることができるのかもしれない。小山田作品ってそういうところがあるよなあ。 小山田的マジックリアリズム、とわたしは呼んでいる。 「いたちなく」 男の大学時代の友人が結婚して田舎の一軒家に新居を構えた。さぞや幸せいっぱいかと思いきや、いたちの被害に悩まされているという。そこへ招待され、ともにぼたん鍋をつつくが。 友人二人の会話がやたらと小津口調(戦前戦後くらい?)。これは「穴」にも一部あったことで、明らかな違和感というか、現実の世界と切れているような感触を抱かせるけれども、一瞬のフォークロア的な演出となっているのかな。 ここではいたち対人間、ではあるけれども、男対女という見えない対立もある。女の心境は明かされず、夫たちもあまり気にしていないところかまたおかしみがある。むしろ、いたちに近い。というより……。 「ゆきの宿」 友人夫妻に子供ができた。ある日子供の顔を見に夫婦で訪問すると尋常ではない大雪に見舞われ、友人の家で一晩世話になることになる。「いたちなく」では「となりのばばあ」呼ばわりだった女性も土地固有のいなり寿司を差し入れてくれるが。 これもまた、特に別部屋にこもる友人の妻の奇妙さ、それに異様に親しむ妻の不可思議さが描かれている。女性を、そのまま遠いものとして見ているような。こういう温度差がたまらなくおかしみを呼ぶ。
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「穴」(小山田浩子)を読んだ。 「穴」 「いたちなく」 「ゆきの宿」 の三篇 「穴」 わぁーお! このむずむず感。 穴に落ちて異世界へというと梨木香歩さんの「f植物園の巣穴」を思い出すけれど、ニュアンスが少し違うな。 "こちら側から向こう側への移動”ではなく&quo...
「穴」(小山田浩子)を読んだ。 「穴」 「いたちなく」 「ゆきの宿」 の三篇 「穴」 わぁーお! このむずむず感。 穴に落ちて異世界へというと梨木香歩さんの「f植物園の巣穴」を思い出すけれど、ニュアンスが少し違うな。 "こちら側から向こう側への移動”ではなく"こちは側と向こう側の混淆”かな。 「いたちなく」と「ゆきの宿」は続きものですが、表題作の「穴」よりこちらの方が好きだな。 こういうの読むと《あぁ、上手いなあ!いいなあ!》と唸るのである。 「工場」を読んだ時、《小山田浩子という名前はしっかり覚えておかねば》なんて思ったにもかかわらず、あれからもう九年も経ってしまっていたよ。
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夫の仕事の都合で夫の実家の隣に住むことになった夫婦。 自分の仕事を辞めて、自由気ままな主婦業に戸惑う日々だったが、ある日穴に落ちてから、少しずつ何か違和感のようなものに遭遇する。 夫や義母にも知らされていなかった夫の兄だという人、義祖父の行動、外をうろついている見たこともない...
夫の仕事の都合で夫の実家の隣に住むことになった夫婦。 自分の仕事を辞めて、自由気ままな主婦業に戸惑う日々だったが、ある日穴に落ちてから、少しずつ何か違和感のようなものに遭遇する。 夫や義母にも知らされていなかった夫の兄だという人、義祖父の行動、外をうろついている見たこともない獣。 不思議な話。いったい何だったんだろう。
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主人公と同じく仕事を辞め、時間はいっぱいある。こんな白昼夢を見るようになる前に何か始めなくてはという思いと、ちょっと見てみたいかもという思いもあったり…世界観は、さすが芥川賞ってかんじかなぁ。
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表題の受賞作品もいいが、「いたちなく」「ゆきの宿」もとても良い。 もっと早く手に取っていればよかった。これからほかの作品も読みたい。
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なんだろう… ずっとぬめっとした不気味さを感じる作品 表題作の【穴】なんて…正直、全然意味がわからない。 意味ありげな描写が…まったく伏線でもなんでもなくて… え?結局何だったの? なんだか分からない分それも不気味
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