商品レビュー
3.8
51件のお客様レビュー
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バッハマン教授…ヘトアハテルハイスは時を超えてアンネに名前を取り戻しました。アンネだけではありません。あの名も無き人たち全てに名前があったことを後世の人たちに思い知らせました。あの人たちは他者ではありません。かけがえのない「わたし」だったのです。 たたみかけるようなリズムとのんびりした関西弁の会話、過去と現在、個と集団など様々な対立項の中で進むストーリーに没入してしまう良作。
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芥川賞を受賞したのは2010年。その時から気になっていた本。難しかった。 乙女とアンネ・フランク。密告。アイデンティティ。キーワードはあるけど、あの人形にどんな意味があるのか、麗子様の存在や言動はなんなのか、よく分からずに読み進めた。麗子様は始め、エースを狙えのお蝶夫人のようだと...
芥川賞を受賞したのは2010年。その時から気になっていた本。難しかった。 乙女とアンネ・フランク。密告。アイデンティティ。キーワードはあるけど、あの人形にどんな意味があるのか、麗子様の存在や言動はなんなのか、よく分からずに読み進めた。麗子様は始め、エースを狙えのお蝶夫人のようだと思いながら読む。教授は宗像コーチかな。そう思って読むと、乙女のことも分かってくるような気がする。 アンネの日記、しばらく読んでいない。完訳、というかアンネの日記の最初のものしか読んでいない。アンネが戦争が終わったらオランダ人になりたいと書いていたことは初めて知った。ユダヤ人であることをどう自分の中で取り扱うか。アンネのアイデンティティ。 そのあたりからとても難しいと感じた。人形の誘拐に至っては、謎でしかなかったが、読んでいて苦痛になる難しさではなかった。難しくて、理解はできていないのだが、読んでいて楽しいと感じる不思議な本だった。 赤染さんは2017年に亡くなられているので、今出版されているものが全てだ。いつか、読んでいきたい。 分からない、難しい、理解できない。そんなことも含めて楽しんだ稀有な読書体験だった。
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スピーチコンテストに向けて「アンネの日記」の暗唱に取り組む外国語大学の女子学生たち(「乙女」と呼ばれる)の話。「乙女」の一人、みか子の視点で描かれる一人称小説。バッハマン教授や麗子様など、名前を与えられた他の登場人物の描かれ方はマンガ的で、ユーモア小説と呼んでよいと思う一方で、「...
スピーチコンテストに向けて「アンネの日記」の暗唱に取り組む外国語大学の女子学生たち(「乙女」と呼ばれる)の話。「乙女」の一人、みか子の視点で描かれる一人称小説。バッハマン教授や麗子様など、名前を与えられた他の登場人物の描かれ方はマンガ的で、ユーモア小説と呼んでよいと思う一方で、「乙女」たちのアイデンティティの話が「アンネの日記」そのものとのリンクしていく感じは、割に重たい社会批評小説にも見える。薄くて、文体も読みやすいが、思いの外、難しい小説だったなあ。 難しさは、「乙女」という語が多義的であるところや、大学内の人間関係が「アンネの日記」に登場する人物に喩えられたりするところ、あたりにあると思う。
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