乙女の密告 の商品レビュー
- ネタバレ
※このレビューにはネタバレを含みます
バッハマン教授…ヘトアハテルハイスは時を超えてアンネに名前を取り戻しました。アンネだけではありません。あの名も無き人たち全てに名前があったことを後世の人たちに思い知らせました。あの人たちは他者ではありません。かけがえのない「わたし」だったのです。 たたみかけるようなリズムとのんびりした関西弁の会話、過去と現在、個と集団など様々な対立項の中で進むストーリーに没入してしまう良作。
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芥川賞を受賞したのは2010年。その時から気になっていた本。難しかった。 乙女とアンネ・フランク。密告。アイデンティティ。キーワードはあるけど、あの人形にどんな意味があるのか、麗子様の存在や言動はなんなのか、よく分からずに読み進めた。麗子様は始め、エースを狙えのお蝶夫人のようだと...
芥川賞を受賞したのは2010年。その時から気になっていた本。難しかった。 乙女とアンネ・フランク。密告。アイデンティティ。キーワードはあるけど、あの人形にどんな意味があるのか、麗子様の存在や言動はなんなのか、よく分からずに読み進めた。麗子様は始め、エースを狙えのお蝶夫人のようだと思いながら読む。教授は宗像コーチかな。そう思って読むと、乙女のことも分かってくるような気がする。 アンネの日記、しばらく読んでいない。完訳、というかアンネの日記の最初のものしか読んでいない。アンネが戦争が終わったらオランダ人になりたいと書いていたことは初めて知った。ユダヤ人であることをどう自分の中で取り扱うか。アンネのアイデンティティ。 そのあたりからとても難しいと感じた。人形の誘拐に至っては、謎でしかなかったが、読んでいて苦痛になる難しさではなかった。難しくて、理解はできていないのだが、読んでいて楽しいと感じる不思議な本だった。 赤染さんは2017年に亡くなられているので、今出版されているものが全てだ。いつか、読んでいきたい。 分からない、難しい、理解できない。そんなことも含めて楽しんだ稀有な読書体験だった。
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スピーチコンテストに向けて「アンネの日記」の暗唱に取り組む外国語大学の女子学生たち(「乙女」と呼ばれる)の話。「乙女」の一人、みか子の視点で描かれる一人称小説。バッハマン教授や麗子様など、名前を与えられた他の登場人物の描かれ方はマンガ的で、ユーモア小説と呼んでよいと思う一方で、「...
スピーチコンテストに向けて「アンネの日記」の暗唱に取り組む外国語大学の女子学生たち(「乙女」と呼ばれる)の話。「乙女」の一人、みか子の視点で描かれる一人称小説。バッハマン教授や麗子様など、名前を与えられた他の登場人物の描かれ方はマンガ的で、ユーモア小説と呼んでよいと思う一方で、「乙女」たちのアイデンティティの話が「アンネの日記」そのものとのリンクしていく感じは、割に重たい社会批評小説にも見える。薄くて、文体も読みやすいが、思いの外、難しい小説だったなあ。 難しさは、「乙女」という語が多義的であるところや、大学内の人間関係が「アンネの日記」に登場する人物に喩えられたりするところ、あたりにあると思う。
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#読了 #乙女の密告 #赤染晶子 あんなにもエッセイは爆笑しながら読めたのに、このたった100ページ程しかない小説が読むのに時間がかかった 読み終えた今も、まだ意味が分からない うーん、、、やっぱり芥川賞て難しいのね
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この著者の別の作品も以前低評価していたのを思い出す。かなり抽象的な物語世界と短文で畳み掛けるスタイルの組み合わせがどうにも性に合わない。アンネの日記や怪人21面相という耳目を集める題材を使いながら、著者の構築した世界とその独特の論理に至るところでつまずき、引っかかってしまう。結果...
この著者の別の作品も以前低評価していたのを思い出す。かなり抽象的な物語世界と短文で畳み掛けるスタイルの組み合わせがどうにも性に合わない。アンネの日記や怪人21面相という耳目を集める題材を使いながら、著者の構築した世界とその独特の論理に至るところでつまずき、引っかかってしまう。結果としてお話が何も入ってこないのだ。そもそもタイトルからしておっさんの読む小説ではないのだろう。
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小川洋子が激賞していたので手に取った。 アンネ・フランクに仮託された乙女たちの自立の物語。 真実ではなく噂に没入するばかりの、名前のない乙女たち。 暗唱において、いつも忘れてしまう部分には、忘れてしまう理由があるのだ。 密告され、捜査され、ついに見つけられてしまうアンネとみか子...
小川洋子が激賞していたので手に取った。 アンネ・フランクに仮託された乙女たちの自立の物語。 真実ではなく噂に没入するばかりの、名前のない乙女たち。 暗唱において、いつも忘れてしまう部分には、忘れてしまう理由があるのだ。 密告され、捜査され、ついに見つけられてしまうアンネとみか子とがオーバーラップする緊迫のラストシーンにむけて、畳みかける文体が用意されていたのだろうと思った。 増補新訂版『アンネの日記』も入手した。ずっと前に子供向けのを読んだだけだったので、あらためて読んでみようと思う。
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短い文章の羅列は正直言って自分には読みづらく、リズムに乗れなかった。物語の世界観も自分の趣味ではなかった。ただし、アンネの世界と女子大生の世界を乙女、密告というキーワードでうまく重ね合わせた構成の芸術的完成度は極めて高いと思う。
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赤染晶子さん初読です。文庫筋書きの「悲劇の少女アンネ・フランクと現代女性の奇跡の邂逅」に惹かれました。本作は100ページに満たない中篇小説で、2010年の芥川賞受賞作です。赤染さんは2017年、42歳で早世されました。 ナチ体制下で究極の迫害を受けたユダヤ人と、大学のスピー...
赤染晶子さん初読です。文庫筋書きの「悲劇の少女アンネ・フランクと現代女性の奇跡の邂逅」に惹かれました。本作は100ページに満たない中篇小説で、2010年の芥川賞受賞作です。赤染さんは2017年、42歳で早世されました。 ナチ体制下で究極の迫害を受けたユダヤ人と、大学のスピーチ・ゼミで孤立させられる主人公の対比が斬新で興味深かったです。その物語の切り口は、異質な存在を排除しようとする根源的な人間の性(さが)に通じ、普遍的問題なのかと思いました。ただ、隠れ家のアンネ・フランク一家の密告と、現代の閉鎖社会での告げ口では隔たりが大きく、そもそも比較にならない恐怖レベルでしょうが…。 こんなレビューを書くと、重く暗い堅苦しい物語に思えますが、京言葉の会話にユーモアがあり、一文が短かくリズムもあるので読みやすかったです。 そして『アンネの日記』が、強制収容所に送られた悲劇の少女の話だけではない優れた文学であることに、今一度目を向ける必要性を感じます。 アンネ・フランクに造詣が深く、様々な著書もある小川洋子さんの「100分de名著」ブックスの名解説を思い出しました。奇しくも、本作が候補となった芥川賞の選考会で、選考委員であった小川さんが本作を強く推したことも頷けました。 『アンネの日記』の奥深い世界の中に、主人公はアンネの真実の言葉、人を救う言葉を見つけたのでしょう。社会に蔓延る差別や偏見に惑わされず、困難な時代を生き延びていくヒントがあるんですね。 80年前のアンネの言葉に再び光を当てる、とても奥深い作品でした。
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アンネフランクを密告したのは誰か。 そして、それはどんな意味をもつのか。 最後クライマックスほんとによかった。
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外語大学でのスピーチコンテストに向けてのスパルタ教育。熱心に取組む乙女達の間で起きる噂と真実…そして密告。スピーチの題材『アンネの日記』のユダヤ人と乙女達が重なり、さらに『密告』が主人公みか子と麗子様を苦しめる。15歳の若さでこの世を去ったアンネ・フランク…彼女の書いた日記がこれ...
外語大学でのスピーチコンテストに向けてのスパルタ教育。熱心に取組む乙女達の間で起きる噂と真実…そして密告。スピーチの題材『アンネの日記』のユダヤ人と乙女達が重なり、さらに『密告』が主人公みか子と麗子様を苦しめる。15歳の若さでこの世を去ったアンネ・フランク…彼女の書いた日記がこれだけの影響力をもって後世に受け継がれているとは。彼女に教えてあげたいですね。
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