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乙女の密告 の商品レビュー

3.7

39件のお客様レビュー

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2024/04/23

初めから真実を知ろうともせずに、皆がやっているから、世間に蔓延っているから、自らは何の疑いも持たず、信念を持たない姿勢に対して、アンネの日記と現代を交錯させて鋭いまなざしで描かれている。 アンネの日記は小学生のころに伝記漫画で読んだのが懐かしく、衝撃が凄かったのを強く覚えている。

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2024/02/12

外大生のスピーチコンテストまでの日々と、アンネの日記に綴られた日々。 忘れてはならないことが何か、真実の追求。

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2024/02/10

⚫︎受け取ったメッセージ 「真実とは乙女にとって禁断の果実だった。」 ⚫︎あらすじ(本概要より転載) ある外国語大学で流れた教授と女学生にまつわる黒い噂。乙女達が騒然とするなか、みか子はスピーチコンテストの課題『アンネの日記』のドイツ語のテキストの暗記に懸命になる。そこには、少...

⚫︎受け取ったメッセージ 「真実とは乙女にとって禁断の果実だった。」 ⚫︎あらすじ(本概要より転載) ある外国語大学で流れた教授と女学生にまつわる黒い噂。乙女達が騒然とするなか、みか子はスピーチコンテストの課題『アンネの日記』のドイツ語のテキストの暗記に懸命になる。そこには、少女時代に読んだときは気づかなかったアンネの心の叫びが記されていた。やがて噂の真相も明らかとなり……。悲劇の少女アンネ・フランクと現代女性の奇跡の邂逅を描く、感動の芥川賞受賞作。 ⚫︎感想 すごい短編小説だった。ユーモアとシリアスをこのように巧みにブレンドし、密告する側とされる側という葛藤と統合を描く。深刻なホロコーストというテーマを自分たちの生活に引きつけて考えることは、普段の生活ではなかなかできない。それを「乙女」な女子大生という「清純」を密告者側とと置きかえ描かれた作品。いつ誰が「乙女」と見なされなくなるか、わからない。 真実は多くの人が夢見ていたい中で隠されなくてはならないものである。 人は同じ美しいと思える幻想をみんなで信じて安心したがる生き物だということを改めて思った。 面白く読ませてくれる漫画風なところがありながら、実はメタファーを盛り込み深いテーマを描いている。ぜひ再読したい。

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2024/02/06

微妙に張り巡らせられた緊迫感と、平の文でたまに登場するおふざけのギャップがとても良かった。読みながら笑ってしまった。 物事を自分の見みたい一側面だけで判断するのは良くないな

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2023/11/02

なんということだろう。 「じゃむパンの日」でファンになり手に取った、赤染さんの数少ない著書。ユダヤ人であることを否定され短い人生を生きた、アンネ・フランクの日記を読み解く女子学生の話だ。 彼女を美化してはいけない。彼女の人生を悲劇だとひと言で済ませてはいけない。ユダヤ人として生き...

なんということだろう。 「じゃむパンの日」でファンになり手に取った、赤染さんの数少ない著書。ユダヤ人であることを否定され短い人生を生きた、アンネ・フランクの日記を読み解く女子学生の話だ。 彼女を美化してはいけない。彼女の人生を悲劇だとひと言で済ませてはいけない。ユダヤ人として生きることを許されなかった人たちの名前。みか子の葛藤はわたしたちが抱えなければならないものでもある。なぜかわたしも、彼女たちと同じ壇上にひとりで立っている。忘れてしまう恐怖を突きつけられて身動きひとつできないでいる。 まばたきも邪魔になるほど物語に入り込んでしまった。 何気なく選んだ本に、こうして現実の目の前に放り出されることがある。 赤染さんは今の世界、戦争をみて、どんな思いでいるだろう。

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2023/09/22

ちょっと特殊の日本語と思います。ドイツ語の特性がミックスされそうです。あらすじより、文字の流れが好きです。

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2023/09/07

私は真実を求める乙女ではない。 乙女であってはいけない。 女子大生である今読んだからこそはっきりとする乙女像の輪郭。名もなき乙女たちがはっきりと感じられる。

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2023/07/06

短めの文章のリズムと登場人物たち(特に教授)の強い言葉が強く印象に残った。 主題となっている『アンネの日記』とともに、読み継がれて欲しい本。 『アンネの日記』は未読の状態だと「悲劇的な少女」のイメージを持ち、実際に読むとあまりに等身大な小女性に驚くもの(と勝手に思っているけれど...

短めの文章のリズムと登場人物たち(特に教授)の強い言葉が強く印象に残った。 主題となっている『アンネの日記』とともに、読み継がれて欲しい本。 『アンネの日記』は未読の状態だと「悲劇的な少女」のイメージを持ち、実際に読むとあまりに等身大な小女性に驚くもの(と勝手に思っているけれど)。 本書はその後もう一度、余計なイメージを捨ててアンネを読み、アンネと向き合う時に最適ではないかと思う。

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2023/05/11

ナチス政権下で異分子として個の名前を奪われた人々。毎日の日記の最後に記したアンネ・フランクという名前は、悲劇に抹消された人々にも名前があったんだと語ってくれる。 乙女は日々に翻弄されながら、自分の名前を探し続ける。 真面目な文体にユーモラスが顔を出してくる雰囲気が大好きだった。乙...

ナチス政権下で異分子として個の名前を奪われた人々。毎日の日記の最後に記したアンネ・フランクという名前は、悲劇に抹消された人々にも名前があったんだと語ってくれる。 乙女は日々に翻弄されながら、自分の名前を探し続ける。 真面目な文体にユーモラスが顔を出してくる雰囲気が大好きだった。乙女とは乙女らしからぬものを好む生き物なんだなぁ。

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2023/02/01

ナチスの政権下で奪われてしまった名前たち、そんな中でアンネ・フランクは決して彼女の名前を失わなかった。 異なるものとして排除されてしまうという歴史は繰り返されていると思う。そんな世界でどのように生きていくのかを再度考えるような作品だった。

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