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ギリシア思想入門
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商品詳細
| 内容紹介 | |
|---|---|
| 販売会社/発売会社 | 東京大学出版会 |
| 発売年月日 | 2012/07/25 |
| JAN | 9784130120616 |
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ギリシア思想入門
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※このレビューにはネタバレを含みます
ギリシアには、ホメロスの英雄的理念と対比的にアテナイの民主主義とともに生まれたギリシア悲劇があった。 ホメロスのイリアスは戦争記であり、英雄的理想の体現を至上としそのためには死も厭わぬ神的英雄の姿が描かれ、因果応報の理念を美徳とする。オデュッセイアは海旅の冒険譚で、自己実現のために実際的合理的な知恵を以て生に貪欲たる人間的姿が描かれ、好奇心やユーモアが見出せる。 ギリシア悲劇は、アイスキュロス、ソフォクレス、エウリピデスに代表される。民主主義の結実したアテナイでは市民の個人的生活が強くなり、普遍的理念への疑念が芽生えた。悲劇は作者の創作である。因果応報に基づく復讐の連鎖が民主的法廷の正義判断で断ち切られたり(オレステイア三部作)、知者で徳のある王が理不尽な運命に抗えなかったり(オイディプス王)、デュオニュソス的な享楽が称揚されたり(バッカスの信女)など、一方では民主主義や法に基づく判断力への信頼、他方ではアイロニーによる臆見の指摘と実存の受容、そして自己疎外的な理性と生命の源たる非合理の葛藤が描かれた。 その後ミレトスのタレスに原理を問う自然哲学の姿勢が始まる。この姿勢は、アナクシマンドロスのアペイロン、アナクシメネスの空気、クセノファネスの唯一神、ヘラクレイトスの万物流転に続く。 一方西側では、ピタゴラス派がオルフェウス教的に宇宙の数的秩序の研究による魂の浄化を目指し、エレアのパルメニデスとゼノンが「存在は存在する」とか「存在と思惟が同一だ(あるいは相互に帰属し合う)」とかの不生不滅の存在論を感覚を否定して論理的に導き出し、エンペドクレスが地水火風の四元素と愛憎の力で宇宙を説明すると同時にオルフェウス教的禁欲により魂を浄めようとし、アナクサゴラスは万物の性質を含む多様な種子(スペルマ)と起動因としての理性(ヌース)で宇宙を説明した。デモクリトスは原子と空虚の無目的な運動による唯物論的な宇宙論を唱えた一方で、適度な快楽と均衡の取れた生活による上機嫌を倫理とした。 プロタゴラス、ゴルギアス、トラシュマコスなどのソフィストは、人間が万物の尺度であらゆる真理は相対的だとする懐疑論の立場から、弁論術の有益さや、道徳が道具的理性による約束事であること、正義が強者の利益たることなどを説いた。 ソクラテスは反駁的会話による臆見の破壊、無知の自覚、善の追求と魂の配慮を信条とし、不正に報復せず彼自身の正義を貫く生き方を体現した。 プラトンは師ソクラテスの探求の理論化を目指した。宇宙論では、感覚的世界の上に生成消滅しないイデア界の次元を置いてヘラクレイトスとパルメニデスを両立調和し、そのイデア論により生の原理たる魂は不滅だとした。倫理の面では、哲学者の幸福は魂の調和とイデアの想起に置かれ、その浄福を追求した哲人王はその境地に至ったのち正義に従い国全体の幸福のために世俗に下り仕方なく支配者の地位につく。 アリストテレスは彼に至るまでのギリシア哲学を綜合し体系的な哲学を創り上げ、自然のうちに運動の始原、質料と形相、目的を見出した。 その後のヘレニズム時代には、快楽主義のエピクロス派とキティオンのゼノンに始まるストア派が生まれる。 エピクロス派では、宇宙は虚無の中で原子が結合分離を繰り返すことで生成消滅し果てなく反復回帰するものとして説明され、その中で死は無に帰され神は人に無関心であるため、人々の死と神への恐怖は解消する。また、自然的欲望と非自然的欲望を見分けて過剰な禁欲にも果てない享楽にも走らずに身体の無痛と心の平安という自然的欲望を満たすことを幸福の信条とし、最高度の快楽を友情に置いた。 ストア哲学では、ソクラテス以前の自然哲学が踏襲され、宇宙全体が自然で神で理性(ロゴス)的統一体、万物の根源はプネウマ(霊もしくは火)であり、唯一の宇宙が万物を永遠の相互連結と秩序のもとに支配している。統一的体系としての全体は最善の世界であり、個々の要素も全体の調和のために配置される。一方で倫理の面では、人間の自然は動物的な自然に加えて理性であり、その自然すなわち理性に了解し合意して、自由意志に基づく内的な自律により徳に従い、宇宙の秩序に調和する、そしてそのために宇宙の秩序を知る努力をし続けることが善だとされる。
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古代ギリシア文明=現代世界文明の一つの岩盤 以下、メモ的抜粋。 古代ギリシアの特質は何か?この世界の賛美=「宇宙の存在」、生命の喜び=「人間であること」すなわち、人間が自由で平等であること(デモクラシーへ到達)と理性主義(根源と法則の探求、人倫の法則の探求)。またソクラテス、プ...
古代ギリシア文明=現代世界文明の一つの岩盤 以下、メモ的抜粋。 古代ギリシアの特質は何か?この世界の賛美=「宇宙の存在」、生命の喜び=「人間であること」すなわち、人間が自由で平等であること(デモクラシーへ到達)と理性主義(根源と法則の探求、人倫の法則の探求)。またソクラテス、プラトンの善の研究(超越への志向…超現世的思想の萌芽)に探求の結実を見るが、特質に数えられるかは疑問が残るらしい。 第一章ギリシア人とは何か(一)――自由と法 「かれらの誇りとしたものは、その生き方、習俗、法、言語であった。これらのものは、人がみな自分の力で育てうるもの、それ故にまた、無思慮と無抑制により滅ぼしうるものなのである。」11P 第二章ギリシア人とは何か(二)――理性と本質への眼差し 「哲学は、人間生活の実際上の要求から生まれたのではない。哲学がなくても、人間は生きていける。哲学は直接的経験の世界から一歩離れ、高度の抽象化、一般化、理性の自由な運動によって成り立つものなのである。ギリシア人は「なぜ」と問うた。そして、原因へのこの関心は直ちに一般化への要求を引き起こした。」「この高度の一般化への前進が、ギリシア人が開いた新しい思考の本質なのである。」「すなはち、ギリシア人は「形」(形相〈eidos〉、イデア〈idea〉)を発見したのだ。」29p 第三章ホメロス 「ホメロスの世界は人間と神々の混在する世界である。」「では、人間と神はどこが違うのか。その違いは、人間が死すべきもの(thnetos)であるのに対し、神々は不死(athanatos)である、という点である。そして、死すべき生命の超人的理想化が不死であるように、人間の持つあらゆる能力(美、力、速さ、知力など)の超人的理想化が神々の能力に他ならない。」33p 「これはなにを意味しているか。これは、神々が人間の本性、自然を現している、ということに他ならないであろう。」38p 「いずれにしても、ホメロスの描く英雄たちは、迷信が嫌いであり、来世を嫌悪している。かれらは、知的、肉体的なアレテーにより、英雄の地位をかち取った貴族たちである。かれらにとって、人生の喜びとは、自己の全能力を発揮して人生の与える良きものを享受することであり、そのためには、強健な肉体と鋭い知力が必要であった。それ故、老年と死はもっとも嘆かわしい悪と見なされた。」45p
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古代ギリシャ思想を概観するのには良いと思った。しかし、特に序盤で根拠薄弱な主張が散見された。例えば、ギリシャ人がもともと紀元前千数百年から君主に平伏するような習慣がなかった、という根拠に唯一挙げられているのが紀元前700年ごろのホメロスの叙事詩である。ホメロスの叙事詩であれば、い...
古代ギリシャ思想を概観するのには良いと思った。しかし、特に序盤で根拠薄弱な主張が散見された。例えば、ギリシャ人がもともと紀元前千数百年から君主に平伏するような習慣がなかった、という根拠に唯一挙げられているのが紀元前700年ごろのホメロスの叙事詩である。ホメロスの叙事詩であれば、いうまでもなくホメロスの時代の価値観が作品に反映されると考えるのが当然であって、それはさらに1000年遡った時代の価値観を示す根拠にならないのは当然ではないのか。このような記述のせいで、以後の解説、特に筆者が自身の考えを披瀝するところはどこまで信用して良いのかわからなかった。
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