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英雄の書(下) 新潮文庫
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商品詳細
内容紹介 | |
---|---|
販売会社/発売会社 | 新潮社 |
発売年月日 | 2012/06/28 |
JAN | 9784101369341 |
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英雄の書(下)
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商品レビュー
3.4
209件のお客様レビュー
- ネタバレ
※このレビューにはネタバレを含みます
皆が何か隠していたのは、そういうことだったのか ソラ、お兄ちゃん、帰ってこないなんて でも、最期は少し明るい兆しが見えて良かった 狼として、英雄を封印できる日は、来るのかな
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ユーリの「無名の地」の旅もついに佳境へ。果たして、無事兄を取り戻せるのか? 怒涛のバトルも派手な魔法もドラゴンも登場しませんが、重厚な物語に引き込まれ、ユーリの成長を見届けました。 満足の一作です。
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英雄の書に取り憑かれた兄を探して無名の地へ行った友理子は額に魔法陣を授かりユーリとなった。そして無名僧ソラを従者に従え、ネズミの姿に化けた本のアジュ、狼のアッシュとともに「エルムの書」発祥の地ヘイトランドへ向かう。単なる勧善懲悪やわくわくドキドキの冒険物語ではない。 むしろ冒険...
英雄の書に取り憑かれた兄を探して無名の地へ行った友理子は額に魔法陣を授かりユーリとなった。そして無名僧ソラを従者に従え、ネズミの姿に化けた本のアジュ、狼のアッシュとともに「エルムの書」発祥の地ヘイトランドへ向かう。単なる勧善懲悪やわくわくドキドキの冒険物語ではない。 むしろ冒険譚としては物足りない。さらに異世界の背景説明が読んでいてまだるっこしく個人的には苦手なのだが、宮部みゆきが何を言いたかったのかが最後にわかる。 私たちの現実世界が輪の中心であり、輪の外には物語を紡ぐ者たちが作り出す嘘の世界が数多ある。人は生きることで物語を紡ぐ。人が歩いた後に道ができるように物語は綴られる。しかし「己の目に眩しく映るものを選び取り、その物語を先に立てて、それをなぞって生きようとする愚に陥る。【あるべき物語】を真似ようとするのだよ」とアッシュは言う。「その【あるべき物語】は様々な名前で呼ばれる。あるいは正義。あるいは勝利。あるいは征服。あるいは成功。己の行く道の先に、他の者には見えない幻の道を描いて、突き進もうとする。それが物語を生きようとする罪」「その傲慢なる本末転倒は必ず禍を呼び寄せる。だから大罪と呼ばれるのだ」 物語を生きることが最大の罪なのだ。戦の絶えない世界。正義のためにという大義を立てて起こす戦争がいかに大きな罪であるか。 またこんな話も出てくる。戦とは戦争だけではない。一対一でも戦である。だから「一人の子供が、己の意志で別の一人の子供の命を奪うことを憚らぬ世界は、千人が千人の命を奪うことを憚らぬ世界と、何ら変わりませぬ」「一にして万、万にして一」「あなたに兄上を救おうとするお心があれば、あなたが世界を救うこともかなうのでございますよ」 身近に戦争がないままに大人になり、平和を表面的に叫びながら、一方で正義のために人を傷つけ、仕返しや制裁を当然のように行う現代に対する警鐘を鳴らす。 そしてエピローグで物語としての想いは熱くなり、続編を期待させて終わる。 冒険ファンタジーとしては盛り上がりは今ひとつなのだが宮部みゆきの伝えたいことは要所要所で繰り返される。 やられたらやり返す、倍返しだ!と言っていては不幸を増殖するだけだというメッセージだが、無抵抗主義に納得できない自由と平等思想が根付いてしまってもいるわけで、簡単な解決策ではない。そこが人間の業だとも言っている。業が深いですよね。こうなると自由や平等が不幸の源泉だという理屈も成り立つわけで、世界平和が必ずしも個人の幸せに結びつくとは限らないということですものね。
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