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風の中のマリア 講談社文庫
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商品詳細
内容紹介 | |
---|---|
販売会社/発売会社 | 講談社 |
発売年月日 | 2011/07/15 |
JAN | 9784062769211 |
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風の中のマリア
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商品レビュー
3.7
602件のお客様レビュー
著者は前世が蜂だったのか?と思うほどリアルにオオスズメバチほか昆虫たちの世界が描かれている。読み始めた時は、マリアが恋をして蜂界の秩序を乱すか新女王にでもなるかと予想していたが、そんな単純な話ではない。愛する我が国に命を捧げ、生涯戦士であることに誇りを持ち戦い続ける強いメスバチの...
著者は前世が蜂だったのか?と思うほどリアルにオオスズメバチほか昆虫たちの世界が描かれている。読み始めた時は、マリアが恋をして蜂界の秩序を乱すか新女王にでもなるかと予想していたが、そんな単純な話ではない。愛する我が国に命を捧げ、生涯戦士であることに誇りを持ち戦い続ける強いメスバチの物語だった。大東亜戦争を戦った日本の兵士とどこか似たところがあるように感じた。
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- ネタバレ
※このレビューにはネタバレを含みます
疾風のマリアの二つ名を持つ帝国の女戦士。 あたかも中世ヨーロッパが舞台かのようだが、主人公は日本の森で秋の初めに羽化したオオスズメバチのワーカー。 登場する蜂たちの名がマリアしかりドロテア、エルザ、女王アストリッド、雄バチのフリートムントなどヨーロッパ風で、これがまたファンタジー小説を読んでいるかのような感覚にさせる。 (ベルナール・ウェルベルの蟻も同じ社会性昆虫の物語だったが彼らは数字で呼ばれてたなぁ…) https://booklog.jp/item/1/4042915019 他の働きバチより少し大きな身体と高い飛翔能力を持ったマリアは帝国の戦士としての使命を喜びとするが、恋に生きる他の虫たちと出会い、彼女自身も淡い恋のようなものを知り、日齢を重ねると共に自分の生き方に疑問を抱き始める。 仕事か家庭か、現代に生きる女性が抱えがちな葛藤とよく似ている気がした。 (しかし人間界でも巣作りを始めたばかりのアストリッドのようなワンオペシングルマザーも少なくないが …。) 産卵直前にマリアと戦い敗北したオオカマキリ。 (実はハリガネムシなのではと嫌な想像がよぎった) 恋への期待に胸を膨らませていたゼフィルス。 オオスズメバチ以外にも多くの虫たちが登場し、多様な生き様が垣間見える。そこにはまた多くの語られない物語があるのだろう。 はたして恋の喜び、仲間の死を悼む事、豊かな感情は人間と一部の哺乳類だけのものなのだろうか? “心”についてはまだまだ謎が多い。 私は小さな虫たちも、物語の中のゼフィルスのように、恋に胸を躍らせたり悔んだりしているのではないかと思っている。 逆に考えると帝国のために生きるワーカーたちのように、人間の感情さえゲノムの意思だったり? これは1匹の蜂の物語ではなく、1人の誇り高き女性の一代記だ。 オオスズメバチの生態がマリアの生涯を通して上手く描かれている。 巻末に補足として生態を“女王追放”や“蜂球”などについて詳しい解説もある。 物語途中に出てくる図解はわかりやすいのだが、これも巻末に持ってきたらよかったのにな。
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蜂を題材にした本ということは知っていたが、正直唸った。 まさか蜂の生態をこの本で学ぶとは思わなかった。しかも頁をどんどん捲らせ情景が浮かぶほど筆者の筆力は凄い。 蜂の生態を題材に、外敵に襲われた日本は一体どうなるのか?。今の平和ボケの日本に警笛をも鳴らす。
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