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「フクシマ」論 原子力ムラはなぜ生まれたのか
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商品詳細
内容紹介 | |
---|---|
販売会社/発売会社 | 青土社 |
発売年月日 | 2011/06/17 |
JAN | 9784791766109 |
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「フクシマ」論
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4.2
37件のお客様レビュー
「震災と原発 国家の過ち 文学で読み解く「3・11」 ((外岡秀俊著)」だったかなぁ…、以前読んだ本で紹介されていた。 本著は著者の修士論文だという、あの上野千鶴子先生の研究室の所属だそうだ。本著はまさに東日本大震災の直前にアクセプトされ、奇跡のような一冊だ。 著者は福島県...
「震災と原発 国家の過ち 文学で読み解く「3・11」 ((外岡秀俊著)」だったかなぁ…、以前読んだ本で紹介されていた。 本著は著者の修士論文だという、あの上野千鶴子先生の研究室の所属だそうだ。本著はまさに東日本大震災の直前にアクセプトされ、奇跡のような一冊だ。 著者は福島県いわき市生まれというから、小さな時から原発に関する「ムラ」という存在を感じながら育ったのかもしれないな、なんとなく地域の内向き感を肌身で感じていたんだろう。 中央の政府や官僚、東電、学者、メディアを〈原子力ムラ〉、原発が立地している住民など地域の共同体を「原子力ムラ」と表し、県議や知事や地域選出の国会議員等をメディエーター(媒介者)としている。原発推進の時期にはメディエーターはコラボレーターの役割を演じてきたが、原発の負の面を認識するようになるとノイズメーカーの役割を演ずるという。しかし、いったん「原子力ムラ」が形成されると、「addictionalなシステム」が形成され、原発を受入れざるを得ない状況(補助金ありきの地域づくり、原発で働く人を当てこむ民宿や飲食店等)に陥ってしまう。 著者はさらに〈原子力ムラ〉に代わって「原子力ムラ」からメディエーターの役割を演じる「東電の高卒社員」や「民宿」にも焦点を当て、植民地支配における被支配エリートによる支配者と被支配者(同胞)の切り離し・排除を例に挙げ、「東電の高卒社員」による〈原子力ムラ〉と「原子力ムラ」の切り離しや「民宿」による〈原子力ムラ〉と「流動労働者」との切り離しと言った、統治のメカニズムについても切り込んでいく。まさに、外向きの植民地化(戦前)が内向きの植民地化が進められたと分析する。 社会学として、本著の論拠の確からしさがどれほどなのか分からないがよくここまで切り込んでいるなぁという印象を持った。もしかして、よく言われる日本人のムラ意識についても考察できる一冊なのかもしれないな。
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著者の方、お若いのにたいしたもんです。これまでのムラの気持ち、よくわかりました。問題はこれからですね。
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昨年末の日経新聞で2011年の10冊の中に入っていた。驚きなのは、本書が修士論文をベースにしていること。タイミングが絶妙だったのを差し引いても修士論文がこれほど注目されるのはすごいことだと思う。 「私たちは原子力を抱えるムラを『国土開発政策のもとで無理やり土地を取り上げられ危険な...
昨年末の日経新聞で2011年の10冊の中に入っていた。驚きなのは、本書が修士論文をベースにしていること。タイミングが絶妙だったのを差し引いても修士論文がこれほど注目されるのはすごいことだと思う。 「私たちは原子力を抱えるムラを『国土開発政策のもとで無理やり土地を取り上げられ危険なものを押し付けられて可哀相』と、あるいは『国の成長のため、地域の発展のために仕方ないんだと』と象徴化するだろう。しかし、実際にその地に行って感じたのは、そのような二項対立的な言説が捉えきれない、ある種の宗教的とも言っていいような『幸福』なあり様だった。」 この、二項対立的な言説が捉えきれない何かについて、それが何かとその出来上がる過程を解説している。原子力の問題は、もちろんエネルギーという論点としてだけでも難しい問題だが、以上のような目を背けてはならない根の深い問題を含んでいる。
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