Yの悲劇 角川文庫

エラリー・クイーン(著者)

• 販売会社／発売会社: 角川グループパブリッシング
• 発売年月日: 2010/09/24
• JAN: 9784042507161

商品レビュー

2025/11/10

緻密な情景描写を味わえる物語で、古い時代のものでも時代錯誤さで困惑するといったような感じはありませんでした。魅力を感じさせる尖った登場人物群や感情移入させる名探偵、ノーマーク過ぎた犯人像が相まって、四部作全部読みたい気持ちになりました！最後に暗示される大人の決断については、いかにもアメリカの欧州系の人達に刺さりそうという感じの道徳観かも。アメリカで暮らして少なからず価値観に是々非々の影響を受けたことのある身としては、切にそう感じました。

2025/07/13

名作と言われるだけあって面白かったです。Xの悲劇に引き続きドルリー・レーンを探偵役として殺人事件を解決するというスタイルですが、ドルリーが毎回焦らして説明を最後までしてくれないので、じれったい気持ちになります。またかなり文量が多くびっしり文字が書かれているので、読み応えがありました。

2025/07/02

再読。小説を元に同様の犯罪が行われていく流れや、館に住まう一族が次々と惨殺されていく展開は、いまなお刺激的で面白く、このジャンルの古典として扱われるのもよくよく理解できる。犯行における手抜かりや矛盾にも一応納得できるだけの理由があり、整頓された様式美のようなものを感じつつ読了した。
ただ、犯人を特定できているにもかかわらず泳がせたり、挙げ句、さらなる悲劇が起こると自らの手で断罪するあたりは、やはり倫理的な観点から考えてツッコミを入れたくなる。まるでそれが正しい行いでもあるかのように作中で「許されて」いる点もうんざりする部分で、物語の面白さに反し、探偵の行いへ違和感がつきまとう。