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この胸に深々と突き刺さる矢を抜け(上)
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商品詳細
| 内容紹介 | |
|---|---|
| 販売会社/発売会社 | 講談社 |
| 発売年月日 | 2009/01/28 |
| JAN | 9784062152426 |

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商品レビュー
3.8
31件のお客様レビュー
タイトルを見て、表紙を見て、白石一文さんは2冊目でしたが、私にはかなり難しかったけど、最後は良かったかな…
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- ネタバレ
※このレビューにはネタバレを含みます
何だか不思議な魅力のある作品だった気がします。 雑誌編集長カワバタのエロで政治家チックな人生ドラマという、なんともメロドラマ風な面が表面。そしてそこに、貧困、格差、自己同一性、記憶、時間、神の存在、などのイシューが形を変えて変奏されるとでも言った形の作品です。 ・・・ ふと父親やとある友人のことを思い出しました。 私の父親は某電気メーカでスーパーコンピューターの営業をしており、私が思春期の時は殆ど会うことは有りませんでした。何なら私が朝通学で家を出る時に帰ってきた父に会うこともありました。それは毎晩接待(なのか何なのか)で、ああ、サラリーマンというのはこういうものなのか、と感じました。 もう一つは幼稚園から付き合いのある友人。私が院に進学したため彼は一足先に信託銀行に就職しました。彼は転勤や部署移動を数回繰り返しながら、同じ部署や支店の女性を付き合ったり遊んだり飲んだりしており、ウブな私は、社会人とは何だか楽しそうなものだな、と思ったものです。 なお私はキャリアのスタートは金融系SEでしたが、上司に飲みに連れて行ってもらうとか、転勤とかもなく、地味なもんでした。何ならハナ金も、土日の本番稼働のために夜勤とかね。 でも華やかな生活に憧れていたんでしょうね。 ・・・ で、本作。華やかというか、もう暴走。 何しろ初っ端から、売り出し中の女性タレントと性交し、そのバーターで雑誌のグラビア枠を与え、更に縁故のあるテレビプロデューサーに彼女を準レギュラー枠で席を与えさせるというシーン。もう俗悪の塊みたいな編集長カワバタの姿が印象的。 その後ストーリーと共に縁どられる彼のプロファイルといえば、40前半、がんサバイバー(胃がん、2/3摘出)、長男を0歳で亡くす、奥さんは東大の准教授、本人は早稲田卒で年収1600万円程度。 どうでしょう? これだけ見ると結構いけ好かない感じでしょうか。 そんなカワバタですが、浮気をしつつ、社内政治をすり抜けつつ、心霊現象を体験し、消化しようと思考しつつ、最終的には急所を針で刺されたり、離婚したり、会社も辞めたり、更にがん再発もあったりしました。 鋭く深い、思弁的(粘着質的?)自己省察の一方、目まぐるしく展開する社内外の人間関係。この二者間ギャップに面白みのある作品であったと思います。 ・・・ もう一つ。このカワバタをして語られるのは、哲学的問いであったりします。 帯にも書かれている通り、格差問題はその一つです。 ポール・クルーグマンの著書を引用し、米国では収入格差が拡大していることを挙げ、累進課税を強化するべきような論調をしているように見えます。また政治家の役割とか、よりよい社会はどのようにして可能か、という話もサブテーマとして取り上げているようにも見えます。 なお、先日も類書を読みましたが、現在各国家は減税競争に巻き込まれているので個人も企業も累進課税にすると国外流出のリスクが高いですね。 ・・・ 救いのないワーキングプアの手記を雑誌にも掲載するのですが、そうした救いのない世情から、神の問題にも飛びます。 何故神はそのような不完全な状態を許すのか。これは業なのか、試練なのか。何を神は見て、なのを見ないのか。我々が生きている意味はあるのか。等々。 人生のあるパートで神との合一とか神性の分有みたいなものを感じた宇宙飛行士の話なども援用しつつ、彼の思弁的な考えが開陳されます。 それ以外にも、自己はどうして可能か、時間と自己のつながりなどがカワバタの口から語られます。 ・・・ で、結局これは、肉体の死を意識したカワバタの生き方をめぐる問題に流れてゆきます。死を身近に感じたとき、人はこれまでを振り返りこれからどう生きるか、ということに流れ着くわけですね。大分極端ですが、一つの事例として大変興味深く読みました。 ・・・ という事で、久しぶりに読んだ白石作品でした。 主人公のような小難しくて、仕事も割とできちゃうやつとか嫌いですが、文学作品の中で読む分にはこういうクセのある方が好きです笑 小説ですが、色々と読み口がある作品だと思います。
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- ネタバレ
※このレビューにはネタバレを含みます
初めて読む作家さん。おすすめされた本。下巻に続くので何とも言い難いところなのですが、まあまあ自分的には不快と感じるところもあり…ちょっとギシギシした気持ちで読んでいる。下巻に期待。
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