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アンナ・カレーニナ(4) 光文社古典新訳文庫
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商品詳細
| 内容紹介 | |
|---|---|
| 販売会社/発売会社 | 光文社 |
| 発売年月日 | 2008/11/20 |
| JAN | 9784334751708 |
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アンナ・カレーニナ(4)
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アンナ・カレーニナ(4)
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商品レビュー
4.5
38件のお客様レビュー
若き将校との許されない愛に走るヒロイン・アンナと、神を信じることができない地主貴族リョーヴィンの、交差しない二人の主人公の人生が描かれる。この大部の小説を通じて、トルストイは同時代(1870年ごろ)のロシアという国全体を描き切る野心を持っていたのではないか--そんな風に思える。 ...
若き将校との許されない愛に走るヒロイン・アンナと、神を信じることができない地主貴族リョーヴィンの、交差しない二人の主人公の人生が描かれる。この大部の小説を通じて、トルストイは同時代(1870年ごろ)のロシアという国全体を描き切る野心を持っていたのではないか--そんな風に思える。 首都の貴族社交界の華やぎから田舎の農夫の草の刈り方まで、あらゆるディテールがおよそ想像で書くのは不可能な詳細さで描き込まれ、トルストイの筆致の巧みさに感嘆せざるを得ない。 しかしそれだけで終わってしまっては、この作品は最高の風俗小説であるという結論になってしまう。この作品を傑作ならしめる深みは、登場人物それぞれの苦悩や恐れにこそある。 といっても、その苦悩は観念的思弁的なものでなく、もっと俗っぽいものだ。アンナは愛を貫くために、この時代のロシアでは絶望的であった離婚を願う。やがてその願いが叶わないとなると、今度は愛人の愛が失われることを狂わんばかりに恐れる。リョーヴィンは、信仰を持てないことにひとり悩みながら、出産に苦しむ妻の姿に、思わず神の助けを求める。 こうした、諸生活の悩み苦しみ絶望、そこに同時代ロシア社会の矛盾が見え隠れする。そしてやはりこの作品はロシア全体を描き切ろうとしたのではないか、という思いが再び浮かんでくるのである。
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アンナが汽車に轢かれて自殺するシーンは、表現力が素晴らしく、まるで自分も死んでしまう気がして恐怖心が芽生えてくる。 線路の真ん中まで来て、汽車と衝突する直前、一瞬我に返り、「自分は何をしてしまったんだ!」と思ったのも束の間。すぐに「何か巨大なもの、容赦のないもの」が彼女の頭をドンと突いたのだった。 そのあとはと言うと、ヴロンスキーの喪失感、リョーヴィンの哲学的探究。 アンナの夫カレーニンが妻の浮気にどう対応するかと言うときにもキリスト教が影響を与えていたし、リョーヴィンにもキリスト教が根付いている(というか、後になって自分と宗教的価値観のすり合わせをしている)。 アンナの恋路ではなく、本当は宗教をベースとした哲学的思考実験と歴史について論じたいというトルストイが、最後に畳み掛けるように自由に書いているという印象を受けた。
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善をなそうという、素朴な信仰の大切さを訴えて終わる。理性の限界を悟った上で。人間くささは否定せずに。アンナの物語であり、リョービンの物語であった。その2人で対立されているのは、エゴイズムの解釈だろう。つまり、エゴに振り回されるか、エゴに誠実に向き合い続けるか。リョービんが絶大な人気や好感を誇るわけではないのがミソだ。 アンナの自殺の場面。そこに至るまでの焦り、怒りが延々と綴られ、自殺しか帰結がない描きだ。ヴロンスキーの時もそうだったが、死なないだけの浅さがそこにはあった。 ヴロンスキーが戦争に赴いてしまうのも、それが讃えられるのも、悲しかった。彼は後半、人格の深化が見られたような気がしたから。ここで展開される戦争論も読み応えがあった。 途中に出てくる、狂信的でオカルトな宗教とリョービンの疑いの末に肯定される素朴な宗教の対比も面白い。 最後に解説を読んでハッとしたのが、タイトル。アンナだけでなく、カレーニナという「夫」の苗字まで付けられていたこと。当時の結婚制度を含めた社会の中のアンナの物語とも読める。
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