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自由からの逃走
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自由からの逃走

エーリッヒ・フロム(著者)

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自由からの逃走

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商品詳細

内容紹介
販売会社/発売会社 東京創元社
発売年月日 1951/12/30
JAN 9784488006518

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商品レビュー

4.2

125件のお客様レビュー

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2024/11/12

寄生獣という漫画で、ミギーが寄生獣の複合体である後藤に取り込まれた。その際に、ミギーは、心地よかったと言ったのだ。私は本書でこれを思い出し、人間には、強大な集合体に取り込まれ、一時的にも自我を忘れる欲求があるのではないかと疑わざるを得ない。そして、それを本書が明らかにしてくれた。...

寄生獣という漫画で、ミギーが寄生獣の複合体である後藤に取り込まれた。その際に、ミギーは、心地よかったと言ったのだ。私は本書でこれを思い出し、人間には、強大な集合体に取り込まれ、一時的にも自我を忘れる欲求があるのではないかと疑わざるを得ない。そして、それを本書が明らかにしてくれた。 自由とは何か。 家族で暮らしていた青年が独り立ちする。その一人暮らしにおいて、自由を感じながらも生活の営為においては、あらゆることを自ら判断しなければならなくなる。やがて青年は家族をもち、自由を一部手放しながらも、所帯を持ち、共同生活における生き甲斐を感じる事になる。例えてみたが、我々が自由と引き換えに手に入れるのは、帰属感であったり、その生活に服従する事での遣り甲斐であったりする。このことは、例えてみると、感覚的にはそんな風にも理解できる。 ー たしかに人間がだれしももっている、飢えとか渇きとか性とかいう欲求は存在する。しかし人間の性格の個人差をつくる、愛と憎しみ、権力にたいする欲望と服従への憧れ、官能的な喜びの享楽とその恐怖、といった種類の衝動は、すべて社会過程の産物である。人間のもっとも美しい傾向は、もっともみにくい傾向と同じょうに、固定した生物学的な人間性の一部分ではなく、人間を造りだす社会過程の産物である。いいかえれば、社会はたんに抑圧的な機能をもっているだけではなくー もちろんそれももってはいるが 一創造的な機能ももっている。 ー 自己保存の要求に対し、人間社会で与えられている条件を受け入れるほかないため、この折り合いによって外界と関係を結び、生活様式と習慣が形づくられる。 ー 自分自身が何かに帰属していると感じない限り、自分がどんなに無意味で批評であるかを感じないわけにはいかない。自分の生活に意味を与えてくれるために、集団へ自分を結びつけることが欲求として生まれてくる。 人間は、生まれながらに服従の欲求を持つものである。服従の欲求と帰属の欲求は、ほぼ同列のものだというのだ。本書が面白いのは、これをマゾヒズムと結び付けて解釈する点にもある。 ー マゾヒズムはこの目標への一つの方法である。マゾヒズム的努力のさまざまな形は、けっきょく一つのことをねらっている。個人的自己からのかれること、自分自身を失うこと、いいかえれば、自由の重荷からのかれることである。このねらいは、個人が圧倒的に強いと感じる人物や力に服従しょうとするマゾヒズム的努力のうちにはっきりあらわれる。(つけたせば他人が優越した力をもっていると考えることも、つねに相対的に理解されなければならない。それは他の人物のじっさいの力によることもあるし、また自己の完全な無主義性、無力感を言ずることによるばあいもある。後者のばあいには一匹の虱でも、一枚の木の葉でも、おそるべきものと考えられる) ー 個人的自我を絶滅させ、たえがたい孤独感にうちかとうとする試みは、マゾヒズム的努力の一面にすぎない。もう一つの面は、自己の外部の、いっそう大きな、いっそう力強い全体の部分となり、それに没入し、参加しようとする試みである。その力は個人でも、制度でも、神でも、国家でも、良心でも、あるいは肉体的強制でも、なんでもよい。ゆるぎなく強力で、永遠的で、魅惑的であるように感じられる力の部分となることによって、ひとはその力と栄光にあやかろうとする。ひとは自己自身を屈服させ、それのもつすべての力や誇りを投げすて、個人としての統一性を失い、自由をうちする。しかしかれは、かれが没入した力に参加することによって、新しい安全と新しい誇りとを獲得する。またかれは疑惑という責苦に抵抗する安全性も獲得する。マゾヒズム的人間は、外部的権威であろうと、内面化された良心あるいは心理的強制であろうと、ともかくそれらを主人とすることによって、決断するということから解放される。すなわち自分の運命に最後的な責任をもつということから、どのような決定をなすべきかという疑惑から解放される。かれはまたかれの生活の意味がなんであり、かれがなにものであるかという疑惑からも解放される。このような問題は、かれが結びついているカとの関係によって答えられる。かれの生活の意味やかれの自我の同一性は、自身が屈服したより大きな全体によって決定されるのである。 個人的な自己を捨てて自動人形となり、周囲の何百万というほかの自動人形と同一となった人間は、もはや孤独や不安を感ずる必要はない。しかし、かれの払う代価は高価である。すなわち自己の喪失である。

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2024/10/06

愛するということ からフロムデビューしてこの思想現代まで連綿と続いとるやんけ!おもろ!他のも読んだろ!→生きるということ で躓いた者です。自由からの逃走を先に読んだ方が良かったな。(作者も『自由からの逃走』でこのこと説明したから、とちょこちょこ書き足しているので) 三章までは「...

愛するということ からフロムデビューしてこの思想現代まで連綿と続いとるやんけ!おもろ!他のも読んだろ!→生きるということ で躓いた者です。自由からの逃走を先に読んだ方が良かったな。(作者も『自由からの逃走』でこのこと説明したから、とちょこちょこ書き足しているので) 三章までは「あっ…ふーん(?)」と感覚で読み進めていましたが、四章あたりで「宗教とか西洋文化の背景よー分からんけど、言いたいことは分かるわ」って感じ。 五章あたりでマゾヒズム/サディズムになぞらえた主従関係で理解深まりました。自由には責任が伴うからみんな誰かに決めてほしくて回避行動に出ちゃうんですかね。 仕事でも好きにやって良いよ〜と言われてもまずはリーダー(指導者)を決めるところから始まりそう。 ドイツの思想家にありがちな「〇〇的〇〇的な現象で」「〇〇的〇〇的要因から」みたいな独特な言い回しが続くと脳内宇宙猫。翻訳の都合ですかね?

Posted by ブクログ

2024/09/30

ユダヤ系のドイツの社会心理学者エーリッヒ・フロムが1941年に出版した、「ナチズムになぜ人々は熱狂するのか」を分析した本。ナチスドイツは1945年まで続いたので、本書はまさにナチスドイツ全盛期に書かれたものです。とても焦燥感と危機感溢れる内容でした。(フロムはこの頃にはアメリカに...

ユダヤ系のドイツの社会心理学者エーリッヒ・フロムが1941年に出版した、「ナチズムになぜ人々は熱狂するのか」を分析した本。ナチスドイツは1945年まで続いたので、本書はまさにナチスドイツ全盛期に書かれたものです。とても焦燥感と危機感溢れる内容でした。(フロムはこの頃にはアメリカに亡命しています。) 「自由からの逃走」、身に覚えがあります。私もご飯の準備が面倒な時は、3食とも給食だったらいいのに…と思います。まさに好きな食事をする「自由からの逃走」です。 という浅い内容では決してありません(苦)。 ヨーロッパは中世の終わり(16世紀頃)から近代(本書が書かれた19世紀)までは権威から自由を獲得するための戦いでありました。しかし権威から自由を勝ち取った人々の中には、自由のもたらす孤独感と無力感に耐えられず、自ら自由を手放し、権威あるものに服従してしまう、そのような人々の心理の現れがナチズムである、というのがざっくりした概要です。まとめサイトの内容もだいたいこんな感じかと。 私が本書を読んでびっくりしたのは、このような自由からの逃走は既に16世紀から起こっており、キリスト教のプロテスタントが、ナチズムととても似た動きによって産まれたことです。世界史の授業で習った(忘れてたけど)、腐敗した協会を批判しプロテスタントという新しい宗派を創ったルターやカルヴァンが、ざっくり言うと…「自己肯定感こじらせインテリ」で、封建制が崩壊し自由になった世の中の「負け組中産階級」のフラストレーションを彼らが上手く集めたことがプロテスタントの源流だったと…。(注意:フロムの主張を元にさらに私がテケトーに解釈して書いてるので真に受けないでね!) しかも、このプロテスタントの心理的な状況(自由を放棄し、権威に服従する傾向)が、資本主義の発展を後押しし、さらにこの資本主義のもとに育った人々に、影響を与えていく…。 資本主義社会に生きる自分の感情の2割くらいは、もしかして16世紀の「負け組中産階級」で出来てるの!?と思うと、背筋がゾワっとしました。 (あ、負け組中産階級を軽蔑している訳ではありません。自分自身の感情が、4世紀前の、しかも日本じゃなくてヨーロッパに影響を受けてるかもしれないという事実にゾワっとしたのです。) なかなか文章の意図を掴みきれなくて、読むのに時間がかかりましたが(理解しきれてなかったり、誤解してるところもあるかも)、まとめサイトの概要で終わらせず、ちゃんと本書を読んで良かったと思います。16世紀〜19世紀の状況は、今の日本と重なるところもあると思うので※、オススメの一冊です! ※この本を読むきっかけになったのは「解雇規制緩和」の話題が盛り上がっていたからでした。でも「解雇規制緩和」を謳った小泉さん、自民党の総裁になれませんでしたね。

Posted by ブクログ

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