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吉野葛・蘆刈 岩波文庫
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商品詳細
内容紹介 | |
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販売会社/発売会社 | 岩波書店 |
発売年月日 | 1986/06/01 |
JAN | 9784003105535 |
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吉野葛・蘆刈
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吉野葛・蘆刈
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商品レビュー
3.6
16件のお客様レビュー
溝口健二の「お遊さま」(1951)が好き。 今度、神保町シアターの田中絹代特集で上映される。観に行かねば.... その原作、谷崎の「蘆刈」を読んでみたくなり、岩波文庫を買い求めた。 冒頭、後鳥羽院や王朝への思慕が綿々と綴られていて、これのどこがお遊さま?と、ちょっと面食らって...
溝口健二の「お遊さま」(1951)が好き。 今度、神保町シアターの田中絹代特集で上映される。観に行かねば.... その原作、谷崎の「蘆刈」を読んでみたくなり、岩波文庫を買い求めた。 冒頭、後鳥羽院や王朝への思慕が綿々と綴られていて、これのどこがお遊さま?と、ちょっと面食らってしまう。 (谷崎の流麗な文章に圧倒されるが....) 中途から、お遊さまの話になり、ようやく一安心。 映画以上に異様な世界が(何気に)展開されるのは、さすが谷崎というしかない。 (しかも、映画にはない皮肉なオチもありーの....)
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- ネタバレ
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蘆刈: 前半部までは何のはなしかとおもった。中盤で茂みから突然男が現れて以降、彼が回想形式で話を進める。ここには何の企みもないと思われたが、男の登場のあまりの突然さに、私の意識は一気にその男に注がれたのであった。そしてその意識を優しく押し流すように彼が物語を進行させていくのだった。最後までとても読みやすかった。 谷崎の織りなす回想形式の物語展開はとても巧みである。不自然に感じられる行動であっても、そこは登場人物の心理描写で丁寧に補われている。似たような話のつくりである春琴抄も、読後に実際にあった話を聞かされたように感じるが本作もまさにそうであった。 作中の男は他の作品に見られるように愛する女性に夢中で女性の奔放さに操縦されるようなときがある。それでも決して彼のプライドは痛まない。むしろその女性の意向が尊重されることがそのまま彼の幸福であるという振る舞いをする。ここも春琴抄と似ていると思った。 生身の身体の交わり最後まではっきりと描かれることはない。それがあったという示唆のみである。複数の男女の間柄が中心となった物語では、その瞬間をいつかいつかと待ってしまうところが私にはあるが、最後までそれが現れないことで物語は一段と美しく昇華する。
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物語の前半はどちらも随筆みたいな調子で続き、後半くらいになって突然物語になる。しかもどちらも主人公「私」が出会った人の独白で、物語が入れ子になっている。 『蘆刈』に至っては後半からいきなり『卍』みたいになり、思わずにやけてしまった。
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