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滴り落ちる時計たちの波紋 文春文庫
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商品詳細
内容紹介 | |
---|---|
販売会社/発売会社 | 文藝春秋/文藝春秋 |
発売年月日 | 2007/06/10 |
JAN | 9784167717322 |
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滴り落ちる時計たちの波紋
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商品レビュー
3.7
12件のお客様レビュー
- ネタバレ
※このレビューにはネタバレを含みます
平野啓一郎くんの短編集。 父親の死とその後の心の動きを綴った“初七日”と、兄と幼い弟の休日を描いた“波打つ磯の幼い兄弟”は、私のふるさと、北九州が舞台で北九州の方言が多用されている。 方言がすばらしい! (北九州人以外の人に理解できるのかなー)。 “最後の変身”はカフカの“変身”に影響を受けている引きこもり男性のつぶやき。 横書きで書いてあるけど、これは彼がパソコンで自分のことを綴っている…っていうスタイルのようだ。 読んでいると、引きこもっている男の気持ちにかなり同調してきてしまい、怖い。 そのほか、“珍事”、“閉じこめられた少年”という作品もとても面白かった。 “閉じこめられた少年”は、ずっとイジメを受けてきた少年が反撃に出て相手をナイフで刺したあと、逃走しているところを描いているのだけど、読んでいると彼が“閉じこめられている”ところに自分もはまりこんでしまい、これも怖いです。 同じところをぐるぐる回っちゃうのです。
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短編集。瀕死の午後、波打つ磯の幼い兄弟、初七日が良かった。何気ない日常の風景が強烈なインパクトをもって胸に迫ってくる。論理的的確な描写は美さえ感じる。重厚で力のあるフレーズに圧倒された。
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個人的に興味深かったのは、カフカの「変身」をモチーフに、引きこもり青年の独白調で綴られた「最後の変身」です。 自分が「変身」したのは、肥大した自尊心と外殻に囲われた腐りきった中身、そして自らに課してきた「役割」であるとし、自らの半生を振り返る。 (ちなみに「役割」というのは、後の...
個人的に興味深かったのは、カフカの「変身」をモチーフに、引きこもり青年の独白調で綴られた「最後の変身」です。 自分が「変身」したのは、肥大した自尊心と外殻に囲われた腐りきった中身、そして自らに課してきた「役割」であるとし、自らの半生を振り返る。 (ちなみに「役割」というのは、後の平野作品に出てくる「分人」の概念に近しいのかな) ただの独白なのに、これほどまでに臨場感と迫力を出せるのは、やはりすごい筆力だと思います。ここだけ横書きなのも面白くて、「インターネットの日記なんかを覗き見ている感覚」なんだそう。なるほどなるほど。 他の作品、特に小品とも呼べる短編については、大胆な比喩も多く、正確に意味を把握するには至っていませんが、何か現代社会の脆さを表現しているようで不思議と感心してしまいました。
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