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無痛文明論
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商品詳細
内容紹介 | |
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販売会社/発売会社 | トランスビュー |
発売年月日 | 2003/10/05 |
JAN | 9784901510189 |
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無痛文明論
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商品レビュー
4.2
14件のお客様レビュー
- ネタバレ
※このレビューにはネタバレを含みます
これからの世界を考える上でこれまでの世界とは何だったのかという観点でみると面白い。 痛みを避けることにより弊害を受けていいるのだがそれ自体にも気づかない。そんな「無痛文明」から決して逃れられない作者が放つ魂の叫びみたいな本。 現在は変わりつつあるような気もするが世界を「近代の科学」で語り尽くせるという認識に立っているとこの考えに陥るような気がする。「災害」は人類が抑え込める的な記載があるのだが、そもそもその時点で事実誤認があると思う。それ故の「無痛文明」なのだが。
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現代文明は、人びとの「身体の欲望」を満たすことで、みずからの身を切り裂かれるような痛切な痛みによる自己解体を通して「生命のよろこび」を実現しようとする動きを「目隠し」してしまっていると著者は批判します。そのうえで、現代における文明が人びとを巻き込みつつ展開している「無痛奔流」から...
現代文明は、人びとの「身体の欲望」を満たすことで、みずからの身を切り裂かれるような痛切な痛みによる自己解体を通して「生命のよろこび」を実現しようとする動きを「目隠し」してしまっていると著者は批判します。そのうえで、現代における文明が人びとを巻き込みつつ展開している「無痛奔流」から脱却するための困難な戦いへと読者をみちびいていこうとします。 フーコーの「生権力」批判に通じるようなテーマを中心的にあつかっていますが、レヴィナスやドゥルーズ=ガタリ、ニーチェの問題にも通じるような洞察が随所に示されており、しかも著者自身のことばでわかりやすく、情熱的に語っているところに本書の特徴があります。 ただ、「身体の欲望」と「生命のよろこび」を対置し、あるいは「深層アイデンティティ」と「私が私であるための中心軸」を区別する議論の枠組みに、疎外論的な構図から脱却しきれていないような印象を受けてしまいます。むろん著者は、ロマン主義的な自然賛美の立場とみずからの「生命学」の立場を明確に区別しています。とはいうものの、あらかじめこうした対概念が区別されたうえで、両者を混同させてしまうような無痛文明の巧妙な装置が現に自己のうちにも働いていることを指摘し、だからこそ無痛奔流の流れに巻き込まれつつそれに抵抗するような戦いが必要だと訴えるという、疎外論に典型的なしかたで議論が展開されていることは否定できないように思います。 端的にいえば、まだ絶望が足りないのではないかという疑問を、どうしても拭うことができずにいます。
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「苦しみとつらさのない文明は、人類の理想のように見える。しかし、苦しみを遠ざける仕組みが張りめぐらされ、快に満ちあふれた社会のなかで、人々はかえってよろこびを見失い、生きる意味を忘却してしまうのではないだろうか」。抽象論も多いけど、内容は熱く、厚い。
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