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時のかけらたち
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商品詳細
内容紹介 | |
---|---|
販売会社/発売会社 | 青土社 |
発売年月日 | 1998/06/30 |
JAN | 9784791756469 |
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商品レビュー
4.2
6件のお客様レビュー
もうずいぶん慣れ親しんだはずの須賀さんの文章が、今回はなぜかすんなりと頭に入ってこない。 舗石を敷いた道を革靴で歩いているように、でこぼこしていてなんだか読み難い。 読み始めてしばらく、そんな違和感を感じていたが、やがて懐かしい哀しみに出会うことができた。/ 【さらに、序文の...
もうずいぶん慣れ親しんだはずの須賀さんの文章が、今回はなぜかすんなりと頭に入ってこない。 舗石を敷いた道を革靴で歩いているように、でこぼこしていてなんだか読み難い。 読み始めてしばらく、そんな違和感を感じていたが、やがて懐かしい哀しみに出会うことができた。/ 【さらに、序文の書き手は、ナタリアの(略)自伝的作品について彼女自身が書いた、「小説はすでに書かれていた、それに存在をあたえるためには、それにかたちと肉を与えるためには、それ[すでに書かれているもの]を〈道具として使〉えばいいのだということを、私はさとった」というコメントを引用する。そして、いう。作者は、それまで小説は書くものだと信じていた。が、あるとき「読むように」書けばいいのだと考えつき、それが彼女のあたらしい文体の発見につながったのだろう。】(「チェザレの家」)/ 【河原の石が白いのか、それとも月明りで白くみえたのか。とげのある灌木の枝を手で分け、まばらな常緑樹の林をぬけたところに、それはあった。夏の満月に照らされ、白一色の光につつまれたポン・デュ・ガール、ちょうど二千年ほどのむかしに、古代ローマ帝国の人々がニームの街に水を引くためガール川に渡した水道橋だ。川幅いっぱいにかがやく三層の白いアーチは、まるで人しれず地上に降りて遊ぶ天の帆船だった。夜の鳥がひと声、するどく啼いて、暗い谷あいに消えた。 ー中略ー 昼間だと、あの上を渡れます。ジャックがいった。いいのよ、渡らなくても、このままで。これまでに見た、いちばん美しいものみたいな気がするわ。ジャックが頬をあからめたのが、月の光でわかった。もういちど、彼がいった。あなたをここに連れてきて、よかった。】(「ガールの水道橋」)/ この作品が、須賀さんの最後のエッセイとなった。 彼女が企図していた小説も書かれずに終わってしまった。 だが、 《有機体が死んでも生は残る。》(ジル・ドゥルーズ『記号と事件』) のである。
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パンテオンの郷愁、スペイン広場の佇まい ニッコローの図書館など… 建築・芸術・文学の嫌味のない語りが、 宛かも自分の思い出だった様な臨場感を与えた イタリアの街並みを作者と散歩したような 健やかな読後感を残した
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恐らくほぼ全ての著書を持っててこれは最期の一作。50代後半からエッセイを書き始めたという人なんだけれど、ヨーロッパの精神・建築・芸術・言語に対する深い造形があってこその文章でいつも打ちのめされます
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