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デモクラシーのいろは の商品レビュー

4.7

23件のお客様レビュー

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2025/11/24

待望の長編。古代ギリシャからの永遠のテーマ、民主政。アメリカンデモクラシーは信じていないが、米の二面性に苦しめられた日系二世の民主主義馬鹿サクラギ先生の奮闘ぶりに、そう考え込まないでサクサク読了。重いテーマだけど、さわやかで清々しい読後感しみじみ噛み締める。ただ、戦後民主主義が輸...

待望の長編。古代ギリシャからの永遠のテーマ、民主政。アメリカンデモクラシーは信じていないが、米の二面性に苦しめられた日系二世の民主主義馬鹿サクラギ先生の奮闘ぶりに、そう考え込まないでサクサク読了。重いテーマだけど、さわやかで清々しい読後感しみじみ噛み締める。ただ、戦後民主主義が輸入されて80年、一見自由だし平等に見えるが、いまだに根付いているとは思えないし、米含めた世界情勢見るにつけ、人類に民主主義は実践できないユートピアかと。「十人十色の民主主義」がさらに広がり、権利だけ主張し義務は置き去り。「民主主義の基本は君たちが自分自身で考えた物語を生きること。自分の頭で考えそれを堂々と主張する力必要」なのだが…。作品としては今年いちばん。

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2025/11/24

大好きな森絵都の新作。戦後間もない日本で、様々なバックグラウンドの女性4人に日系二世の青年が民主主義を教える話。森絵都っぽいコミカルさと、戦後すぐの悲惨さが同居していて、ぐいぐい読める。主人公の責任感というか、良心の持ち方がすごくて好感が持てる。制限時間のあるレッスンに沿って話が...

大好きな森絵都の新作。戦後間もない日本で、様々なバックグラウンドの女性4人に日系二世の青年が民主主義を教える話。森絵都っぽいコミカルさと、戦後すぐの悲惨さが同居していて、ぐいぐい読める。主人公の責任感というか、良心の持ち方がすごくて好感が持てる。制限時間のあるレッスンに沿って話が進んでいくので、このまま終わるのかなーと思いながら読んでいたら、ラスト近くにちゃんと転換があって、そこから一気に読み進めてしまった。

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2025/11/23

P105 から始まる孝子からマッカーサーに宛てた手紙が私にとっては一番のハイライトだった。 戦争に負けたのは貧乏人だけだったのではないか、一部の人達はずっと勝ち続けていたのではないか。 苦しい思いをして戦時を生き抜いた一井の人々、大切な人を戦争で亡くした人たちからすると、何も...

P105 から始まる孝子からマッカーサーに宛てた手紙が私にとっては一番のハイライトだった。 戦争に負けたのは貧乏人だけだったのではないか、一部の人達はずっと勝ち続けていたのではないか。 苦しい思いをして戦時を生き抜いた一井の人々、大切な人を戦争で亡くした人たちからすると、何も失わず苦しい思いもせず変わらぬ生活を続けていた特権階級は憎くてしょうがない。どうしてこんな差があるのか。 民主主義がすべてを解決できるわけではないことを現代に生きる我々は知ってしまったけれども、当時の人から見ると民主主義はとても素晴らしいものだと思えただろう。 今、民主主義は正しく機能しているのか考えていかないとなと思う。

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2025/11/22

登場人物が皆、魅力的で、躍動感あふれる物語でした。 600pを超える長編ながら、中だるみすることもなく、ずっと続きが気になるおもしろさ。 生きる喜びや楽しさを思い出させてくれる、さすが森絵都さん!と感動しました。

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2025/11/20

静岡市女性会館図書コーナーの書誌詳細はこちら↓ https://lib-finder.net/aicel21/book_detail_auth?authcode=HByPABWoSzmq64jlq4FzSg%3D%3D

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2025/11/20
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

第二次大戦後、GHQ統治下の日本。この国を民主化するための一つの試みとして、半年間4人の日本人女性をひと処に住まわせ、民主主義の教育を施すという実験が行われた。それぞれがそれぞれに大戦で色々なものを失ってきた美央子、孝子、ヤエ、吉乃の4人が集められ実験対象となり、また彼女らの教師を、在米日本人2世としてアメリカで生まれ育ち、戦後日本にて通訳官を勤めていたリュウ・サクラギが務めることになる。 基本的に物語はリュウの視点から語られる。はじめは彼女らともウマが合わず、教育も上手くいかず試行錯誤を繰り返すが、次第にそれぞれと心を通わせるようになっていく。 物語がリュウの視点から描かれる分、読者はリュウに感情移入しながら読み進めることになる。何かトラブルが起きれば一緒になってドキドキするし、誰かと打ち解ける度にホッとするし、彼女らから頼られたり成長を実感する出来事があればとても嬉しい気持ちになる。教師としてのリュウの感情をそのまま追体験できる形になっている。その分、リュウの目線からは見えなかった彼女らの企みが、それまでに散りばめられた伏線回収とともに明かされる時の驚きも、またひとしおなのである。 彼女ら4人(クニも入れれば5人)の生い立ちや戦中・戦後の経験は相応に悲惨なものであり、またリュウとそれなりに打ち解けるまでは良い雰囲気で物語が進行するわけではないのだが、暗く感じさせずに最初から最後までコミカルに書き切るその筆致が見事。彼女ら5人、リュウ、鞠子ら登場人物のキャラクターの書き分けも素晴らしい。 何よりも、印象に残るフレーズの数々が胸に刺さる。彼女らの半年間の成長がそのまま発露したような、黒板に書かれた最後の質問に対しての各々の答えも当然グッとくる。物語序盤の「与えられた物語を信じちゃいけない。」、「民主主義の基本は、君たちが、自分自身で考えた物語を生きること」や、「体の芯に降りてきた碇のようなもの。これを覚悟と名づけたい。」も良い。でも個人的には最終盤での孝子の「アイ、ハブ、ビーン、ハッピーでした。」を凄く推したい。それまでの教育内容の描写が、こんなところで生きるとは。 色々書きたい感情があるんだけど上手く言葉に出来ない。とりあえず言えるのは、今年読んだ中で1、2を争う良い小説でした。そのうち映像化されるんじゃないかな(長さ的に、アニメかドラマが良いかも)。

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2025/11/18

戦後、アメリカ式に世間はあっさり切りかわったのだろうか。 もしこんな勉強会があったら生徒はこんなこともするかもしれない。

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2025/11/17
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

GHQによって東京下落合の邸宅に集められ、日系2世のサクラギから「民主主義のレッスン」を半年間受けることになった4人の女性を描いた物語。やる気や協調性を感じられない4人に対して、試行錯誤するサクラギの奮闘と協力者である仁藤鞠子の粘っこい思惑に釘付けになった。登場人物の背景をしっかり描き、何なら脇役の師匠までもが生き生きとしており、みんな愛おしい存在で、思わず声に出して笑った内容も多く、こんなに楽しい読書は初めてだった。彼女たちが考え抜いて辿り着いた民主主義の答えと、それぞれの夢が希望に溢れていて良かった。

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2025/11/16

民主主義とは何かを教わるために集められた4人の女性とアメリカから来た日系二世の教師。GHQや邸宅を貸した子爵夫人との戦い。

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2025/11/16

戦後すぐの日本で、女子を対象にデモクラシーを育てていくという壮大な計画の話。こういうことは実際にあったのか?おそらくはなかったのだろうが、デモクラシーの歴史、国による違いなど、読みながら考えるのは面白かった。上野で戦争孤児が飢え死にしているような時に、旧華族はものすごく贅沢な暮ら...

戦後すぐの日本で、女子を対象にデモクラシーを育てていくという壮大な計画の話。こういうことは実際にあったのか?おそらくはなかったのだろうが、デモクラシーの歴史、国による違いなど、読みながら考えるのは面白かった。上野で戦争孤児が飢え死にしているような時に、旧華族はものすごく贅沢な暮らしをしていたとか、学士会館が米軍に接収されていたとか知らなかったなぁ。

Posted byブクログ