マーブル館殺人事件(下) の商品レビュー
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アラン・コンウェイの『アティカス・ピュント』シリーズの続編を書くことになった作家エリオット・クレイスと、編集者のスーザン。 スーザンはエリオットが書いた作品を読み進めるうちに、これはエリオット自身が幼少期を過ごした祖母ミリアム・クレイスの屋敷「マーブル館」での出来事をモチーフにしているのではないかと思い当たる。作品の中での老婦人の死は、エリオットの祖母ミリアムの死に酷似していたからだ。そして作品そのものが、エリオットの祖母は単なる自然死ではなかったということを示唆していた。 作品をめぐりスーザンとエリオットが対立を深める中、エリオットが何者かに轢き殺されるという事件が発生する。しかも、エリオットの血のついた衣服がスーザンの愛車から発見されるなど、疑惑がスーザンに向いてしまう。 エリオットを殺したのは、かつてマーブル館でミリアムを殺した人物だと睨んだスーザンは、エリオットが書こうとしていた物語の中からそれを見つけだすことにする。だが、エリオットはプロットを残して死んでしまっているので、続きはミステリ好きのブレイクニー警部が書くことに。 警部の手による終章で事件の真相を突き止めたスーザンは、マーブル館にて関係者を集めた推理ショーを行う。 どんなに偉大な人物でも、それが真の姿とは限らない。特に家族に見せる姿は全く異なるもの、ということは往々にしてある。鬱屈したエリオットの思いを考えると、これは祖母の象徴でもある「物語」をとおした復讐でもある。虚構と現実が入り混じり、次第に現実がじわじわと侵食されていく感じが心地よい。 またしても大ピンチを迎えるスーザンに、「懲りないなあ」と苦笑する。 作中でスーザンが「続編小説は嫌い」と言いつつ、それはホームズシリーズを手掛けているホロヴィッツ自身にも当てはまるのが何とも皮肉が効いている。
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プロローグ 時として、人は無条件に受け入れてしまう瞬間 (トキ)がある! それは理屈ではなく本能的にだ 人が一瞬にして恋に落ちるように そこに理由は存在しない なんでこの女性(ヒト)と出逢ったのだろうと 自問自答しても、答えは一向に出ないのと一緒だ ある人は、それを運命と言うか...
プロローグ 時として、人は無条件に受け入れてしまう瞬間 (トキ)がある! それは理屈ではなく本能的にだ 人が一瞬にして恋に落ちるように そこに理由は存在しない なんでこの女性(ヒト)と出逢ったのだろうと 自問自答しても、答えは一向に出ないのと一緒だ ある人は、それを運命と言うかもしれない 私にとって、本書は正にそれだ!!! 本章 『マーブル館殺人事件 下』★鬼5 上手い、上手過ぎる 思わず膝を打ちたくなる なんて自身にフィットするんだろう 極上のミステリー小説だ もう四の五の言いたくない 言いたくはないが、作中作と現実とで起こる 入れ子構造のミステリーを是非体現いただきたい! これは、今年もこのミス獲りますな!!! エピローグ 本書は、軽井沢からの帰りの新幹線 E7系“はくたか”で読み終えた 新幹線は、確実に進化している 東海道・山陽新幹線の最新型N700Sよりも 更に静寂性は高いのではなかろうか!? そのくらい、読書には最適な空間だ ただ、ミステリーに関しては、王道の古典的な ミステリーが本当に身体に合っている そして、我が国でもこの作家は絶大な支持を受けている やはり、ミステリーは英国が保守本流なのか もしかしたら、運命の人(女性)は、 イギリス人なのかもしれない、、、(¯―¯٥)!!! 完
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スーザン、毎度余計なことをしよる……。 結末を知れば、ミステリ的にはありふれた動機。しかし、クリスティの要素あり、作中作という入れ子構造ありと、本当に面白すぎる。 ワードロウはあまりにもいけ好かないやつだが、ブレイクリーの素晴らしさとの対立として大目に見ておこう。
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エレインが最初からスーザンをターゲットにしてたなら、彼女にとって不意だったエリオットの死がなかったらどうやってスーザンに復習するつもりで近づいてきたのだ? 不要に思えるという大戦の話やオランジーナはエリオットの未熟さということで片付いたのか? アンドレアスと別れさせて新しい恋人に警部を据えることに意味あるのか?(2度も命を救っているアンドレアスと別れさせるのはイギリスに帰らせるためだけ?) そもそもスーザンてこんなに無神経だったっけ?親族に新聞記者かと思わせるような故意に怒らせるような質問したり、そんなつもりはなかったと言ってはいるけど無神経にも程がある言い方や質問したり(エリオットにお婆さんのようになりたくて作家を目指したのかなんてどうしたら口を滑らせられるのだ)、誰にも歓迎されないどころか非難されることが分かってるパーティに、見込みもなく乗り込むのも読んでて人物として受け入れにくい抵抗を感じてしまう。 猫出してきて傷つける必要あった?エレインと猫は不自然で話の向かう方向が読めてしまうのに(愛する旦那を刑務所に送って家庭を崩壊させた女性を好意的に友人として歓迎するなんてありえないし、ましてやいい暮らしをしてたのだから)なんで登場させたのだ。 ということで全て今後の伏線か?続編が出るということなのか、、、? しかしホロヴィッツって出版界というのか作家のことをリスペクトしているのか批判したいのか社会問題を入れ込みたいのか。なんでどれにも同じような暗黒面を入れてくるんだ。。。トルストイやルイス・キャロル持ち出す必要あったか?事実がどうかなんてわからないのに。
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とにかく先が気になって仕方がない。とても面白かった。最後まで全く真相が見えず、全てが解き明かされた時には予想外の結末が待っていた。すでに次作が楽しみだ。
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『カササギ殺人事件』『ヨルガオ殺人事件』そのまさかまさかの続編の下巻。 エリオットの執筆中の『アテュカス・ピュント』シリーズの 最新作となるであろう『ピュント最後の事件』 その編集を頼まれたスーザンは、 登場人物とエリオットやその家族との間に多くの類似点があることに気付く。 作...
『カササギ殺人事件』『ヨルガオ殺人事件』そのまさかまさかの続編の下巻。 エリオットの執筆中の『アテュカス・ピュント』シリーズの 最新作となるであろう『ピュント最後の事件』 その編集を頼まれたスーザンは、 登場人物とエリオットやその家族との間に多くの類似点があることに気付く。 作中のレディ・チャルフォントの元となった 世界的な児童文学作家だった彼の祖母ミリアム・クレイス。 彼女の死にも何かがあったのか? 突如ギアが入ったかのように物語は加速していく。 案外わかりやすいヒントを今回は置いていくなと訝しんでいたが、 ページを進め驚愕。まんまと引っかかってしまった。 そう、そんな簡単に済ませるわけがないのだ。 今回も一冊で二度楽しめる至高のミステリーを堪能できた。 物語の締めくくりもお見事。さすがに今回で完結か? いや、そうではない気がするのは私だけだろうか。
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クレイス家のパーティの帰りにエリオットが車に轢かれて死亡する。作者がこの世から消え、執筆中だった小説の原稿に続きはなく、残っているのは構想メモのみ。 エリオットが書こうとしていた結末は現実で起きた20年前(?)のミリアム死亡と関係があるはず、と幼少期のエリオットと親しかったスーザンの元上司チャールズとの接触を試みる。チャールズの妻エレインの助けもあって刑務所での面会が実現するが、対面したチャールズの態度から、素直に面会に応じてくれたことを疑問に感じる。 警察はエリオット死亡を殺人事件とみて捜査。あらゆる証拠がスーザンを犯人であると指し示すが、担当警部ブレイクニーはそこに違和感を抱き、小説と現実との繋がりを探るスーザンと協力体制をとる。 ブレイクニーは残されたエリオットの構想メモを手がかりに物語の最終章を自力で構築し、小説に隠されたエリオット視点での真相が明らかになる。 また、スーザンはブレイクニーの言葉などをヒントに、エリオット死亡の事件で自分を嵌めた相手に辿り着く。その相手と直接対決したスーザンはナイフで怪我を追うが、助けに入ったブレイクニーのおかげでなんとか生還し、疑いも無事に晴れる。 しかしエリオット殺害の犯人は別にいる。その人物が過去のミリアム殺害にも関わっていることを悟ったスーザンは、クレイス一族をマーブル館に集める。
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