イン・ザ・メガチャーチ の商品レビュー
心が抉られる。 なんなら見たくなった読みたくなかった視点。 自分がまさに信仰気質のある推し活をしていたし、今もまたそうなりそうな段階にいたから。 理想は誰にも馬鹿にされず、自分の管理できる領域で楽しみたい。 でも新しくできた推し活を通して、自分の人生を前より前向きに捉えれるよ...
心が抉られる。 なんなら見たくなった読みたくなかった視点。 自分がまさに信仰気質のある推し活をしていたし、今もまたそうなりそうな段階にいたから。 理想は誰にも馬鹿にされず、自分の管理できる領域で楽しみたい。 でも新しくできた推し活を通して、自分の人生を前より前向きに捉えれるようになった、そして推してる人が幸せであってくれますようにと願うようになった。 いつだって操縦される側の人間で、地盤が固まっていない時にのめり込むのはやはり危険性を感じる。 でもどっぷり浸かって、自分自身を余すことなく使い切った時、ふと我に帰る。 もう、疲れちゃったと。 前もあったな、こんなこと。 推しが頻繁に配信してくれるのも、結局他者と繋がれるから。 自分を無条件に肯定してくれるコミュニティがあそこにあるから。 オタク仲間もそうで、自分を肯定してくれる。 だから繋がっていることが幸せに感じるし、より強固になる。 のめり込むのも幸せかもしれないけれど、やっぱり自分の生活水準に無理のない範囲で楽しむことが大切。 推しにたびたびそう忠告されるけど、自分が1番それを自分自身に忠告しておかないと。 それができなくて無理をするくらいならやめたほうがいい。 長く付き合っていきたいなら、無理をせず、距離を保って応援し続ける。 読みたくなかったなあ。 客観的に自分を見ているようでしんどかったなあ。
Posted by
普段は図書館や古本屋を利用している自分が久しぶりにハードカバーの本を買った。 “今”この本に出会えてよかったと思える作品だった。 文庫になる前だからこそ、この新鮮な衝撃と感動を味わうことができたと思う。 日常にある非条理や鬱屈とした気持ち、非日常が与えてくれる充実感が渦を巻い...
普段は図書館や古本屋を利用している自分が久しぶりにハードカバーの本を買った。 “今”この本に出会えてよかったと思える作品だった。 文庫になる前だからこそ、この新鮮な衝撃と感動を味わうことができたと思う。 日常にある非条理や鬱屈とした気持ち、非日常が与えてくれる充実感が渦を巻いて世界を構成していく様がよくわかった。 その渦の中で生きていることを実感しながら自分軸の中で凛として生きていくことの難しさ、だからこそ挑戦したいという気持ちを奮起させてくれるような作品だった。 朝井リョウさんの作品をもっと読んでみたい。
Posted by
- ネタバレ
※このレビューにはネタバレを含みます
それぞれの「物語」に引き込まれ、明日も仕事なのに夜更かしして読んじゃいました。 救いはないのか…と胸が苦しくなったものの、それは読んでいる私自身の価値観なのであって、本人たちは救われているのかなとも思ったり。 そして年も性別も違うけど、久保田に感情移入していました。登場人物の中で常識人枠かと思いきや最後!! 『最後の最後で何やらかしてるんだよ…!!』『いやこれ、振り向いた顔を見てどんな反応をしたんだ…?!』なんて思いながら読んでました。 朝井リョウさんさすがです。 あーー!!おもしろかったーーーーーー!!!!!
Posted by
この作品のテーマは「推し活」。特定の推しがいない自分でも楽しめたが、実際に推し活している人にとっては恐怖すら感じる内容だと思う。 物語は、推しを失った女性、周囲に馴染めず推し活にのめり込む女性、そして推し文化を仕掛ける側に回った中年男性という三人の視点で進んでいく。推し活を「物...
この作品のテーマは「推し活」。特定の推しがいない自分でも楽しめたが、実際に推し活している人にとっては恐怖すら感じる内容だと思う。 物語は、推しを失った女性、周囲に馴染めず推し活にのめり込む女性、そして推し文化を仕掛ける側に回った中年男性という三人の視点で進んでいく。推し活を「物語という宗教」として描き、価値観や行動が変質していく様子が非常にリアルで、読むほどに怖さが増す。 フィクションでありながら、推しに熱狂する側の心理や金銭感覚、運営側の戦略や収益構造が驚くほど精密に描かれている。読みながら「幸せとは何か?」を考えさせられた。 朝井リョウの特徴である、時代の空気を正確に切り取った言葉選びと読者の痛点を突く描写は健在。面白いのに、読むほど胸が痛む感覚がある。 特に刺さった一文がある。 「中年期の男性は孤独に弱い傾向にあります。あと、これまでの人生における後悔。この二つを刺激する物語には、特に呑み込まれやすいんです。」 これを読んで、無自覚にメディアに操作されないよう気をつけたいと思った。 また、男性は必要事項しか話さず、仕事を失うとコミュニケーションが途切れ、友人が減っていくという描写も深く刺さった。孤独を埋めたいという思いがある一方で、その欲求こそが搾取される構造になっている――その残酷さが印象に残る。 結末の解釈は読む人によって違うだろうが、読後は「朝井リョウ、えげつないな」と思わざるを得ない。 しばらく心がざわつくので、次は「ゆとりシリーズ」で気持ちを整えたい。
Posted by
恥ずかしながら、朝井リョウさんの作品を読むのは今作が初めてであり、だからこそ衝撃が大きかった。 あまりの面白さに、つい一日で読み終えてしまった。 年齢、境遇の異なる3人の主人公が、「推し活」と三者三様の形で関わり合っていくストーリー。 1人は運営側、1人は推し活にハマっていき、...
恥ずかしながら、朝井リョウさんの作品を読むのは今作が初めてであり、だからこそ衝撃が大きかった。 あまりの面白さに、つい一日で読み終えてしまった。 年齢、境遇の異なる3人の主人公が、「推し活」と三者三様の形で関わり合っていくストーリー。 1人は運営側、1人は推し活にハマっていき、1人は「推しの死」を契機に推し活が抜け出す。 テーマは一貫して、「物語(本質的ではなさそうなこと、一見すると意味がないもの)への熱中」である。 ラストシーンでは、大学での人間関係や、理想とかけ離れた自分自身に辟易した結果、「推し活」に熱中した澄香は笑顔で、一方で推しが自殺したことで「推し活」から抜け出し、「物語への熱中」を否定して、陰謀論に傾倒してしまった隅川やいづみは苦しんでいた。 世の中には、「何が正しくて何が間違っているのか」についての明確な解答は存在しない。 またそれと同時に、今の情報社会、SNS社会では、色んな意見が目に入ってくることから、「自分が何をすべきなのか」を見つけることがとても難しいものとなっている。 領主に従うことが第一だった、一昔前の封建社会とは違って、国民が自由を獲得した現在の民主国家においては尚更だ。 そういうわけで、「推し活」などへの中毒症状が、自分の人生の進むべき道という役割を果たし、私達を安心させる。 モラトリアム期間真っ最中の、大学生澄香にとっては、アイドルに熱中すること、すなわち彼女が進むべき道を得たことが彼女を大いに安堵させたのだろう。 その上、何かに熱中することは、視野を狭めて嫌な現実が目に入らなくなることを意味する。 実際、彼女が以前悩んでいたような、理想とかけ離れた自分自身の体型や顔、繊細かつ内向的な性格と、それによりもつれた人間関係などは、アイドルに熱中してからは気にかけなくなっている。 しかし、今作において、「物語に熱中すること」が最善な生き方である、と手放しに示唆しているわけでない。 その理由としては久保田のラストシーンが挙げられる。 彼は「物語に熱中」した結果、スタッフとして自分が関わったアイドルを友達だと思い込み、彼が適応障害になった際に、心配で住所を特定して駆け込んだ。 その結果、チームから外され、再び大きな孤独に苛まれる日々に後戻りすることとなった。 そこで彼は、本当に自分「物語に熱中」すべきだったのは、澄香に対してだったのだと後悔して物語は幕を閉じる。 このように「物語への熱中」は、人生を好転させるだけではなく、時期や対象を誤れば、人生を破滅させる危険性も大いに孕んでいる。 それは、視野が狭まり、周りのことが見えなくなるという特性上、リスクが付き物であるからだ。 まとめると、人生の進むべき印を得る方法として、「物語に熱中」することがある。 しかし、これは人を盲目にさせる危険も伴うギャンブル行為なので、自分の人生を好転させるのかよく吟味してから行うべきだ。 もっとも、「物語に熱中」する時は、人はえてして物事を合理的には考えられないので、そんなことは不可能なのだが。
Posted by
ファンダムをテーマにした、現代社会の写し絵。 VUCAだ、多様性だと言われる現代で、何が正解か、何が幸せかは個人に委ねられている。 正解がない中で手探りで生きていくしかない現代で、種々の間違いかたを示したのが、この物語だと感じた。 人生って、何かに没頭して、ふと我に返ってこれで...
ファンダムをテーマにした、現代社会の写し絵。 VUCAだ、多様性だと言われる現代で、何が正解か、何が幸せかは個人に委ねられている。 正解がない中で手探りで生きていくしかない現代で、種々の間違いかたを示したのが、この物語だと感じた。 人生って、何かに没頭して、ふと我に返ってこれでいいんだっけと思いながらも、その問いを振り払うように正しいと思い込み、また没頭する。(自分を余らせない、使い切る)そして間違う。みたいなことの繰り返しだよなと。改めて気付かされた。
Posted by
- ネタバレ
※このレビューにはネタバレを含みます
現在の推し活文化をよく表していて面白く、テンポも良かったのでほぼ一気読みしてしまった。 効率化されきってしまい仕事の人間関係にプライベートを混ぜないことが主流になってきてる今、新たな人の繋がりとして推し活があることが興味深かった。 また同じ物を好きという前提があるから、 前提を疑わず、視野が狭くなり全員で物語りに夢中になっていくのも納得感があった。
Posted by
- ネタバレ
※このレビューにはネタバレを含みます
色んな年齢や立場の視点から「繋がり」を考えさせられる物語だった。 SNSやリアルな繋がりがある現代の中で、人間は繋がりが必要なのだと感じた。それをビジネスとして捉える人をいるし、それを理解してお金を費やして視野を狭めて没頭する人たちもいる。 周りの事は気にせず、好きなもの、コト、ヒトに夢中になる時間って幸せで貴重な時間だと思う。視野を広げて我に返りたくない、みたくない人もいるはず。
Posted by
「どこかで“この視野で、ある程度の確率で、間違う”と覚悟を決めるしかないのだ。」 正解のない世の中で何を信じていいのか分からない時代に生きている私達はどうすればいいのか。ずっと考えながら読んでいた。 ずっと人の痛い所をつついてくる朝井リョウ怖い!w でもおもしろい!w
Posted by
スミカ、限りなく自分と近い存在だなぁ 某オーディション番組で出来たグループを推してるから、見慣れた言葉が並んでた 最初踏み入れた時、何これ?って思いつつも結構その世界にのめり込んで、積むまではいかなかったけど、いろいろ連続再生〜とかハッシュタグ〜とかやってた。忙しくなってきて最近...
スミカ、限りなく自分と近い存在だなぁ 某オーディション番組で出来たグループを推してるから、見慣れた言葉が並んでた 最初踏み入れた時、何これ?って思いつつも結構その世界にのめり込んで、積むまではいかなかったけど、いろいろ連続再生〜とかハッシュタグ〜とかやってた。忙しくなってきて最近は自分のペースで推してるけど…学生のころにこの世界にのめり込んでたらどうなってたんだろうと思う…
Posted by
