悲鳴 の商品レビュー
- ネタバレ
※このレビューにはネタバレを含みます
犯人が悪いのは当たり前に犯人が生まれる土壌がある、文化がある。 そんな中で誰も犯人に気づかない、被害者の悲鳴に気づかない…そう言う歪さを描いた物語でした。 暗いし重たいけれど、展開も早く想像していたよりも綺麗に終わったので読みやすいかな、と思います。 私はやはり昭和以前の価値観は受け入れられない点が多いなぁ、と改めて思っちゃいましたね…
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小学5年生でサチは、見知らぬ男に誘拐されて、土蔵に閉じ込められ、そこから出ることもできず、数年後、妊娠し、子供を産まされた。 それが男の母親に知れ、ついには事件は発覚したが‥。 本当に胸糞が悪くなる町だった。 サチは私と同じくらいの歳の設定だけど、私が子供の時、自分が住んでいた...
小学5年生でサチは、見知らぬ男に誘拐されて、土蔵に閉じ込められ、そこから出ることもできず、数年後、妊娠し、子供を産まされた。 それが男の母親に知れ、ついには事件は発覚したが‥。 本当に胸糞が悪くなる町だった。 サチは私と同じくらいの歳の設定だけど、私が子供の時、自分が住んでいたところはあんな男尊女卑では無かったし、父親にも弟(長男)にも物申したし。 まぁ、確かに宴会の時は女の人たちばっかり働いていたけど‥。 悲惨な事件の話だけどあっという間に読めました。
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面白かった。だけどもう一回読みたいとは思わない。ただただ主人公が可哀想であった。女性という性別で生まれただけなのにこんな目に遭うのは本当に可哀想。私の祖母の地域でも女は台所、男は飲み食いするだけという場面が多々あった。田舎であればあるほど、閉鎖的であればあるほど、人に執着し注目し...
面白かった。だけどもう一回読みたいとは思わない。ただただ主人公が可哀想であった。女性という性別で生まれただけなのにこんな目に遭うのは本当に可哀想。私の祖母の地域でも女は台所、男は飲み食いするだけという場面が多々あった。田舎であればあるほど、閉鎖的であればあるほど、人に執着し注目し噂をする。最悪である。
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小学5年のサチは美しく利発な少女で、みんなの憧れの存在だった。 だが彼女は誘拐され、11年間も見知らぬ中年男に監禁された。 土蔵に閉じ込められ教育も青春も奪われ、挙げ句の果てに子どもを産まされた。 だが出産する頃になり男の母に気づかれ…数年後、事件は発覚し、生還を果たすのだが。...
小学5年のサチは美しく利発な少女で、みんなの憧れの存在だった。 だが彼女は誘拐され、11年間も見知らぬ中年男に監禁された。 土蔵に閉じ込められ教育も青春も奪われ、挙げ句の果てに子どもを産まされた。 だが出産する頃になり男の母に気づかれ…数年後、事件は発覚し、生還を果たすのだが。 古い価値観のまま動いている住人の嫌がらせなのか、白骨死体が送りつけられて、これが本物のサチだと…。 昭和の時代の名残りなのか、この町が昭和以前のようで怖気すら感じる。 長男だけが優遇される考え方、風習や因習もまだ残っていることにも令和の現代では考えられない。 女は男より先に風呂に入らない、必ず残り湯であることや、集まりでは男たちが座敷で飲み食いし、女たちは台所で酒肴を用意する。 女は勉強より手伝いをして早いうちに嫁にいく。 いろんなことに苛立ちを感じながら、仕方ないと諦めているのにも腹が立つ話である。 それが普通で当たり前のような町で起きた犯罪も無知無学な男のせいなのが余計に許せなく思った。 サチの仲の良い友人が動きだすのが唯一の救いだったし、スナックのママも何気に観察眼があると感じた。 タイトルの悲鳴は、サチだけの声じゃなく犯罪を生み出した町に暮らす人々の声でもあるのではと思った。 同じ考えの者だけで集い、意に合わない者を排斥しているままでは何も変わらない。 それはとても怖いことだ。
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この物語の何が嫌かって、まるっきりの創作じゃないところよね。 そういう時代や社会は確かにあったし当時はそれが普通だった。 それでも頁を引きちぎりたい衝動に駆られてしまう。 閉鎖空間では外界の常識は通用しない。 理屈として分かっていても、やっぱり「おかしい、ふざけんな、許せん」って...
この物語の何が嫌かって、まるっきりの創作じゃないところよね。 そういう時代や社会は確かにあったし当時はそれが普通だった。 それでも頁を引きちぎりたい衝動に駆られてしまう。 閉鎖空間では外界の常識は通用しない。 理屈として分かっていても、やっぱり「おかしい、ふざけんな、許せん」って思う。 でもまあ、こんなに不愉快なのに読まずにはいられない時点で作品としては高評価ですわ。 犯罪を犯すのは人間なのに、その人の性質だけが原因じゃないから本当に厄介だ。
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古い風習である馬伏町。 その町で小学生の少女が行方不明にかなり、結果十一年もの間監禁された。 古い考えや習わしに抗えずそれぞれが悩みを持ちながらも町を出ることができない。 そんな町で発生した事件。 読み進めるのが辛かった。 唯一救わられたと思ったのは、いつも一緒だった友人がいたこ...
古い風習である馬伏町。 その町で小学生の少女が行方不明にかなり、結果十一年もの間監禁された。 古い考えや習わしに抗えずそれぞれが悩みを持ちながらも町を出ることができない。 そんな町で発生した事件。 読み進めるのが辛かった。 唯一救わられたと思ったのは、いつも一緒だった友人がいたことだったかもしれません。
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これまで読んだ本の中でも10本の指に入るくらい嫌な話であった(いい意味で)。最後は良かったけれど。 おじろくおばさの話やダキニ様の話とか、ローカルの嫌な習慣が話にうまく交えられていた点が面白かった。
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さまざま作品は知っていたけど、初読み作家さんでした。解説を読む限り、閉鎖社会の作品を多く書いているらしい。 今回も馬伏町という昭和の価値観で止まっている男尊女卑社会で起きた誘拐監禁事件。11才から22才まで監禁され最悪な人生を過ごすサチ。 やっとの思いで帰宅できた生家には自分の...
さまざま作品は知っていたけど、初読み作家さんでした。解説を読む限り、閉鎖社会の作品を多く書いているらしい。 今回も馬伏町という昭和の価値観で止まっている男尊女卑社会で起きた誘拐監禁事件。11才から22才まで監禁され最悪な人生を過ごすサチ。 やっとの思いで帰宅できた生家には自分の居場所などなく、母親にも腫れ物扱いされる。 みんな、うらやましがられる自分でいたい。 "かわいそう"になんか落ちとうない。 狭いコミュニティの世界で除け者にならないよう、正しいことを考えるのをやめた人たち。 無知無学、共感能力の低さ、想像力の乏しさ… ↓ 昭和の昔話や田舎町の話ではなく、身近な現代社会の話でないだろうか? 自分も視野が狭くならないようにしたい。
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かなり政情が揺れる日本でも、世界的に見ればまだまだ安全で安心の安定的な国だと思われている。 そして、それは多くの国民が享受している事でもあるだろう。 物価高に加え、上がるばかりの税金に苦しみはしても、未だ外食に行けば混み合っていたり、子供の習いごとをいくつもしたり、ペットに保険や...
かなり政情が揺れる日本でも、世界的に見ればまだまだ安全で安心の安定的な国だと思われている。 そして、それは多くの国民が享受している事でもあるだろう。 物価高に加え、上がるばかりの税金に苦しみはしても、未だ外食に行けば混み合っていたり、子供の習いごとをいくつもしたり、ペットに保険やエステなど手を掛ける人も少なくないのがその証拠。 とはいえ、苦しい生活というのは実際に存在していて、生まれた場所によって人生を左右される事があるのも事実。 『悲鳴』には、櫛木さんの『少年籠城』のような、息苦しさと怖さを感じた。 結局は、その苦しい場所から逃げ出すしか方法がないんだな、というラストに、救われたような、いや、心の重しは取れていないような…。
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男尊女卑、家父長制…古い体質が支配する馬伏町という狭い共同体が舞台。そんな馬伏町で小学校5年生の少女サチが誘拐される。 サチは11年後に救出されるのだが、救出されてからも地獄は続く。親は世間体を気にしてサチを持て余し、町の人たちは‘’傷モノ‘’の少女を汚いもののように扱う。田舎町...
男尊女卑、家父長制…古い体質が支配する馬伏町という狭い共同体が舞台。そんな馬伏町で小学校5年生の少女サチが誘拐される。 サチは11年後に救出されるのだが、救出されてからも地獄は続く。親は世間体を気にしてサチを持て余し、町の人たちは‘’傷モノ‘’の少女を汚いもののように扱う。田舎町の価値観は誘拐される前から少しも変わっていなかったのだ。 サチの「悲鳴」を誰も聞こうとはしない。 誘拐される前からサチはずっと悲鳴を上げていた。容姿の美しさしか周りの大人たちは見ず、女が知識を付け賢くなることを嫌う。早く結婚し、家庭に入ってからは夫に尽くし子どもを産むことだけを期待される社会…そんな社会に迎合することを拒もうとすれば、周囲から叱責される。 程度の差こそあれそんな現実が、今も日本のどこかにあって、少女たちは悲鳴を上げているのだと思うと辛い。 今作で描かれる犯罪は、ジェンダーバイアスの強い土地柄も強く影響している。 犯罪は社会と切り離すことはできない。社会で育った人は、その社会の価値観を内面化する。 男尊女卑の激しい社会では女性の人権はなく、物のように扱われる。社会が人をつくるのだから、社会の常識や価値観を変えていかなければ、女性や弱い立場の人を狙った犯罪はなかなかなくならないのだろうと思う。
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