悲鳴 の商品レビュー
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とにかく胸糞が悪くなった。(それが好きで読んでるんだけど)実際にあった事件が元となってるとココの感想に書いてあったので調べました。とても衝撃でした。 帰ってきてくれたサチに冷たい家族や親戚、町の人々に違和感。結局みんな他人事なのかと。親であっても。仮に自分の周りに同じことが起きたとして、「早く帰ってきてくれたら良いね。」と思うけど帰った後のその後の人生なんて考えたこともなくて、できるだけケアしていきたいと思うだろうけど確かに本人はずっと腫れ物のように扱われるのって辛いかもしれない。帰ってももう自分の居場所はないかもしれないと思ってしまったサチの気持ちにも少しだけ同意。どうしたら良いのかわからない。 解説にも書いてあったけど、描かれている田舎の古い風習みたいなのは正直私は生まれてから出会ったこともない。田舎出身だけど。どんどんなくなっていって、こうやって本にだけ残っていくのだろうなと。そうだったら良いなと思う。登場してきた町の人みんなネットにあげたら炎上しそうな人間ばかりでした。令和は嫌な時代になったって良く聞くし私もそう思っていたけど、こんな頃から比べたら日本はずっと平等で自由になってきているはず。
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少女を誘拐し監禁、それだけでも読んでいて辛くなるのにその後に待ち受ける女性へのバッシングや差別にやりきれない思いが溢れました。印象的なのは町の因習や風土で、狭いコミュニティの中でずっと続いてきた悪習が最悪な事件を引き起こしたと思いました。男性も女性も型に嵌められた生き方しかできず...
少女を誘拐し監禁、それだけでも読んでいて辛くなるのにその後に待ち受ける女性へのバッシングや差別にやりきれない思いが溢れました。印象的なのは町の因習や風土で、狭いコミュニティの中でずっと続いてきた悪習が最悪な事件を引き起こしたと思いました。男性も女性も型に嵌められた生き方しかできず、それをおかしいとも思わない。唯一の救いは世代交代や外部からの目線で少しずつ若い世代の価値観が変わっていったこと。この小説に書かれている社会は現実の世界にもありそうでゾッとしました。
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2025/08/11 同じ被害者でもサチとサチの娘では扱いが違う。立ち直れと言われるのは、どんなにつらかったか。11年もの長期間、外と接触できず望んだわけではないのに引きこもっていた、今さら…と絶望したくなるよね。サチと母親、サチと娘、美幸と義母、などいびつな母子関係に加えて、田舎の濃すぎる付き合い、激しい男尊女卑、とどうしたらいいか分からなくなる。 読んでいると美幸はとにかく早く逃げて、と思うが当事者では何をしていいか分からないかもしれない。ひたすら残酷な話。
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『社会病理』と解説にあった。個人的に著者の本の魅力は、グロテスクな描写と胸糞の悪さだったが、ここにさらに追加された。『エコーチェンバー』なんてすぐに検索して納得したもんだ。推理小説を立て続けに読んだが、クライムノベルはやはり刺激的だ。
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一家の長男だけがすべてで、 その嫁も、次男以降の男兄弟も一人前と扱わない町、馬伏町。 閉鎖的、時代遅れなこの町の、胸糞悪いお話。 櫛木理宇さん作だから、すいすい読めるんだなこれが。 映像化してもいいんじゃない? あと、関係ないけど心身ともに疲れたら 來羅に飲みに行ってママさ...
一家の長男だけがすべてで、 その嫁も、次男以降の男兄弟も一人前と扱わない町、馬伏町。 閉鎖的、時代遅れなこの町の、胸糞悪いお話。 櫛木理宇さん作だから、すいすい読めるんだなこれが。 映像化してもいいんじゃない? あと、関係ないけど心身ともに疲れたら 來羅に飲みに行ってママさんに癒されたいです…!
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櫛木理宇の文庫書下ろし長編ミステリ。 田舎町に住む11歳の美少女「サチ」が誘拐され、11年間監禁されたうえ妊娠出産したのち救出されたが、戻った町で偏見と好奇の目にさらされ、さらに「これが本当のサチ」と人骨まで届けられて・・・といういかにも櫛木理宇な世界観で物語が進んでいきます。 ...
櫛木理宇の文庫書下ろし長編ミステリ。 田舎町に住む11歳の美少女「サチ」が誘拐され、11年間監禁されたうえ妊娠出産したのち救出されたが、戻った町で偏見と好奇の目にさらされ、さらに「これが本当のサチ」と人骨まで届けられて・・・といういかにも櫛木理宇な世界観で物語が進んでいきます。 最後まで読んで・・・櫛木理宇には珍しく読後感の良い、腑に落ちる結末でした(^_^;) 興味のある方は是非っ!
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2025.09.23 令和の今から見るとはるか昔の社会にみえる「馬伏」のまちを舞台に起こる悲劇。一気読みさせる展開。子ども、女性が拐われる、あるいは拐われたあとのふるまいなど、そうかもしれないと読ませる筆致の確かさを評価したい。人がいなくなっても見つからないのは、都会よりも田舎の...
2025.09.23 令和の今から見るとはるか昔の社会にみえる「馬伏」のまちを舞台に起こる悲劇。一気読みさせる展開。子ども、女性が拐われる、あるいは拐われたあとのふるまいなど、そうかもしれないと読ませる筆致の確かさを評価したい。人がいなくなっても見つからないのは、都会よりも田舎のほうが今の時代は簡単なような気にもさせられた。
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九州出身で知った土地の名前がズラズラ出てくる。 親しみがある内容だった。 「九州男児」と言葉が流行していると同時に 九州の家庭の中でも亭主関白である家庭は比較的多いと思う。これは社会人になって、様々な出身地の人と交流をしてきて、強く感じることだ。 人間、ないものねだりであるた...
九州出身で知った土地の名前がズラズラ出てくる。 親しみがある内容だった。 「九州男児」と言葉が流行していると同時に 九州の家庭の中でも亭主関白である家庭は比較的多いと思う。これは社会人になって、様々な出身地の人と交流をしてきて、強く感じることだ。 人間、ないものねだりであるため、強い男や人間に憧れ、近くにいないと良く見えてしまうものだ。 だが、この物語の代表土地となっている馬伏の人間たちは他人事とはいえど、なにかがおかしい。と思わせるようなしきたりや風潮があるのだった。 女は仕事をしなくて当たり前。 男は女より強くて当たり前。 馬伏の男は馬伏に尽くさなければいけない。 よそ者を嫌う。 穢れた人間は一生穢れたまま。 それがたとえ被害者であっても。。 第2章ではサチが馬伏の人間に 監禁され、犯され、孕まされ、 人間の所業ではないような過酷なシーンが描かれる。 なんとも苦痛で、可哀想であり、 同情せずにはいられないに加え、ありえない、 自分だったら。。と恐ろしく思うシチュエーションが多々描かれる。
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SNSで何度も語られる「さす九」についてついつい読んでしまう人は虜になるような本だった。 九州出身じゃないにせよ、大学院に進学する際に遠い親戚から「女が勉強してどうする」と面と向かって言われた経験がある私、こういうの絶対他人事に思えないんだよ。 多くの人にとってまったくのフィクションになりえないシーンがたくさんあるのではないか。 女性であれば、男のためにおさんどんにかけつけ、義父母・夫・息子すべての機嫌を取り境界線を侵害されそれでも自分を後回しにしなくてはならないこと、ハラスメントはいなしてこそ一人前と被害を矮小化されること、進路を限定されること、配偶者の有無や配偶者のステータスが自分の価値として比較されること、その他諸々いずれかはリアルに体験していて、読みながら顔をしかめたのではないか。 男性にとっても、年配か若輩か、長男か否か、稼ぎの多寡それぞれで自分の価値を規定され比較されること、「ふうの悪い」ことはできないこと、でも馬伏以外の価値に今更晒され生きていくことはできないこと、などに心が暗くなる気持ちがするのかもしれない。 生きていくほどに「自分がされてこなかったことを他の人にしてあげることは死ぬほど難しい」と思う。 女も男も子供も年寄りもみんな苦しくて、でもそれを変えることはみんな諦めていて、それが結果的に差別構造を温存すること。 ど田舎の古臭い因習だと全然片付けられない。フィクションでもなんでも無いと思った。 差別構造のなかにあって、構造を変える力はなくても構造を見据える目線を持っていた点で來羅のママは馬伏のヒーローだと思った。馬伏の女たちも多分そう感じるところはあったんじゃないか。味方にはなれないけど。 タカユキ、香子、サチは東京で個人になり、修一は馬伏の男になったけど仕事も家庭も順調でヒエラルキーの上位になるだろう。博人は片目で免許も取れず仕事で虐げられていることはやがて馬伏に露呈するだろう。年をとっても稼ぎは増えないだろう。結婚は難しくなるだろう。長男なのに。でも馬伏から出られなかったんだよな。長男だから。むちゃな運転でもしないとやりきれなかっただろう。いなくなっちまいたかったよな。 何となく収まるところに収まったような最後だったけど、博人の行く末には涙が出そうになった。 訂正:修一の職業を勘違いしてたので一部修正
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「馬伏町」という土地に暮らす人々の閉鎖的で凝り固まった考え方、男尊女卑やセクハラのリアルさが気持ち悪い。ミステリ要素を楽しむより不快感が勝る。エピローグでの2人の女性の姿が救い。
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