汝、星のごとく の商品レビュー
きゅっと苦しく所々元気を貰い自分の経験と重ねて苦しくなるところもあり。涙がでた。 良い読書時間になった。
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瀬戸内の島を物語の始まりにした小説はとても多い。流れ着いた人、逃げたいと願いながら流されるしかない人。一見弱いようで実はとても強い。夢とは、希望とは?今を抜け出すためにそれはあるのか、それを心に置かないと生きていけないのだろうか。
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終始重い雰囲気で、人に刺さる言葉も多く辛い本でした。 本の構成自体テンポも早く非常に読みやすい。想像以上に話は展開されるもののとそれを思わせない情景描写。 登場人物のセリフや行動になんとも唸らせられるような物も多く、良い本と出会えたと思います。 ただ、、ただ、、ほんとうに内容は自分と合わなかった。 こうならざるを得ない結末といえど、最後は明るく終わってほしかった。 なまじ読みやすく他の本に比べて読み終わるのがはやい。それは二人の登場人物の人生を一気に体感することでもあり没入感はすごかったです。 結果、読み終わったあとのなんとも言えない悲しさや虚しさは強く出てしまいました。 なんとも情緒をぐちゃぐちゃにされた本でした。 ありがとうございます。
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とんでもない小説を読んでしまった。。。 余韻がすごい。 ドキドキして眠れない。 ミステリー以外に一気読みした小説は初めてかもしれない。 切なすぎて美しくて儚くて、もう胸いっぱいです。
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ずっと待ってた文庫化。待たないで単行本買えばよかった。久しぶりに本を読んで涙が堪えられなかった。 東京に行ってから変わる櫂の姿にイライラした。男女という括りで見るのはどうかとは思うけど、男性心理の描き方としては正確だと思う。櫂と同じように東京で成功したら、多くの男性はこうなるだろう。 それで言うと長年櫂のことを忘れられなかった暁海は一般的な女性心理とは異なるのかな。 普通とか一般的なんてどうでもいいんだけどね。 暁海と櫂は背負ってきたものが重すぎるけれど、苦しんで、倒れて、立ち上がって、また苦しんで這いつくばって成長していく2人。 2人が結ばれるにはあまりにも遠回りをしすぎて、最後に一緒にいた時間はあまりにも短く儚い。それでも2人は満足なのかもしれない。 あぁ、何より2人が出逢えたことが奇跡。櫂にとっては暁海は生きる希望であり、人生そのものなのかもしれない。 最後に花火をこんなふうに出すなんてズルすぎる。その後タイトル回収してしっかり涙して余韻に浸ってる。 凪良さんの作品は「普通」にとらわれないことの大切さを教えてくれる。自分の道は自分で切り拓く。その道が間違っているかどうかは、自分次第。人生は自分のもの。ひとつひとつの選択を大事にしたい。 広瀬すずと横浜流星で映画化か。自分のイメージはちょっと違うし、横浜流星がDV彼氏と化さないか心配(流浪の月のペアすぎるのよ)。そこまでやるなら北原先生は松坂桃李にしてください、、、
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前回読んだときは、自分の恋愛価値観との違いが受け入れられず、どちらかと言えば否定的な感想でした。 しかし、昨年『星を編む』を読んだことで、もう一度『汝、星がごとく』を読み直したいという思いが芽生え、今回再読しました。 暁海と櫂に起きるさまざまな出来事が、それぞれの視点から描かれ...
前回読んだときは、自分の恋愛価値観との違いが受け入れられず、どちらかと言えば否定的な感想でした。 しかし、昨年『星を編む』を読んだことで、もう一度『汝、星がごとく』を読み直したいという思いが芽生え、今回再読しました。 暁海と櫂に起きるさまざまな出来事が、それぞれの視点から描かれており、 お互いに強く惹かれ合いながらも、すれ違っていく二人の姿に、今回はとても切ない気持ちになりました。 自分自身を確立していく10代から20代という大切な時期を、親の都合によって搾取される子どもたち。 いずれ親は先にいなくなるのに、人生にとって最も重要な時期を失ってしまった子どもたちは、自分の人生を歩むことが困難になります。 青春は、二度と戻ってこないのだという重さを強く感じました。 大切なものを諦めて誰かのために尽くす姿勢は、必ずしも優しさとは言えません。 それは、「自分の人生を大切にできない弱さ」であり、 また、選択によって生まれる自己責任からの逃避でもあるのかもしれません。 あなたの人生は、誰かのものではないし、 誰もあなたの人生の責任を取ってはくれない。 「自分の人生は、自分で決める」── その強くて静かなメッセージが、本作には込められていると感じました。
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ほんとうに自分にとって大切なものは自分で選び取らなくてはならない。 苦しくて嫌なのに愛しい、ページを捲る手が止まらず最初から最後まで心を掴まれて苦しかった。 何かを得て何かを失わなければいけないけど 遠回りだと感じたその道で大切な人が笑っていてくれたら、どこかで自分の中で間違ってなかったと感じられたら、 これで良かったとこれから先の人生を肯定できるだろうか やっぱり人生に無駄なことなんて一つもないんだよなあ。
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2025.07.24 最初から引き込まれる文章だと思った。 「ついに文庫化」のポップと一緒に色々な書店で目立つところに平積みされており、初めての作家さんだったが迷わず手に取った。 登場人物の感情の機微を、繊細に丁寧に、これでもかと深掘りして描かれており、感情移入せずにはいられない。 冒頭から不穏な雰囲気を纏った始まりで、嵐の前の静けさを思わせるプロローグ。 同じ文章であるはずなのに受け止め方が180度変わるエピローグの対比は見事。エピローグは言うなれば嵐がさった後の凪いだ海のよう。 お互い重たい錘を持って産まれたと感じる暁海と櫂。 狭い島の中では共感し合い、お互いがお互いを支え合う関係であったはずが、 一歩島を出た瞬間、成功を手にした櫂はまるで別人のようになってしまう。 すれ違う2人。素直になれない2人の関係にやきもきしながら、どうプロローグの内容に終着するのだろうかと気になり気づいたら読み終えていた。 暁海の「私は愛する男のために人生を誤りたい」 という一文に、これまで「母親」や「世間の狭い島という世界」などの何重にも絡みついた呪縛から解き放たれて、初めて自分が手に入れたいものを、今の現状を捨てでも手に入れようとした、瞳子さんのあの一言を実現できた瞬間はホッとしたと同時に読み手も報われた気分になれた。 でもきっとそれは北原先生という、基盤があったからだろうなと思う。 「離れていても北原先生の言葉は、ほんのりと足下を照らす灯火のように私を導いている。」 この暁海の心情からも、北原先生の陰ながらの支えが、今にも崩れ落ちそうな櫂を支える暁海を支えていたのだと思う。 ▶︎お気に入りの文章 ・視界を滑っていくだけで頭に入ってこない 集中できてないときの読書はこんな感じだなと共感できたのでお気に入り。何度読んでも頭の中で文字が滑っていく感じ。表現が的確でお気に入り。 ・櫂のお母さんのようなわかりやすい女らしさではなく、植物に水やりをする姿は健やかな若木のようだ 瞳子さんの人柄を表すのに、ぴったりの表現で、姿を見たことないのにベリーショートでコットンワンピースの丁寧な暮らしをする彼女の姿が鮮明に思い描けた。 ・それは美人とか、いろっぽいとか、若さとかよりもずっと長持ちする上等な品物のようだ 美人や色っぽい、若さの対義語ではないのに、なぜかしっくり瞳子さんの人柄の輪郭をくっきりさせる文章でなんだか好き。 ・どこまで続くかわからない。けど続くところまで共に歩きたい。互いの目に同じ星が映っているうちは。 なんの星かは明言してないけど、 この作品に何度も出てくる「夕星」のことなのだろうなと想像させるところがなんだかいいな、と思えた。
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プロローグ読んだ時は、ん?なに?どういう状況?となりましたが、エピローグで全てが繋がり、あぁそういう事かと思わされました。 多様性の時代、本人達がよければ こういう形もありだと考えさせられた一冊でした!
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ただただ、しんどい話だった。 きっともうすぐ救いがあるはず、とページをめくっても、気持ちが沈んでいくばかりでした。 田舎の閉塞感だったり、昔ながらの男尊女卑社会の中で、捨てられ壊れかけた母親を支えて必死にもがきながら生きる暁美が辛すぎて。必死に耐え続けた10年以上の時間は、彼女の視野を極限まで狭めていったと思う。島じゃなければ、もっと広い世界で色んな人に会えていたなら、好きな幸せを選んで掴むことができただろうに。 一方、櫂は成功してからがとにかく酷くて、理解できる部分が何一つなく同情もできず。母親に泣かれるのに一番弱い、とあったけど結局は向き合う事から逃げ続けただけでは。 成功に酔ってその場の感情や雰囲気でお金を使っては女を取っ替え引っ替え、好きなように遊んで、面倒ごとからはお金で逃げて、酒で現実逃避。暁美を『愛しい』なんて言葉で括って女遊びとは別物のように語っていたけど『可哀想で優越感を感じる存在』の間違いだろうと。暁美が浮気に気付いていることも知っていた。彼女を退屈でつまらないと感じていたのに、相手の気持ちも測らずに急に結婚に思い至る。本命だと別枠にしていればどう扱ってもいいと思える、身勝手すぎる傲慢さ。もしそのまま結婚していても変われずに上手くいかないのが目に見えているし、作家人生としての転落がなかったら暁美の事を振り返る事もなかったんじゃないかと思う。過去の淡い思い出として振り返るだけで特段反省もしていない。暁美に対しては結局最期まで一度もありがとうの言葉すらなくて、人としての魅力を感じられなかった。 依存体質でネグレクト、息子に対しての愛情はおろかATMのように扱い、晩年すら身体を気遣う素振りもない差し入れを寄越すような母親も含め、終始身勝手すぎるこの親子の描写がきつかった。 言い分は瞳子さんが述べていたけど、恋人を作って出ていった当の暁美の父親が見て見ぬ振りで何もしなすぎてどうなのかとも思ったし… 尚人に関してはもう救いがなさすぎて、物語に存在自体を消費された感が… 人生における取捨選択だったり、愛の形は人それぞれで普遍的なものであるというメッセージや結末も分かるけれど、学生時代の最初の恋に囚われ特殊な環境下で次に進めなかった暁美にはもっと他の幸せの形があったんじゃないかと思えてならないし、先生との風変わりだけど穏やかな結婚生活が唯一いいなと思えていただけに、終盤はなんだかやるせなかった。 本人の気持ちは違えど、結局は人に尽くして自分をすり減らすことばかりしていた彼女が、その後の自分の人生を幸せに生きられることを願う。
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