月とアマリリス の商品レビュー
感想を一言で言うならば辛い。人に愛されたいという自然の欲求が人間関係に歪みが。主人公記者のみちるの実家の近所に住んでいる井口という男性ジェンダーが良い聞き手になっていて物語を進める上でのキーマンとなっていたと思う。最後みちるが友になろうとして、刑務所にいる美散との面会シーンが会話...
感想を一言で言うならば辛い。人に愛されたいという自然の欲求が人間関係に歪みが。主人公記者のみちるの実家の近所に住んでいる井口という男性ジェンダーが良い聞き手になっていて物語を進める上でのキーマンとなっていたと思う。最後みちるが友になろうとして、刑務所にいる美散との面会シーンが会話のラリー、アマリリス会を思わせるところ、徐々に美散が心を開いてくれるところがとても素敵だなと思った。美散のおじいさん大浦の描写が個人的に好き。美散には懲役を終えて愛してくれる友と親族に迎えられ幸せになってほしい。
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家族に愛されず愛されたかった 新聞記者のみちるは自身が追いかけ記事にした私立中学いじめ自殺問題で被害者であり加害者だった男子児童が自殺を起こしたことを知り仕事を辞め実家の九州に戻る そして山で白骨化となり発見された1人の高齢女性 記事にしてほしいと勝手の恋人で上司に声をかけ...
家族に愛されず愛されたかった 新聞記者のみちるは自身が追いかけ記事にした私立中学いじめ自殺問題で被害者であり加害者だった男子児童が自殺を起こしたことを知り仕事を辞め実家の九州に戻る そして山で白骨化となり発見された1人の高齢女性 記事にしてほしいと勝手の恋人で上司に声をかけられ記事にすることに 事件を追うごとに2人の女性が関わっていて大元に1人の男性がいた そしてその2人に関わりがそれぞれにあり自身もまた関わりがあった 無意識に知らないうちに人のことを傷つけていた
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「ひとはひとで歪むんよ。その歪みをどこまで拒めるかが、自分自身の力。」 でも、ひとは一人ではどうしようも無いくらい無力。誰かに愛され、支えられ、生きていく。でもその愛が、偽りの愛だったら…?
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- ネタバレ
※このレビューにはネタバレを含みます
それぞれの人を想う気持ちが伝わってきて、読み進めるのが辛くなるところも多かった。 特に自分が本当に苦しい時に、自分よりも相手を思いやることができる、自分を犠牲にしても誰かを守ることができる勇気には感動した。 茂美や美散は苦しみを誰よりも味わってきたからこそ、そういうことが出来るんだと感じて切ない気持ちにもなった。 ほぼ全ての登場人物に悲しみやつらい過去があって、それをみんな乗り越えようとしていた。 三人で子守唄を歌う場面で、なんだか救われたような気持ちになって泣いた。 何があったとか、事情を話さずとも、無条件で悲しみやつらさを受け止めてもらえる、そんな場所が茂美や美散のずっと求めていたものなんじゃないかと思う。 子守唄を通じて、三人の心が通じ合えたことが本当に良かった。
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図書館の本109 真相が明らかになるほど切なくなる本だった。 サスペンス・ミステリー系は客観的に見た物語が進んでいくようなイメージだが、町田そのこさんのサスペンスは、登場人物の感情や背景にもっと寄り添って描かれているように感じた。だから余計に切なく感じるのだなと思った。
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「共依存」をはじめ、自分への過大評価による苦しみ、同性愛者の葛藤、子供の頃に抱いていた友人グループ内での違和感など、繊細かつ複雑でありながら誰もがほんの少しは経験したことがありそうな感情の描写が本当に上手い作家さんだと思います。 加えて内容がミステリーだったのもあり、夢中で一気読...
「共依存」をはじめ、自分への過大評価による苦しみ、同性愛者の葛藤、子供の頃に抱いていた友人グループ内での違和感など、繊細かつ複雑でありながら誰もがほんの少しは経験したことがありそうな感情の描写が本当に上手い作家さんだと思います。 加えて内容がミステリーだったのもあり、夢中で一気読みしました。 個人的には「52ヘルツー」や「夜明けのはざま」等より登場人物に親近感が持てて好きでした。
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ただ、愛されたかった。 幼少期に親からの愛情を受け取れず、恋愛に依存し、悪い男に捕まり落ちていく。 事件が解明されていくほど、苦しくなっていく。 「人は人で歪む」その最初の歪みを親が作り、愛情の受け方も渡し方も歪んでしまう。 ただ、その歪みをまっすぐにしてくれるのもまた、人である...
ただ、愛されたかった。 幼少期に親からの愛情を受け取れず、恋愛に依存し、悪い男に捕まり落ちていく。 事件が解明されていくほど、苦しくなっていく。 「人は人で歪む」その最初の歪みを親が作り、愛情の受け方も渡し方も歪んでしまう。 ただ、その歪みをまっすぐにしてくれるのもまた、人である。 そして、自分が受けた傷には過剰に敏感だけど、自分も誰かを傷付けて生きてきたんだろうなと改めて思う。気をつけなければ。
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読み進めるうちに、物語の背景や登場人物同士の関わりが少しずつつながっていく。その積み重ねが鮮やかで、ただ事実だけを切り取れば非情で無惨としか言いようのない出来事にも、そこに至る必然や経緯があるのだと気づかされる。そうした過程を丁寧に描いてくれる点が、町田さんの魅力だと感じる。さら...
読み進めるうちに、物語の背景や登場人物同士の関わりが少しずつつながっていく。その積み重ねが鮮やかで、ただ事実だけを切り取れば非情で無惨としか言いようのない出来事にも、そこに至る必然や経緯があるのだと気づかされる。そうした過程を丁寧に描いてくれる点が、町田さんの魅力だと感じる。さらに、家族のあり方や、地域・近所との関わり方についても考えさせられる部分があり、単なる物語を超えて、問題提起をしてくれているように思う。
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事件を追う記者の目線で描かれたサスペンス。 表面だけさらえば、なんてひどい事件だ!ってただ話題に群がるだけで終わってしまうけど、 そうなってしまった環境、生き方を知っていくことで全く違う捉え方ができるようになる。 登場人物の内面を丁寧に描かれる町田さんの作品は、その物語の深部まで...
事件を追う記者の目線で描かれたサスペンス。 表面だけさらえば、なんてひどい事件だ!ってただ話題に群がるだけで終わってしまうけど、 そうなってしまった環境、生き方を知っていくことで全く違う捉え方ができるようになる。 登場人物の内面を丁寧に描かれる町田さんの作品は、その物語の深部まで一緒に連れていってもらえる感覚がある。 書くことに悩みながらも細かく取材を続け、人に寄り添おうとするみちるは応援したくなった!サスペンスはそんなに積極的には読まないけど、辛い悲しみの中にも小さな希望や幸せがあったり、町田さんの作品の好きなところがしっかり詰まっていた。
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町田そのこさん初のサスペンス作品。 起こる事件が悲しい。 男は完全にクズだけど、そこに巻き込まれて逃げ出せなくなっていく女性たちが哀しくて辛い。 サスペンス部分はかなり都合良く感じるところもあったけど、人間ドラマとしては十分楽しめました。 続きが気になって、あっというまに読...
町田そのこさん初のサスペンス作品。 起こる事件が悲しい。 男は完全にクズだけど、そこに巻き込まれて逃げ出せなくなっていく女性たちが哀しくて辛い。 サスペンス部分はかなり都合良く感じるところもあったけど、人間ドラマとしては十分楽しめました。 続きが気になって、あっというまに読了しちゃいました。
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