いつか月夜 の商品レビュー
深く無い関係の人達と一緒夜に散歩をしていて、久しぶりに実家に帰っただけの話です。 しかしながら、内容はとても濃厚で、人として成長する過程での確実な一歩を踏み出すまさにその瞬間が描かれていて読み応えがありました。 寺地先生は最近、好き嫌いが分かれる作品を描かれる様になってきたと思わ...
深く無い関係の人達と一緒夜に散歩をしていて、久しぶりに実家に帰っただけの話です。 しかしながら、内容はとても濃厚で、人として成長する過程での確実な一歩を踏み出すまさにその瞬間が描かれていて読み応えがありました。 寺地先生は最近、好き嫌いが分かれる作品を描かれる様になってきたと思われますが、作品が「変化」ではなく「進化」してきているのではないかと感じます。 今作も含めて作品自体、深みや厚みが増してきていて本の厚さの割に読み応えがあります。 次回作が待ち遠しい作家さんのひとりです。
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「いつも月夜と米の飯」という諺があってその意味は何不自由のない気楽な生活。表題の「いつも」ではなく「いつか」に、ちょっとした生きづらさが積もっていく主人公たちの姿が見える。譲れないもの、譲れない考え、それぞれがそれを大事にしたいと「善き人生」を進んでいく。それぞれの道へ分かれてい...
「いつも月夜と米の飯」という諺があってその意味は何不自由のない気楽な生活。表題の「いつも」ではなく「いつか」に、ちょっとした生きづらさが積もっていく主人公たちの姿が見える。譲れないもの、譲れない考え、それぞれがそれを大事にしたいと「善き人生」を進んでいく。それぞれの道へ分かれていく。寺地さんらしい作品。
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月夜をゆっくりお散歩するように 静かだけど景色は確実に変わってるうちに しっとりと終わった。 変わらないものはないんだよなって 再確認した感じ。 お母さん、好きだなぁ。 唯一無二の愛を私も求めてしまうなぁ。 なんだかずーっと静かな月夜だった。
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自分の寂しさや苦しみは自分自身で解決するしかない。知人や身内がどうこう出来るものではないが、夜の散歩を通じて知り合った個々のモヤモヤした気持ちを整理していく様は何だか心地良かったです。
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レビュー消えたよ。まったく~~ ザザザ~っと、もう一度。 實成の不安感「モヤヤン」は、夜の街を散歩するようになると 陰を潜める。 モヤヤンが登場できないほど、散歩仲間のあれこれに関わるからだ。 でも、やがて、解散の日が・・・ それぞれのあたらしい人生へ。 同僚の女性・塩田...
レビュー消えたよ。まったく~~ ザザザ~っと、もう一度。 實成の不安感「モヤヤン」は、夜の街を散歩するようになると 陰を潜める。 モヤヤンが登場できないほど、散歩仲間のあれこれに関わるからだ。 でも、やがて、解散の日が・・・ それぞれのあたらしい人生へ。 同僚の女性・塩田さんが言う。 「實成くんは、私が好きでしょう(恋愛感情ではなく) あまりに年が違いすぎるから、あなたの話を聞いて否定しないから心地よいのよね。 わたしもアナタが素直にいうことを聞いてくれて気持ちよかった」と。 ああ、それってあるかも。 年齢の違う人と話すときの心地よさは、これだったのか~ でも、向き合うべき人ときちんと向き合い、 きちんと話さないとね、と塩田さん。 その通りだよね。うん。 作者・寺地はるなさんは、わたしにとって凪良ゆうグループの作家さん。 昭和の価値観をガッツンガッツンしてくれる。 ただ、寺地さんは、凪良さんほど、えぐってこないから、 読んでいて辛くないのよね。
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寺地はるなさんの前作「こまどりたちが歌うなら」に、話合いができる人ならとっくに話合いできてる…というニュアンスのセリフがあった。 そこにものすごく共感して、私の中で何かが吹っ切れたのだが、この本はそれを補完してくれた感じ。 「言葉は通じるのに話しても意思の疎通ができない、そもそ...
寺地はるなさんの前作「こまどりたちが歌うなら」に、話合いができる人ならとっくに話合いできてる…というニュアンスのセリフがあった。 そこにものすごく共感して、私の中で何かが吹っ切れたのだが、この本はそれを補完してくれた感じ。 「言葉は通じるのに話しても意思の疎通ができない、そもそも相手がこちらの話に応じる気がない」 「そういった人間を上司や親などに持つと、行き着く先は地獄だ。」 やはり…寺地さんも話合いでなんでも解決できると思い込んでいる人種に苦しめられたのだろう。 それでも、どうにかその環境の中でどうにか生き延びたり、そこから脱出して人は生きていく。 熊も伊吹さんも、實成や塩田がただ寄り添っていてくれることに救われて、自分で苦しい環境から抜け出すことができたのかもしれない。 余計なことは言わず、ただ傍に寄り添うことは、案外難しい。 でも、考えてみれば私の周りにもそんな人がいてくれている。ありがたいことだ。 話合いで解決できない難しい環境そのものは変えられないけど、傍で寄り添ってくれている人に感謝しつつ、私は私の人生を歩いて行こう… またもや、寺地さんの暖かさに癒される秋の朝だった。 いつも月夜でなくても、いつか月夜であれば… それで十分だ。
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久しぶりにいい話を読んだ気がした 出てくる人に嫌いな人がいない ゆっくり歩いていくように話が進む 人が集まり離れていく 解散の仕方もよかった
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歩くの好きだけど夜の散歩を一人でするのは怖いから私も仲間に入れて欲しいなと思いながら読み進めた。 實成と伊吹さんが散歩中に見つけた「みけねこ洋菓子店」がとても魅力的だった。 みんなそれぞれの生き方があって素敵だなと思った。 最後が個人的には凄く良かった。
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- ネタバレ
※このレビューにはネタバレを含みます
大学生のときバイト先の数人で夜に歩け歩け隊を結成したときのことを思い出しました。自然と人が集まって、楽しい時間で、それでもそれぞれの大事なことを優先するようになり自然と解散する、といった経験が過去にあったのですごく共感しながら読みました。 私は一度知り合いより一歩踏み込んだ関係になったあとに離れることがとても名残惜しいし寂しいと感じる性格なのですが、塩田さんがミナリにいった別々に歩く理由もすごくハッとするものがありました。甘えないを選んだ塩田さんもまた年上のプライドがあったのかな.... 伊吹さんが激しめの恋愛が好きなところも意外。松江さんだいすきだったので早くケガが治ってパートナーの方と穏やかに月夜の散歩を楽しんで欲しいです。 この先何度も読む作品になった気がします。、
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「いつも月夜なんてありえないけど、月夜じゃなくても歩けるんだよ。わたしもあなたも。他の人たちも、みんな」 月が好きで夜が好きで、夜に歩くという衝動と似たものが私の心にもあるから。あと表紙に惹かれて。そんな感じで手に取った本。 寺地はるなさんの本が初めてなのでこれは予測も含んだ...
「いつも月夜なんてありえないけど、月夜じゃなくても歩けるんだよ。わたしもあなたも。他の人たちも、みんな」 月が好きで夜が好きで、夜に歩くという衝動と似たものが私の心にもあるから。あと表紙に惹かれて。そんな感じで手に取った本。 寺地はるなさんの本が初めてなのでこれは予測も含んだ感想ですが、この本は寺地はるなさんの世の中に対する願いや祈りや反抗心や愛おしく想う心が詰め込まれた本だったな……という印象でとても好きだった。多分他の本でこれをやろうとするととっちらかりそうなのに、實成という青年の一貫とした在り方でそれが成り立っている。 作中、「いつも月夜に米の飯」ということわざが出てくる。何不自由なく満足である理想の生活という意味で、主人公は、"友人の奥本くんは「いつも月夜」みたいな生活を送るのだろうな"と考える。しかし奥本くんは決して「いつも月夜」ではなく、悩みという暗闇の中で今でも苦しんでいることを知る。 いつも月夜だなんてそうそう上手くはいかない。月が雲に隠されてしまうことだって、自分が月の光を見つけられない時だって、影に隠れたい時だってある。それでも私たちは歩くことができるし進むことができる。他の誰かや物が光になって道を照らしてくれることだってある。それでもやはりあなたの歩く道が月夜でありますように。いつも月夜ではないけれど、それでもあなたのそばに光があるように、歩いて行けるように、どうか。この祈りが込められた小説のタイトルが『いつか月夜』なのうますぎ。 夜に歩きたくなった。月夜ではなくて、周りが暗いと感じても、きっとこの本が私の光になってくれる。
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