いつか月夜 の商品レビュー
単行本の帯に「寺地さんの作品の中で、一番好きです 原田ひ香」とあります。 同感です。 私自身にとっても、大切な作品となりました。 人と比べてしまったり、無理して合わせてしまったり。 無理して笑おうとして、幸せでいなくちゃいけないと思い込んだり。 そんな自分を色々な角度からそっ...
単行本の帯に「寺地さんの作品の中で、一番好きです 原田ひ香」とあります。 同感です。 私自身にとっても、大切な作品となりました。 人と比べてしまったり、無理して合わせてしまったり。 無理して笑おうとして、幸せでいなくちゃいけないと思い込んだり。 そんな自分を色々な角度からそっと包み込んでくれる作品でした。 何もずっと幸せでいないといけないわけではない。無理して笑うぐらいなら、泣いていい。 そして自分自身だけでなく、大切な人にも、幸せでいてほしいという願望を押し付けてはならない。 ひとりひとり、それぞれ自分の足で歩む人生。 その歩みが交わる人生。 温かくて優しい気持ちになれます。 「いつも」ではなく「いつか」、のタイトルがまたいいです。
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作中のみけねこ洋菓子店に行ってみたい。塩田さんの、慣れる必要のないものには慣れてはいけない、という態度が好き。モヤヤンとの付き合いが話の軸になるのかな、と読み始める前は思ったけど違った。
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会社員の實成は、父を亡くした後、得体のしれない不安に取り憑かれるようになる。 モヤヤンと呼んでいるそいつを遠ざける為に夜道を散歩するようになった。 そんなある夜、いつものように散歩していると会社の同僚の塩田さんが、中学生くらいの女子と歩いているのに出くわす。 やがて深夜に散歩する...
会社員の實成は、父を亡くした後、得体のしれない不安に取り憑かれるようになる。 モヤヤンと呼んでいるそいつを遠ざける為に夜道を散歩するようになった。 そんなある夜、いつものように散歩していると会社の同僚の塩田さんが、中学生くらいの女子と歩いているのに出くわす。 やがて深夜に散歩するメンバーが増えて… つかず離れず、無理強いしない会話と距離感。 だけどいつかは自然と離れていく。 その離れ方も嫌な感じではないところが、いい具合なんだろうなと思った。 寂しいけど近すぎて干渉されたり、意見されたりすると逃げたくなるのは嫌。 このくらいがいい。 ゆっくりと正解を見つけ出す…そんな感じがした。 いつのまにか、實成はモヤヤンの存在を感じなくなっていたし、自分の大切なものは何かもわかったようである。
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もっと大切に人生を生きよう。 笑ってごまかしたり、納得いかないことを流したりするのは、その場ではいいかもしれないが、澱となって溜まっていく。
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悩める者同士が集い心落ち着くひと時を過ごす 。 それだけじゃないのがいい。 ただお互いを認め合う一種の馴れ合いのような物語ではなく最終的には自分の決断で人生を進めていくところがとても良いなと思った。 主人公の實成くんがとても良い。 好きになってしまった。
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月夜を散歩して会社の同僚と少女に出会い元カノに出会いして一緒に夜散歩するメンバーが増えていく。歩きながらいろいろなことを考える主人公の気づきの物語。優しさや他人との距離感など主人公の真面目さに惹かれました。
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實成は、とくに夜になると現れる黒い不安のかたまり(もっちゃんがモヤヤンと名付けてくれた)につかまらないようひたすら歩く。そこで同じ会社の塩田さんとその連れの中学生の女の子に会いウォーキング仲間に。さらに元彼女の伊吹さん、伊吹さんのマンションの管理人さんの松江さんとなぜか仲間が増え...
實成は、とくに夜になると現れる黒い不安のかたまり(もっちゃんがモヤヤンと名付けてくれた)につかまらないようひたすら歩く。そこで同じ会社の塩田さんとその連れの中学生の女の子に会いウォーキング仲間に。さらに元彼女の伊吹さん、伊吹さんのマンションの管理人さんの松江さんとなぜか仲間が増えていく。とても居心地のよい関係ができているように見えたがやがて別れがくる。いつも明るい月夜だったら良いけれど、月夜じゃなくても歩けるんだ。みんな自分の道を探して前に進み続ける。私も。
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主人公の實成は父親を亡くしてから得たいのしれない不安「モヤヤン」に取り憑かるるようになった。特に夜にやってくる「モヤヤン」を遠ざける為に何も考えずひたすら夜道歩くことを始めた實成。 ある晩歩いていたら会社の同僚である塩田さんと、娘らしき少女と遭遇。それ以来一緒に夜の散歩をする3...
主人公の實成は父親を亡くしてから得たいのしれない不安「モヤヤン」に取り憑かるるようになった。特に夜にやってくる「モヤヤン」を遠ざける為に何も考えずひたすら夜道歩くことを始めた實成。 ある晩歩いていたら会社の同僚である塩田さんと、娘らしき少女と遭遇。それ以来一緒に夜の散歩をする3人。その後一緒にお散歩する人が増え、まさかまさかの實成の元カノまで一緒になるとは…。 お互い触れてはいけない話には触れず、放ってはおけない事柄には協力する関係性が羨ましい。誰でも聞かれたくないことや、踏み込んで欲しくない事ってありますよね〜?塩田さんがとっても良い人だったな。 それと深夜に営業している「みけねこ洋菓子店」いいですね〜。そんなお店があったら月夜にお散歩するのも良いかも〜。 最近は日の入りも早く、ワンコと夕方お散歩に出るとお月さまが見える日もあります。先日は満月だったので思わず立ち止まって眺めてしまいました。深夜は難しいけど夕方の月夜のお散歩ならこれからチャンスがたくさんありそう。
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不安(モヤヤンと呼んでいる)解消のために始めた一人の夜の散歩。そこに一人、また一人とメンバーが加わっていく。 友達同士でウォーキングをやっている知り合いはいるけど、いわゆる散歩を定期的に誰かと…というのは聞いたことがない。 この本を読んでいると、そういう散歩を誰かとしたくなった。...
不安(モヤヤンと呼んでいる)解消のために始めた一人の夜の散歩。そこに一人、また一人とメンバーが加わっていく。 友達同士でウォーキングをやっている知り合いはいるけど、いわゆる散歩を定期的に誰かと…というのは聞いたことがない。 この本を読んでいると、そういう散歩を誰かとしたくなった。 同じ方向を見てただ歩く、話したいことが浮かんだら話す。昼ではなくて夜だから、より自然にできるのかなと思う。 気がついたらモヤヤンもなくなっていたみたいだし。 そういえばこのモヤヤンっていう言葉、初めに出てきたので重要ワードかと思ったら、それっきり出てこなかったな。
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ゆっくり散歩をするような速さで淡々と物語が進んでいく。 大きな事件が起きるわけじゃないし、とびきりハッピーエンド!というわけでもない。 コンデンスミルク入りのエビマヨと、コンデンスミルク抜きのエビマヨを作り比べてみたり、会社の先輩とピリついたり。そんな日常を繰り返しながらそれぞれ...
ゆっくり散歩をするような速さで淡々と物語が進んでいく。 大きな事件が起きるわけじゃないし、とびきりハッピーエンド!というわけでもない。 コンデンスミルク入りのエビマヨと、コンデンスミルク抜きのエビマヨを作り比べてみたり、会社の先輩とピリついたり。そんな日常を繰り返しながらそれぞれ少しでも明るい方へ行けるように立ち止まって悩み、考える。そしてまた歩き出す。 口に出す前に色んな事を考える、少し繊細すぎるような気もする主人公が、私が普段「ん?」と引っかかりつつ見落としがちなモヤッを言葉にしてくれるので「ああ、そうや、これ嫌やわ」と気付いて目から鱗だった。 寺地はるなさんの作品を読むとそういう事がよくある。 〇冗談だということはわかっている。でもおもしろく ない。無視すればいいのかもしれないがそもそもおもしろくない冗談を耳にすること自体ストレスだ。 〇「気を遣っているんだな」と相手や周囲にはっきりわかるように気を遣う人 あー!あー!わかる、わかる。いる!と胸の仲で何度も頷いた。 〇「わたしなんか、もう何者にもなれないもんね。でもね、何者かにならねばならないというプレッシャーもない。ピアニストになれるわけじゃなし、って母は言ってたけど、じゃあ今のわたしは自分の楽しみのためだけにピアノを習える。それって、意外と悪くないよね。可能性が 少ないって、もう何者にもならなくていいって、自由だね」
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