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いつか月夜 の商品レビュー

3.6

98件のお客様レビュー

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    14

  2. 4つ

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  3. 3つ

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2024/10/13

寺地はるなさんの前作「こまどりたちが歌うなら」に、話合いができる人ならとっくに話合いできてる…というニュアンスのセリフがあった。 そこにものすごく共感して、私の中で何かが吹っ切れたのだが、この本はそれを補完してくれた感じ。 「言葉は通じるのに話しても意思の疎通ができない、そもそ...

寺地はるなさんの前作「こまどりたちが歌うなら」に、話合いができる人ならとっくに話合いできてる…というニュアンスのセリフがあった。 そこにものすごく共感して、私の中で何かが吹っ切れたのだが、この本はそれを補完してくれた感じ。 「言葉は通じるのに話しても意思の疎通ができない、そもそも相手がこちらの話に応じる気がない」 「そういった人間を上司や親などに持つと、行き着く先は地獄だ。」 やはり…寺地さんも話合いでなんでも解決できると思い込んでいる人種に苦しめられたのだろう。 それでも、どうにかその環境の中でどうにか生き延びたり、そこから脱出して人は生きていく。 熊も伊吹さんも、實成や塩田がただ寄り添っていてくれることに救われて、自分で苦しい環境から抜け出すことができたのかもしれない。 余計なことは言わず、ただ傍に寄り添うことは、案外難しい。 でも、考えてみれば私の周りにもそんな人がいてくれている。ありがたいことだ。 話合いで解決できない難しい環境そのものは変えられないけど、傍で寄り添ってくれている人に感謝しつつ、私は私の人生を歩いて行こう… またもや、寺地さんの暖かさに癒される秋の朝だった。 いつも月夜でなくても、いつか月夜であれば… それで十分だ。

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2024/10/12

久しぶりにいい話を読んだ気がした 出てくる人に嫌いな人がいない ゆっくり歩いていくように話が進む 人が集まり離れていく 解散の仕方もよかった

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2024/10/07
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

大学生のときバイト先の数人で夜に歩け歩け隊を結成したときのことを思い出しました。自然と人が集まって、楽しい時間で、それでもそれぞれの大事なことを優先するようになり自然と解散する、といった経験が過去にあったのですごく共感しながら読みました。 私は一度知り合いより一歩踏み込んだ関係になったあとに離れることがとても名残惜しいし寂しいと感じる性格なのですが、塩田さんがミナリにいった別々に歩く理由もすごくハッとするものがありました。甘えないを選んだ塩田さんもまた年上のプライドがあったのかな.... 伊吹さんが激しめの恋愛が好きなところも意外。松江さんだいすきだったので早くケガが治ってパートナーの方と穏やかに月夜の散歩を楽しんで欲しいです。 この先何度も読む作品になった気がします。、

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2024/10/15

「いつも月夜なんてありえないけど、月夜じゃなくても歩けるんだよ。わたしもあなたも。他の人たちも、みんな」 月が好きで夜が好きで、夜に歩くという衝動と似たものが私の心にもあるから。あと表紙に惹かれて。そんな感じで手に取った本。 寺地はるなさんの本が初めてなのでこれは予測も含んだ...

「いつも月夜なんてありえないけど、月夜じゃなくても歩けるんだよ。わたしもあなたも。他の人たちも、みんな」 月が好きで夜が好きで、夜に歩くという衝動と似たものが私の心にもあるから。あと表紙に惹かれて。そんな感じで手に取った本。 寺地はるなさんの本が初めてなのでこれは予測も含んだ感想ですが、この本は寺地はるなさんの世の中に対する願いや祈りや反抗心や愛おしく想う心が詰め込まれた本だったな……という印象でとても好きだった。多分他の本でこれをやろうとするととっちらかりそうなのに、實成という青年の一貫とした在り方でそれが成り立っている。 作中、「いつも月夜に米の飯」ということわざが出てくる。何不自由なく満足である理想の生活という意味で、主人公は、"友人の奥本くんは「いつも月夜」みたいな生活を送るのだろうな"と考える。しかし奥本くんは決して「いつも月夜」ではなく、悩みという暗闇の中で今でも苦しんでいることを知る。 いつも月夜だなんてそうそう上手くはいかない。月が雲に隠されてしまうことだって、自分が月の光を見つけられない時だって、影に隠れたい時だってある。それでも私たちは歩くことができるし進むことができる。他の誰かや物が光になって道を照らしてくれることだってある。それでもやはりあなたの歩く道が月夜でありますように。いつも月夜ではないけれど、それでもあなたのそばに光があるように、歩いて行けるように、どうか。この祈りが込められた小説のタイトルが『いつか月夜』なのうますぎ。 夜に歩きたくなった。月夜ではなくて、周りが暗いと感じても、きっとこの本が私の光になってくれる。

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2024/10/02

夜のお散歩、良いなー。誰かと喋らなくても良いから誰かと。夜じゃなくても全然大丈夫だけど(笑) 塩田さんが登場人物のなかで1番好きだったな。あと、お母さんも。 ーーー印象に残ったーーー •みんな、軽率に良いこと言おうとしすぎなんだよ。人の悩みにアドバイスするってそんなに気持ちいいの...

夜のお散歩、良いなー。誰かと喋らなくても良いから誰かと。夜じゃなくても全然大丈夫だけど(笑) 塩田さんが登場人物のなかで1番好きだったな。あと、お母さんも。 ーーー印象に残ったーーー •みんな、軽率に良いこと言おうとしすぎなんだよ。人の悩みにアドバイスするってそんなに気持ちいいの?p31 •もう何者にもならなくていいって、自由だね。p229 •誰かに、他の誰かみたいに生きればいいのに、なんて、ひどい言いかたよ。あなたもわたしも、他人を変えることはできないp229

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2024/10/01
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

得体のしれない不安(「モヤヤン」)を抱え、父の口癖だった「善く生きろ」という言葉を頭に浮かべながら、「善く生きよう」とする實成冬至。 他人の言動に引っかかりを感じつつ、自分の弱さを自覚するがゆえに困難を覚えながらも善く生きたいと思う實成のモヤモヤに共感する。人のことを安易に決めつけてはいけない。

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2024/10/01

初読み作家さん。すごーく人気のある方だけど、こういう文章を書かれる方なんだ。素朴でユーモラス。仰々しくない。主人公みたいな真っ当な男性は男性からしたら面白みがないとおもわれるかもしれないけれどモテるよねー、などと考える。

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2024/10/01

寺地さんの描く青年は心優しくて、繊細な人ばかり。 今回の主人公、冬至くんも4兄妹の末っ子ながら、自分のことより人のことの心配ばかりしている。 毎朝、犬の散歩をしていると同じような犬仲間だけでなく、ご年配の方やジョギングする人たちに会う。みんな今日も一日頑張るぞと言った活気に満ち...

寺地さんの描く青年は心優しくて、繊細な人ばかり。 今回の主人公、冬至くんも4兄妹の末っ子ながら、自分のことより人のことの心配ばかりしている。 毎朝、犬の散歩をしていると同じような犬仲間だけでなく、ご年配の方やジョギングする人たちに会う。みんな今日も一日頑張るぞと言った活気に満ちたオーラを感じる。 逆にたまに夜遅く外に出ると、1日の疲れや嫌な出来事をクールダウンしているようにジョギングする人や歩いている人を見かける。薄暗さが心も体も休ませてくれるのかな。 でも、物騒な世の中、なかなか夜の散歩は難しい。 なんか今作、小野寺さんの『ひと』に雰囲気が似てる気がしたのは私だけかしら。

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2024/10/01

胸に広がるモヤヤンを抑えるために夜歩きに行く主人公。 同じようにそれぞれ漠然とした不安や悩みを抱きつつ生きる周囲の人達が歩き仲間に加わっていく。 それぞれ悩みを抱えながら、これでいいのかと問いかけながらも懸命に前を見て進んでいく登場人物達は、読んでいる私達自身のような気がした。...

胸に広がるモヤヤンを抑えるために夜歩きに行く主人公。 同じようにそれぞれ漠然とした不安や悩みを抱きつつ生きる周囲の人達が歩き仲間に加わっていく。 それぞれ悩みを抱えながら、これでいいのかと問いかけながらも懸命に前を見て進んでいく登場人物達は、読んでいる私達自身のような気がした。 だからこそ優しい寺地さんの文章で癒されて最後はぽっと心が温まったような読後感だった。 歩く道がいつも月夜とは限らないけど、人生そんなに捨てたもんじゃない。 また折に触れ読み返したい。

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2024/09/29

いつも いい彼女や いい妻や いい親や いい子で いなくちゃと思ってた。 より良い選択肢を選んで より良い道を進むべきだと思っていた。 たぶん今も 心のどこがでそう思ってしまう。 いい人でありたくて そう考えてしまう。 でももっと気楽に 散歩するようにぶらりと生きていってもいい。...

いつも いい彼女や いい妻や いい親や いい子で いなくちゃと思ってた。 より良い選択肢を選んで より良い道を進むべきだと思っていた。 たぶん今も 心のどこがでそう思ってしまう。 いい人でありたくて そう考えてしまう。 でももっと気楽に 散歩するようにぶらりと生きていってもいい。 夫が死去して 「さびしいにきまってると決めつけられても困る」と 主人公の親が言う。「さびしさは わたしのもんや」という。 そうだよね。 それでいい。それがいい。

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