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水たまりで息をする の商品レビュー

3.9

54件のお客様レビュー

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2024/05/28

ずっと気になっていた作品。 文庫化をきっかけに。 ある日、衣津実は夫が風呂に入っていないことに気付く。夫に問うと「風呂には、入らないことにした」と言う。それから夫は奇妙な行動をするようになり…。もしかして、今、夫は狂っているんだろうか。 読んでいる間、私が衣津実だったらどうしてい...

ずっと気になっていた作品。 文庫化をきっかけに。 ある日、衣津実は夫が風呂に入っていないことに気付く。夫に問うと「風呂には、入らないことにした」と言う。それから夫は奇妙な行動をするようになり…。もしかして、今、夫は狂っているんだろうか。 読んでいる間、私が衣津実だったらどうしていただろうと考えていた。夫を病院に連れて行くのだろうか、誰かに相談しているのだろうか…。読む前は不思議な設定に興味をそそられていたけれど、読んだ後、これは誰にでも起こりうる夫婦の物語だなと感じた。 ✎︎____________ もう絶対に嫌だ。この世にままごとみたいな生活がひとつでもあると思っているような人と話をするのは。生きていくのが大変じゃない人なんて一人だっていないと、気付いていない人と関わるのは。(P86) 夫婦は家族であろうという意志なしには、家族でいられない。(P129~P130) なんも大事にされとらんでも、生きていけるもんじゃねえ。(P140)

Posted byブクログ

2024/05/26

単行本が発売された時に気にはなっていたけど、手にすることはなかったので、文庫化の際に本作を手に取りました。社会的な枠組みから逸脱してしまう生きづらさと、それを支える妻の姿は考えさせられるものがありました。 本作は、急に夫が風呂に入らなくなることから物語が始まります。妻として、そ...

単行本が発売された時に気にはなっていたけど、手にすることはなかったので、文庫化の際に本作を手に取りました。社会的な枠組みから逸脱してしまう生きづらさと、それを支える妻の姿は考えさせられるものがありました。 本作は、急に夫が風呂に入らなくなることから物語が始まります。妻として、その行動の原因を探ったり、代替案を提示したりするがどうしても、夫が風呂に入ってくれない。そんな日が続くと次第に周囲の人や会社の人からも心配され、少しずつ周囲の目が冷たくなっていく。それとは対照的に夫は、雨や川で水浴びするといった常軌を逸した行動を取るようになるという物語。 本作では夫が風呂に入らなくなった原因については推察程度にしか書かれておりませんが、本作の例のように社会で生活を送る中で急にスイッチが切れてしまうことは誰にでも起きうることだと思います。そんな時に世間は本作のような「冷たさ」を見せることに、やるせなさを感じずにはいられませんでした。 息苦しくても生きるしかないという辛さが本作から伝わってきて、生きることの難しさを感じさせる一作だったかなと思います。

Posted byブクログ

2024/05/26

普通の定義は何なのか、生きてだけで呼吸が難しい世の中で、東京という都市で生きていく夫婦の物語です。東京で暮らす衣津実はある時期から 夫の研志がお風呂に入らなくなったことに気付く。仕事場からのストレスからなのか、病気なのか、義母から言われた一言、「あなたもおかしいじゃないのか。」都...

普通の定義は何なのか、生きてだけで呼吸が難しい世の中で、東京という都市で生きていく夫婦の物語です。東京で暮らす衣津実はある時期から 夫の研志がお風呂に入らなくなったことに気付く。仕事場からのストレスからなのか、病気なのか、義母から言われた一言、「あなたもおかしいじゃないのか。」都会の暮らし、都会の普通に疲れた二人は、彼女の地元に帰ることにした。 そこは、大きな川のそばに立つ彼女の祖母の家だった。 日常生活で感じる誰にも言えない悩みが如実に 溜め込んでいき、お風呂に入らなくなってしまう。それを病気の一言で片付けたら良くないと 思います。誰が好き好んでこういう状況になったのか、あまり比較したくないのですが、地方と都市での普通が違うことも大きく影響していると実感しました。周りの目線が大きく感じる都市と、自由な環境で、目線も少なく感じる地方とでは、 住み心地も違うのではないかと感じました。

Posted byブクログ

2024/05/22

感想 どこにも吐き出せないストレス。義理の親との関係。他人だが他人のように扱ってはいけない。だが近づきすぎてはいけない。気遣いに疲れる。

Posted byブクログ