川のある街 の商品レビュー
本作に流れる川は、3篇それぞれに出てくる主人公に寄せた、時の流れと共にある川です。 主人公たちは、第1話では両親の離婚で母の実家に暮らす小学生、第2話では烏たちの目とその土地に縁のある人々、そして第3話では認知症が進むレズの女性です。 どの短編も淡々とした語り口で、日常を丁寧...
本作に流れる川は、3篇それぞれに出てくる主人公に寄せた、時の流れと共にある川です。 主人公たちは、第1話では両親の離婚で母の実家に暮らす小学生、第2話では烏たちの目とその土地に縁のある人々、そして第3話では認知症が進むレズの女性です。 どの短編も淡々とした語り口で、日常を丁寧に描き、彼らを見つめる著者の目は温かいです。 物語の設定も、非日常のようでもあり、今はこれこそが日常なのかもなど、シニアの私には感じる場面が多々あります。 特に認知症が進行する女性の話は身近であり、心に沁みました。 お陰で、江國香織さんの作品を久しぶりにじっくりと味わい、楽しむことができました。
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淡々とした話で読みやすいが、どの話も特に盛り上がりがある訳でなく、訴えかけるものはないのかなと思った。
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ゆっくりとした時間を感じるような…そんな気持ちになる短編3話。 〈川のある街〉 両親の離婚で母親の実家の近くに暮らし始めた望子の8歳の目に映るもの。 望子ってこんなにもたくさんの人の言葉を感じているんだという驚き。 〈川のある街 Ⅱ〉 カラスが主人公か?と思って読み始めるも…...
ゆっくりとした時間を感じるような…そんな気持ちになる短編3話。 〈川のある街〉 両親の離婚で母親の実家の近くに暮らし始めた望子の8歳の目に映るもの。 望子ってこんなにもたくさんの人の言葉を感じているんだという驚き。 〈川のある街 Ⅱ〉 カラスが主人公か?と思って読み始めるも… 結婚相手の家族に会うために地方都市にやってきた麻美だが、彼女が最初に友だちになった女の子の母親は入院していて、そこには…彼氏の姉も。 ゆるゆると繋がっていく、これも縁。 〈川のある街 Ⅲ〉 ヨーロッパに移住した芙美子はパートナーを亡くしてから少し認知症気味で、様子を見にきた姪。 どんなに記憶が曖昧になっても40年以上も住めば、今更何処へ…となるのだろう。 人がその街で生きている。 その街が好きだから…というよりも自然と馴染んできたような、だから息吹を感じ川の流れを感じている。 慈愛を感じる物語。
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とりとめもない中編が3話。 読みやすいけど、 ここで終わるの?! って感じ。 ふわふわした感じで 3篇目は読むのをやめました。
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川をキーワードにした3篇を収録した短篇集。タイトル以外はまったく別の作品で、登場人物や場所も異なる。 1篇目は親が離婚した小学3年生の少女を主人公にした作品で、川のある街に住む少女の目から見た世界が綴られていく。2篇目はカラスが主人公(?)の話で、川はあまり存在感がなかったような...
川をキーワードにした3篇を収録した短篇集。タイトル以外はまったく別の作品で、登場人物や場所も異なる。 1篇目は親が離婚した小学3年生の少女を主人公にした作品で、川のある街に住む少女の目から見た世界が綴られていく。2篇目はカラスが主人公(?)の話で、川はあまり存在感がなかったような……? 3篇目はパートナーと海外に移住した女性の話。パートナーが早世した後もその地で暮らし続けているが、現在は認知症を患っている彼女の世界が描かれる。 うーん、よく言えば味わい深い、悪く言えばなんなんこれ? な本だった。まったく合わなかった。
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生きていくことは思いどおりになることは少ないのかもしれないし、等しく死にむかっていく虚しさ寂しさもあるけれど、だからこそ、それぞれの生はとても豊かなもので一個体一個体が他者からは不可侵のなにか大切な、大切とかそんな大袈裟ではではないにしてもその個体をその個体たらしめるものを芯の部...
生きていくことは思いどおりになることは少ないのかもしれないし、等しく死にむかっていく虚しさ寂しさもあるけれど、だからこそ、それぞれの生はとても豊かなもので一個体一個体が他者からは不可侵のなにか大切な、大切とかそんな大袈裟ではではないにしてもその個体をその個体たらしめるものを芯の部分に持ちながらただ生きる、その美しさを感じる本だった。
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ⅠとⅢ は良かった。特にⅢは 認知機能 衰えるとこうなんだろうなって まるで本人のような リアル感ある内容。面白かった Ⅱ は 読んでいても 中々 進まない印象。 カラス達の描写は興味深かったけど 江國さんワールドなのかな
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- ネタバレ
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江國さんだなぁ、と思いながら読んだ。2章、しがらみ、わかる…あれが、すごく怖いんだろうなって思った。逃げても無駄みたいな息苦しさ。三章が一番良かったけど一番苦しかった。
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読後感がとても良かった。 恋愛が描かれていない江國香織さんの小説。 女の子の話、カラスの視点で描いた話、外国の街で暮らす老女、と、舞台となる川のある街もバラバラ。 ただ、自分のそばに川がある。 川の流れで水がそこに佇むことはなく流れていくように、人々や生き物の暮らしも、穏やか...
読後感がとても良かった。 恋愛が描かれていない江國香織さんの小説。 女の子の話、カラスの視点で描いた話、外国の街で暮らす老女、と、舞台となる川のある街もバラバラ。 ただ、自分のそばに川がある。 川の流れで水がそこに佇むことはなく流れていくように、人々や生き物の暮らしも、穏やかでも、毎日同じ日は一度もない。 そんな事をやさしく、でも不安で淋しく伝えられた気がした。
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川のある街を中心とした短編小説。特に何かが起きるという訳でもなく穏やかな内容でした。淡々とした文章が続く中、そこの部分を掘り下げるのか、と。些細な変化や物事に気付かせてくれる一冊。
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