川のある街 の商品レビュー
小学生の頃に住んでいた町は、近くに川があったなぁ。祖父が泊まりにきては川へ釣りに出掛けていたことを思い出す。
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同じタイトルでⅠⅡⅢ3篇が収録されておりそれぞれ違う小説。 この著者の本を読むとしばらくの間影響を受け、文を書くとそれ風になってしまう カラスと人との視座が行き来する、生の悦びを感じるⅡ、異国で一人暮らす認知症の女性の現実と忘却を行き来する内面世界を描いたⅢがいい。 P80 「...
同じタイトルでⅠⅡⅢ3篇が収録されておりそれぞれ違う小説。 この著者の本を読むとしばらくの間影響を受け、文を書くとそれ風になってしまう カラスと人との視座が行き来する、生の悦びを感じるⅡ、異国で一人暮らす認知症の女性の現実と忘却を行き来する内面世界を描いたⅢがいい。 P80 「服が毎年着られなくなるのは子供だけだし、それでいいの。大きくなれるうちはなっておきなさい」と続けて、だだだだだ、と勢いよくミシンを作動させた。 P104 近づいてきたのは雄ガラスだった。無遠慮にも隣に並び、しなびたフライドポテトを一本彼女の足元に置く。さあおたべ、とでもいうように。彼女は困惑した。【中略】彼女はフライドポテトを一口かじり(油脂の、力の湧く味がした)残りをオスに返す。どういうわけか、そうするべきだと感じたからだ。オスはそれをくわえ、また彼女の足元に置いた。彼女は端をほんの少しかじり。彼に返す。そんなことを五、六度繰り返しただろうか。強烈な不安は静かな悦びに取って代わられていた。頭を低くして身を寄せてきた雄の首すじに、彼女はそっと嘴をさし入れる。くかかか、くかかか、と小刻みに嘴を開閉し、生まれてはじめて自分以外の個体の羽づくろいをした。 【中略】瞬膜が半分閉じられた彼女の目に、日ざしにあたためられたアスファルトが、鉱物混合色とでもいうべき色合いに燃え立つのが見えた。腐敗と荒廃の結果であるその地面が、今の彼女にはおそろしく美しく、生命力に溢れたものに見えるのだった。
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淡々とながれていく内容だったけど、Ⅲの章はリアルさがあった。 自分が主人公だったらどう思うんだろうと考えながら読んでいました。
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ゆく河の流れは絶えずして、しかも、もとの水にあらず。『方丈記』の一節のような、無常観を記した本だった。 読むにつれて、川のそばに住む人々とその暮らし、思い出が、自分の記憶として住み着いた。皆少しずつ変わっていくのに、自分だけが同じ場所に留まっている心許なさと、自分が望んで居たい...
ゆく河の流れは絶えずして、しかも、もとの水にあらず。『方丈記』の一節のような、無常観を記した本だった。 読むにつれて、川のそばに住む人々とその暮らし、思い出が、自分の記憶として住み着いた。皆少しずつ変わっていくのに、自分だけが同じ場所に留まっている心許なさと、自分が望んで居たい場所にいるのだという安心感。そのふたつは両立するのだと、「川のある街Ⅲ」の芙美子の心に触れて気がついた。過ぎ去った遠い昔のことだけが今はやけに鮮明で、慌ただしかった今日も、夕食のメニューさえ思い出せない昨日も、未来の自分が思わず目を細めてしまうようなかけがえのない日々なのだろう。
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相変わらずずっと情景が思い浮かぶ作品が良かった 途中までは二番目が良かったが読後感は3番目が素敵 認知力が落ちる中でそれを受け入れて生きていく芙美子という人間の魅力がよくでてた
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淡々とした話で江國さんらしい文章を楽しめました。 特にⅢの異国で老いていく女性の話はこういう生き方もあるのかと心に残りました。 外国で暮らしてみたいなぁとか江國さんの小説読後は憧れのようなものを感じちゃいますね。
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3つの物語から構成されている 川の近くに住む子どもは 親の離婚で場所は変わるが いつも近くには川があった 最後のフランスに住む高齢で 同性愛者の叔母の話が面白かった 日本の生きにくさ 理解の無さにフランスへ渡り パートナーとともに生活する 2つ目の話は 何をいいたいのかわから...
3つの物語から構成されている 川の近くに住む子どもは 親の離婚で場所は変わるが いつも近くには川があった 最後のフランスに住む高齢で 同性愛者の叔母の話が面白かった 日本の生きにくさ 理解の無さにフランスへ渡り パートナーとともに生活する 2つ目の話は 何をいいたいのかわからなかった なぜここにカラスが出るのか わからなかった パートナーは亡くなり やや認識も怪しい所がある しかし日本に帰るかと問われても NOと答える カッコいい
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2024/6/21 江國ワールドが薄かった気がする! 最後の外国で一人暮らしをしているおばあちゃんの話が好きだった。
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読後のインタビューによると、江國香織さんは、今回、川のある街をテーマに100枚の作品と決めて書いているそう。かつ、江國香織さんぽくない街や川だなと思ったら、思い入れのない街を描いたとあり、納得。 江國香織さんは、恋愛小説のイメージがあるが、子供が主人公の短編は、自分にもあった幼少...
読後のインタビューによると、江國香織さんは、今回、川のある街をテーマに100枚の作品と決めて書いているそう。かつ、江國香織さんぽくない街や川だなと思ったら、思い入れのない街を描いたとあり、納得。 江國香織さんは、恋愛小説のイメージがあるが、子供が主人公の短編は、自分にもあった幼少期の心の澱のような感じに共感したが、江國香織さんは、心の揺れ、孤独をテーマにしていたそう。 毎回チャレンジしているという話にリスペクト。 でも、長編の方が好きかな。 以下抜粋 https://note.com/asahi_books/n/nab2c1436c85e 最近、登場人物が多くなり野放しになっていたが100枚というボリュームはちょうど良かったのかもしれない。 たしかに思い入れのなさは大事だったかもしれません。好きな街、訪れたことがある場所だと、どうしてもイメージが自分のなかにできあがってる状態で書くことになりますから、自分には関係のない街、でも登場人物たちにとっては思い入れのある街を書くということが今回の試みでした 自分では相変わらず同じような書き方をしてるなって思ってるんですが、気づいたら登場人物がやたらと増えていました。増やすだけ増やして、野放しにしていると言いますか(笑)。その感じが加速してますね、最近は。 きっと原稿用紙換算で一〇〇枚の作品を三つ書くことがポイントだったのではないかなと思います。長編小説に取りかかるときって、ボリュームを決めずに書きはじめるものですから、世界を際限なく広げることができますよね。だけど、今回は一編の枚数が一〇〇枚と決まっていたので広がりすぎることはありませんでした。 「みんな似たような経験をしたことはあっても、わざわざ言うほどのことじゃないですよね。私も小説にするまで言葉にしたことはなかった」。わずかな心の揺れ、迷い、寂しさ、切なさ、照れくささが、言葉になって立ち現れる。 もしかするとさっきのコンセプトが嫌いっていうのは、「臭」のないものを書くというコンセプトへの憧れの裏返しなのかもしれませんね。 小説についてはいつも孤独という言葉で考えていますね。ただその孤独は幸・不幸とは関係のないものです。人間って、突きつめればみんな孤独でしかありえない存在じゃないですか。恋愛はそんな私たちに孤独じゃないと錯覚させてくれるもののひとつなんですよね。孤独な人間が孤独ではないと感じる、あの強烈な一瞬を恋愛は与えてくれる。それが面白いですよね。
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川のある街での3つの日常 1.別居した父と会う小学生。子供と大人で時間の流れが違う。 2.入院中妊婦。大人の迷子。 3.オランダ。席を譲ろうとして老人に酷い事言われたら腹立つが…。主役は認知症老人。
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