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東京都同情塔 の商品レビュー

3.4

391件のお客様レビュー

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    55

  2. 4つ

    105

  3. 3つ

    144

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2024/02/21

犯罪者に同情するかみたいなテーマだと思ってたけど、全然違った。 現代社会とその中で生きる人間への批判というか皮肉。情報が溢れる、便利になっていく世の中。AIという最強のアイテムを手に入れて神に近づいていく人間への警鐘。 ボーダレスで多様性、境界線がなくなった世界での自分らしさとは...

犯罪者に同情するかみたいなテーマだと思ってたけど、全然違った。 現代社会とその中で生きる人間への批判というか皮肉。情報が溢れる、便利になっていく世の中。AIという最強のアイテムを手に入れて神に近づいていく人間への警鐘。 ボーダレスで多様性、境界線がなくなった世界での自分らしさとは。「日本に建つこのタワー」を、「日本で生きる自分」と捉えた時に、自分はどう生きてけばいいんだろうって思った。 この塔が現代版バベルの塔なら、最後は倒れる。 過去の芥川賞作品の「ニムロッド」的な無機質な怖さがあった。 主人公マキナが、頭の中でいろんなことをぐるぐる考えて発言するのがおもしろい。言葉について、言語について、言語化について。生きていくためには、論理や計算より先に言語化が必要。口が上手い人がこの世を回してるんだ、みたいな部分があったけど本当にそうだと思う。 思ってることを口に出さずに我慢してる人も、自分が伝えたいことを外に出さずにあきらめてる人も実際この世にたくさんいる。口が上手かったり発信力があるだけで、その意見がマジョリティーみたいになることもたくさんある。 自己評価と他者評価。 評価されること批判されること。 「人間=塔」と考えるなら、評価されながら生きていくのはしんどいけど、集団の中にいるならやっぱり評価されながら生きていくしかないし、自分だって誰かを評価してるよなあ。 勝手に評価されていろいろ言われて。じゃあやっぱりこの時代にこんな世の中で、どんな人間になればいいんだ?と考えてしまったなあー みんな自分の中に検閲者がいて、でもその検閲者はその人によって気にするところが違う。 レミゼの話が出てきた。 実際にこんなタワーが建ったら反対してしまうかなと思ってたけど、レミゼでジャンバンバルを改心させた神父になりたいと思ってる私は、東京都同情塔に大賛成するべきなのかな。うーん。取材を受けながら同情塔について爽やかな笑顔で話す拓人に、違和感を覚えた。 エンディングまじで意味がわからんかったけど、なんとなく暗い未来な気がした。 拓人がAIに同情してて、そんな拓人に逆に同情した。 p3バベルの塔の再現。シンパシートーキョータワーの建設は、やがて我々の言葉を乱し、世界をばらばらにする。ただしこの混乱は、建設技術の進歩によって傲慢になった人間が天に近付こうとして、神の怒りに触れたせいじゃない。各々の勝手な感性で言葉を濫用し、捏造し、拡大し、排除した、その当然の帰結として、互いの言っていることがわからなくなる。喋った先から言葉はすべて、他人に理解不能な独り言になる。独り言が世界を席巻する。大独り言時代の到来。 p26 私は陸上生物であるところのヒトを「思考する建築」「自律走行式の塔」と認識している。 p86そしてなぜか僕は、文章構造AIに対して憐れみのようなものを覚えていた。かわいそうだ、と思っていた。他人の言葉を継ぎ接ぎしてつくる文章が何を意味し、誰に伝わっているかも知らないまま、お仕着せの文字をひたすら並べ続けていかなければいけない人生というのは、とても空虚で苦しいものなんじゃないかと同情したのだ。けれどもちろんAIには、苦しみも喜びも人生もなく、傷付くこともないのだから、別に意味のない同情だ。人間だからといって誰しもが難なく言葉を扱えるというのでもないけれど、少なくとも人間は喋りたくないときには黙ることができる。

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2024/02/20

少しSFっぽい作品だと思っていたが全然違かった。ページ数に対して文字がびっしりと書いてあるので読むのに時間がかかり、理解するのも時間がかかった。チャットGTPを使ってかいた斬新な作品。犯罪者に同情できるか。犯罪者に楽園のような場所を与えるのはどうなのか、と私は思ってしまった。でも...

少しSFっぽい作品だと思っていたが全然違かった。ページ数に対して文字がびっしりと書いてあるので読むのに時間がかかり、理解するのも時間がかかった。チャットGTPを使ってかいた斬新な作品。犯罪者に同情できるか。犯罪者に楽園のような場所を与えるのはどうなのか、と私は思ってしまった。でも同情されるべき人はその辺の刑務所に入るべきでないという考えは私にはなかったので新しい考えであった。カタカナ語については作品内でもあったように最近何でもかんでもカタカナにすれば良い風潮がある気がする。

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2024/02/20

読み終わるまで時間がかかり、少し難解なところもありました。常時主人公視点で物語が展開するわけではなく、友人の男性であったりインタビューアの外国人であったりとさまざまな人の視点に切り替わり、物語が進んでいきます。そのため、切り替わるときにこれは誰の視点だろうか?と一瞬戸惑うことがあ...

読み終わるまで時間がかかり、少し難解なところもありました。常時主人公視点で物語が展開するわけではなく、友人の男性であったりインタビューアの外国人であったりとさまざまな人の視点に切り替わり、物語が進んでいきます。そのため、切り替わるときにこれは誰の視点だろうか?と一瞬戸惑うことがありました。 主人公の考えや話し方の傾向が、分析的でかつ客観的。なのに伝えようと言語化すると回りくどく表現されているのが印象的です。 読み終わった最初の感想として、言葉と行き過ぎた配慮がテーマになっているのかな?と感じました。 物語の要所要所でAIと会話をする所があるのですが、内容が現在のAIでも答えそうな配慮がされているが視点がずれている、平等性を突き詰めたような内容となっているのが、今の世相を映しているようでした。 相手に配慮するが故に新しい言葉が生み出され、しっくりこなかったり意味が曖昧となっていたりという事もまた、現実の世界でもよくある内容だなと感じました。そして相手とのコミュニケーションで齟齬が生じていくのも、よくある事です。これは言葉の意味にどれだけ重きを置いているかの違いなのでしょうか。 もっと言葉について学んでから再読してみようと思いました。

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2024/02/19

読み始めて数頁で、直木賞でなく芥川賞だなと思った。 夕木春央さんの『方舟』の後だから尚のことそう強く感じた。(こちらは大衆小説) 言葉で生み出す物語。言葉の意味や言葉と文章だからこそ生み出される世界。映像では表現できない小説。 非常に興味深く、非常に面白かった。 現代社会と今...

読み始めて数頁で、直木賞でなく芥川賞だなと思った。 夕木春央さんの『方舟』の後だから尚のことそう強く感じた。(こちらは大衆小説) 言葉で生み出す物語。言葉の意味や言葉と文章だからこそ生み出される世界。映像では表現できない小説。 非常に興味深く、非常に面白かった。 現代社会と今の日本人をディスった作品。 形を変え、比喩を使い、批判している。 共感するところが多かった。 私の場合、旦那さんが一級建築士で建築に近いから読みやすかったというのもあるかも知れない。 批判する作品だからと言って登場人物が真っ当でないのが良い。 それぞれに偏りが大きいから誰が正しいとか何が正しいとかを押し付けない。 現代社会を誇張して提示するだけ。 … … … こういう考えさせる小説を読んでいる時は読みながら別の事を(別の文章を)考えてしまう。 例えば、人が必ず死ぬように建築物は必ず倒れる、という文章を目にして、私の頭の中には何故かガウディのサグラダファミリアが想起される。そして、実際に中に入るまではちょっと馬鹿にしていたこと、しかし入ってみたら全く想像と違ったこと、感じたことのない感情を抱き震えたこと、等々が次々と頭の中に流れる。 先の文章は最後の方に出てくる言葉で、そのフレーズにはそこに至るまでの色々が含まれている。建築について、美について、その他諸々がその文章の中には含まれていて、それを踏まえて私はサグラダファミリアを思い出す。 そんな感じで、読みながら色々なことが脳内に浮かんだ。

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2024/02/19

SNSで顕著だが、「この人はいったい何を言っているんだろう?」「何が言いたいのかさっぱりわからない」「日本語ということは確かなのに内容だけがわからない」というような言葉を目にする耳にする機会が増えた気がする(物語に登場するホモミゼラビリスという概念の提唱者マサキ・セトと彼の家への...

SNSで顕著だが、「この人はいったい何を言っているんだろう?」「何が言いたいのかさっぱりわからない」「日本語ということは確かなのに内容だけがわからない」というような言葉を目にする耳にする機会が増えた気がする(物語に登場するホモミゼラビリスという概念の提唱者マサキ・セトと彼の家への侵入者との、お互いの言っていることが一つも理解できない議論という描写が象徴的だ)。著者はそれを、銘々が自分勝手な感性で言葉を濫用し捏造し拡大と排除を繰り返し、会話が成り立たなくなった大独り言時代とし、それを神の怒りから人類が会話ができなくなった象徴としてバベルの塔の挿話になぞらえた冒頭から一気に惹きこまれる。コミュニケーション不全の時代をテーマにした作品は数多くあるが、そもそも論として言葉と意味の乖離に着目した点は新しいかも。本来は何かの意味を示す言葉が、かえってその濫用される言葉で対象の意味からどんどん離れ無意味化してしまっているのではないか。バベルの塔のエピソードさながら、この作品もそういう寓話なんだと思う。着想のきっかけは著者曰くAIが発する言語への違和感ということだが、たぶんAIの記号設置問題(AIはトマトを説明するのに「赤い」「丸い」「野菜」のように記号を無限にイコールで結ぶことができるだけで、人間が身体感覚を通じてトマトを認知するようにはトマトというものを認知することはできない、という問題)のことかと思う。さももっともらしい人間のような言語を操るがその意味を理解しているわけではないことは、実際ChatGPT(本作ではAI built)を使用していると、たまにギョっとするほど見当違いのことを言う体験をすることで思い知る(それ違うじゃん、とつっこむと、もっともらしい言い訳をするのも気持ちが悪い。おそらく日に日にそういうボロが出なくなるのだろうが、だからといってそれはAIが何かをわかるようになるということではない)。この物語は、受刑者は犯罪者として懲罰を受ける対象ではなく犯罪を犯さずにいられなかったことを憐れまれるべき存在「ホモミゼラビリス」だというコンセプトで建てられる刑務所を建てる意味を考えるのだが、言葉に翻弄されるだけでどうしてもその刑務所を建てる意味にたどりつけず、結局実体の意味から乖離した巨大な「無意味な建築物」を作ってしまう建築家の話なんだと思う。牧名沙羅(マキナ・サラ=機械の王女)という建築家は名前のとおりAIの見立てであって、これから建てられようとする建築物を「そんな建物を建てるのは無意味だ」と審判できない(認知できないAIは物事の正誤、善悪、優劣を判断できない)人物の姿を通して、意味が剥離した言葉を交わす現代のわれわれの認知機能を失いつつある姿を風刺したもののように感じた。なぜ主人公の職業に建築家を選んだのかと考えたら、建築家というのは、本来何も意味のない空間に「入口」とか「憩いの場」とか「導線」とか、言葉(=意味)を与える仕事だからなのかな、と思ったりした。

Posted byブクログ

2024/02/19

芥川賞受賞作品。 毎年読んでいるが、本作品も上手く現代の人、物事について、書かれている。タブレット操作の描写も容易に目に浮かび、生成AIの独特な文体が特徴的。 最初は、罪人への同情、社会への言及というあたり、平野啓一郎の票集めでは?などと思ったが、読み進めているうちになるほど、...

芥川賞受賞作品。 毎年読んでいるが、本作品も上手く現代の人、物事について、書かれている。タブレット操作の描写も容易に目に浮かび、生成AIの独特な文体が特徴的。 最初は、罪人への同情、社会への言及というあたり、平野啓一郎の票集めでは?などと思ったが、読み進めているうちになるほど、言語と共生する私たちの実態について記されていた。 私たちは、言葉を考えることで思考を形成しているようである。言葉がなければ生まれない感情もあったはずだ。 巷ではよく、話すことで思考が整理されるというが、実は元来内部に持っていなかったことまで言葉にしているのではないか。その言葉を発して、自分に突きつけることにより、思考を形成する。言葉にすると後戻りすることはできない。 だから私たちの中には、必ず言葉の検閲者がいる。言葉を制しながら思考を分解しないと、どうも間違えてしまいやすいため、発するまでには慎重な検閲が必要。 言葉は単純に相手にして欲しいことなどが伝われば満足。解像度100のまま言葉に表現するのはほぼ不可能であり、 言葉は相手の解釈により形を容易に変えるので、理解も誤解も差はないと。 言葉を単純に記号として捉えることができれば、更に言うと言葉を捨てることができれば私たちは天上の人になる。しかし、言葉がある限り、私たちは考えなければならない。自己存在への疑念も、幸福も不幸も、罪も。 …難解でした。これもただの私の解釈であり誤解かもしれない。ただ、久しぶりに新しい発見があり、読了後しっかり余韻に浸ることができました。

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2024/02/25

作者の人同い年だ〜〜!!読みた~〜い!!ってなって購入。 一時期売り切れてたけど電子で小説読むと目が滑っちゃうから紙で待ってた。そのうち近所の本屋も入荷してくれた。よかったね。 すんごい考えてる人が主人公で、頭ん中でめっちゃ喋っててかつ実際にもめっちゃ喋ってるのがおもしろかった...

作者の人同い年だ〜〜!!読みた~〜い!!ってなって購入。 一時期売り切れてたけど電子で小説読むと目が滑っちゃうから紙で待ってた。そのうち近所の本屋も入荷してくれた。よかったね。 すんごい考えてる人が主人公で、頭ん中でめっちゃ喋っててかつ実際にもめっちゃ喋ってるのがおもしろかった。 美しい若い男こと拓人くん、私は廣瀬大介で想像しながら読んだ。廣瀬くんは三十代だけど私の中の拓人くんは彼だな。 犯罪者はなぜ犯罪者になるのか、というテーマは興味のあることなのでおもしろかった。 私は今も「自分がいつ犯罪者になるのか分からない」と思って生きている。中学生の時友人と将来の夢について話しているとき、「人に迷惑をかけない仕事がしたい」と言うと「人に迷惑をかける仕事ってなに?」と問われた。「オレオレ詐欺とかの電話する仕事とかさ」と返すと不思議な顔をされて、「そんな仕事しなくない?」と言われたけど、そんなの分かんないじゃんと本気で思っていたし、今も思ってる。 どっちに転ぶか分からない、ずっと。気を引き締めて生きていかないと。 生まれた時から「そっち寄り」の人生だった場合、それを修正するのはとても困難で、そんな困難を乗り越えてきた人たちは「努力することによって自分自身で人生は変えられる」とか言うんだろうけど、そういうのやめろよと思ってしまうんだよな。かといって更正も難しい。善悪が伝わらないことも多い。善悪とかじゃなくて快・不快で物事を決めてる人も多いから。 東京都同情塔がもし建ったら、私はそこを見上げるんだろうか。視界に入れて何を思うんだろう。風景にしか思わないんじゃないだろうか。刑務所の横を通る時もあんまり何も思わないから。

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2024/02/18

平等とは何か。更生とは何か。 生成AIが台頭する現代とこれからの日本の行末や価値について考えさせられた。 現代の日本は昨日までの価値観が今日異なるものになる可能性、1年前に許されていたことが、許されない世間の感覚、憲法や法が変わったわけでもないのに、つぶやきや一部の発言から政治...

平等とは何か。更生とは何か。 生成AIが台頭する現代とこれからの日本の行末や価値について考えさせられた。 現代の日本は昨日までの価値観が今日異なるものになる可能性、1年前に許されていたことが、許されない世間の感覚、憲法や法が変わったわけでもないのに、つぶやきや一部の発言から政治だけでなく世界が変わる可能性がある今、自分は何を大切に、何を信じて生きていけばよいのかについて考えさせられた。

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2024/02/18
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※このレビューにはネタバレを含みます

「ザハ・ハディドの設計が現実になった東京」「2020年にオリンピックが開かれた東京」という世界観が、現実との間に絶妙な距離を感じさせる。現実味はあるが、現実ではない、でも架空とは言い難い。 全体を通して、薄く淡々とした表現、偏らないように複数視点の取り上げ、何も残らないような読後感... 本を読むと自ずと作者のメッセージや思想を感じるが、この本は「多様性への配慮が行き届いた文学」「綺麗に検閲が入った文学」の入り口を感じた。作者の狙い通りなのだろうか。読み取れていないだけだろうか。 サラは考えるのを止めない、ある種「抵抗者」であり、意志の力を発揮する人間として書かれる。対照的に、タクトや塔の中の人は思考と言葉を放棄し、社会に適応して生きていく。だから、サラは欲望に負け、後悔をするし、タクトは無感情のように見えるのか?私が一番共感したのはマックス。共感してしまったという方がいいかもしれないが。 脳内に検閲者がいる感覚には共感。もはや、自分が真に信頼できる人間数人を除いて、自分の感じたことをそのまま伝えられる人はいない。感じてしまうこと・思ってしまうことは止められないのだが、「社会的に不適切」のフィルターが多すぎて、外に出せない。 SNSなどを通した表現は、綺麗ごとを言う意味が感じられず、しかし綺麗ごと以外を発するリスクが多すぎて、結局辞めてしまった。 度々出てくる「言葉が通じなくなる」という言葉から連想したのは、多様な趣味や嗜好を持つ人同士が繋がれるようになったが、そのコミュニティは閉じたバブルのようなもので、いずれバブル間ではコミュニケーションが取れなくなっていく世界。 読み終わって感じたのは「このような世界は嫌だな」という拒否反応。優しくもない感想し、もっと感じたことはあるけど、それこそ言えないなぁ。

Posted byブクログ

2024/02/16
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※このレビューにはネタバレを含みます

次から次へと浮かぶ豊富な連想が、豊かな言葉とテンポの良い文章に込められて、深く掘りつつスピード感のある小説だと感じた。ただ色々込められすぎてて、膨大な言葉の洪水のなかで、「読者である自分」の中では消化不良な部分もあった。 ザハの国立競技場が実現していた世界が描かれ、実現しなかった世界にいる自分がパラレルワールドにいるような奇妙な感覚。現実をひっくり返して幸福な場所となる東京都同情塔も、またパラレルワールドだ。 正直作者が何を伝えたかったのかはわからないが、言葉の捉え方も、世界の捉え方も、簡単に反転しうるものであり、そうした不安定なものを表現した小説のように自分には思えた。 共感などは感じなかったが、普通のものとして、普段眺めている世界をひっくり返したくなるパワーを感じた。

Posted byブクログ