一線の湖 の商品レビュー
前作で克服したはずの母親の死を、今だにひきずっている主人公。 本作でもそこから立ち直ることが大きな課題になっている。 読み始めて、「え、またそこからなの」と思うが、作者的には、まだ救われていなかったんだろうなと納得。そのど暗い落ち込みようから、亡き母をしのぶ人たちとの出会いの中で...
前作で克服したはずの母親の死を、今だにひきずっている主人公。 本作でもそこから立ち直ることが大きな課題になっている。 読み始めて、「え、またそこからなの」と思うが、作者的には、まだ救われていなかったんだろうなと納得。そのど暗い落ち込みようから、亡き母をしのぶ人たちとの出会いの中で、立ち直っていく姿が感動的。また、ぽっとででいきなりその才能を認められた主人公と、努力を続けながらも父である先生に認められないヒロインとの間の確執が、ほどけていく様もとても説得力をもって描かれている。 彼が使っていた筆を、ヒロインが折ってしまうエピソードが特に良かった。
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「線は僕を描く」から2年後。 大学3年生になり、将来を決める時期になりました。 過去と向き合い未来に繋げ今を生きる、タイトルが効いている一冊でした。 途中で何度も涙ぐみながらも、あっという間に読んでしまった。もっと噛み締めて読めば良かった。 永くゆっくりと大切にしたい。
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何度も涙しながら読む。 水墨画の素晴らしいイメージがあふれていました。揮毫を見てみたいと感じた。 そして子供っていいな。
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「線は、僕を描く」の続編を読みました。 どの様な続編かなと手を取りまして、読み始めた序盤の展開からマジですかと言う思いでかなり驚きました。 ラストの終わり方も凄く良くて、感動しました。
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「線は、僕を描く」の続編になります。 前作から2年の年月を経て、主人公の青山霜介は大学3年生になっており変わらず水墨画を描いていはいたが、大学卒業後の進路を見いだせないでいた。湖山の孫の千瑛は、メディアに出演するなど活躍の場を広げていた。ある日、小学校の水墨画教室を任せられ...
「線は、僕を描く」の続編になります。 前作から2年の年月を経て、主人公の青山霜介は大学3年生になっており変わらず水墨画を描いていはいたが、大学卒業後の進路を見いだせないでいた。湖山の孫の千瑛は、メディアに出演するなど活躍の場を広げていた。ある日、小学校の水墨画教室を任せられることになった霜介、その小学校は母が亡くなる前に勤務していた小学校だった…。 「誰かにダメって言われても、自分が素敵だと思ったものを信じなさい。そこにあなたの宝物が見つかるから。あなたにしか見えない宝物がこの世界にはたくさんあるから」 やっぱり2作品読んでも、水墨画の世界はつかめなかった(汗)。そして、そうなるんだろうなぁ~と薄々感じていた通りのストーリー展開になってました。上記の文章は、霜介の亡き母が霜介によく言い聞かせていた言葉ですが、いいなぁ~って思ったのでここにレビューとして残しておきたいと思いました。霜介自身が素敵だと思うことを見つけ信じられるようになり、宝物を見つけたこと、よかったと思いました。
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※ 水墨画の師匠、そして弟子たちの 絵と共に歩む生き様を描いた物語。 道を極めようと悩み、もがき、時には迷い、 試行錯誤しながら一心に努力する姿は眩しくて 切なくなるほど。 水墨画のイメージとしては、白と黒、 黒色の濃淡、静けさでしたが、力のある人が 描くとまるで生きているか...
※ 水墨画の師匠、そして弟子たちの 絵と共に歩む生き様を描いた物語。 道を極めようと悩み、もがき、時には迷い、 試行錯誤しながら一心に努力する姿は眩しくて 切なくなるほど。 水墨画のイメージとしては、白と黒、 黒色の濃淡、静けさでしたが、力のある人が 描くとまるで生きているかの様にいきいきと動き、鮮やかな色彩までが表現される様子は とても美しかった。 余白があることで白と黒の両方が活きるのは なんとなく想像がつくのですが、描かないことで 描くべきことがより雄弁に語られるという発想は、計算された足し算と引き算とは違っていて、 いかにも感性なんだなと思いました。 更には、一つの線が時間も空間も超えて 人と人の関係性や絆にまで話が繋がった点は スケール大でした。 話中にたくさん出てくる筆を動かす描写や 所作の表現がとても細かくて独特なので、 動いている様子を想像するのに戸惑うほどでした。
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結末に向かって丁寧に過程が描写されていたことで、最後の場面が目の前に絵や風景があるような文章力だけでなく歴史を感じる、特に印象的な場面にになっていて面白かった。
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待ちに待った『線は、僕を描く』の続篇 前作で水墨画は「線」の芸術と知り、その奥深さにただただ共鳴しました。 あれから、2年が経ち、更なる岐路に立つ 大学3年、卒業後、水墨の世界で生きるのか、それとも別の生き方を見つけるのか 時間だけが過ぎ、心は焦るばかり、何がしたいのかも...
待ちに待った『線は、僕を描く』の続篇 前作で水墨画は「線」の芸術と知り、その奥深さにただただ共鳴しました。 あれから、2年が経ち、更なる岐路に立つ 大学3年、卒業後、水墨の世界で生きるのか、それとも別の生き方を見つけるのか 時間だけが過ぎ、心は焦るばかり、何がしたいのかも分からず、描き続ける日々… 師匠からは、筆をおきなさいと言われ、それも素直に受け入れることができず、悶々としていた。 そんな折、兄弟子に代わり、急遽、小学一年生を相手に水墨画を教えることになる。 子供たちとの出会いを通じて、向き合う自分の過去と未来、そして、師匠から託された「あるもの」… 文章を読み進め、想像する楽しさ、難しさ、墨一色で、さまざまな濃淡や掠れ、裂け、止め、撥ねなどを駆使して描き出す画面、是非、答え合わせがしたい作品でした(笑)
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「僕は、線を描く」の続編。 前作が良かったので今作も期待しながら読んだ。 レビュアーさん方の評価が高い中もうしわけないが、私にはちょっと辛い話だった。 これは私の今の環境や心身状態によるので、もっとコンディションの良い時に読めば良かったかも知れない。 湖山賞公募展で翠山賞を受賞...
「僕は、線を描く」の続編。 前作が良かったので今作も期待しながら読んだ。 レビュアーさん方の評価が高い中もうしわけないが、私にはちょっと辛い話だった。 これは私の今の環境や心身状態によるので、もっとコンディションの良い時に読めば良かったかも知れない。 湖山賞公募展で翠山賞を受賞して二年、大学三年生になった青山霜介。 湖山門下でも中堅クラスになって知られる存在になったのかと思えば、やっていることは前作と変わらないような。むしろ斉藤が抜け、千瑛は水墨画の宣伝のためにメディア露出が多くなり、そのしわ寄せが西濱と霜介に一気に来ている。 そんな中始まった揮毫会。湖山先生の指示で第一筆は霜介からと決まるのだが、もう雰囲気からして上手く行かない予感しかない。 すると案の定…もう見ていられない、というか読むのが辛い。 更に湖山先生から『筆を置きなさい』という厳しい言葉。 その後、西濱のヘルプで小学生たちに水墨画を教える授業をすることになった霜介だが、そこで水帆ちゃんやゲンキくんを始めとする子供たちや教師たちとの素晴らしい出会いが待っていた。 何と霜介の亡くなった母親はその小学校で教師をしていたという。どおりで霜介も教え方が上手い(?)。本人はまったくそう思っていないようだが。 前作でも思ったが、霜介の周囲には悪い人は出てこない。揮毫会の一件で陰口をたたく者はいるが、そういうのは無視していい。 これで霜介も少し上向いてきた?とホッとしていたらまた…。 作家さんはどれほど霜介を辛い目に遭わせるの…と辛くなってきた。 前作の序盤のようにすっかり殻に閉じこもってしまった霜介を読むのは本当につらかった。 勿論これで終わりではなく、ここからどう物語が盛り上がっていくかというところが肝なのだが、現実世界に目を向ければ芸術の世界であれスポーツの世界であれどんな世界であれ、こうやって才能ある人が諦め去っていくことってたくさんあるのだろうなと哀しくもなった。 霜介の場合は湖山先生始め門下の面々や大学の友人たちや、ずっと見守ってきた叔父夫妻や、そして今回初めて触れた亡き母の思いなどで再び前を向くことが出来た。 湖山先生の『筆を置きなさい』の言葉やボロボロに使い古された筆を託された意味も明かされる。 やはり霜介は才能あふれる人だった。 一般的には斉藤くらい極めた人が一旦『筆を置』くものだと思っていたが、霜介はすでにそういう領域に来ていたということか。 クライマックスは湖山先生最後の揮毫会。 先生が主役なので当たり前だけど、結局全部持って行っちゃった。こういう一見好々爺としたおじいちゃんがいきなり格好良くなるのは堪らない。 最後の霜介の決断。腑に落ちたような落ちないような。でもまだ若いのだしいろんなことを経験するのは良いだろうと思う。私自身、経験値の少ない人生を送ってきたのでこういう色んな選択肢がある人が羨ましい。
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筆先から生み出される「線」の芸術、水墨画。それを題材にしたデビュー作「線は、僕を描く」は、あの漫画「BLUE GIANT」同様に、紙面上で描く筆の穂先の音が聞こえるかのような、痛烈な印象を私に残してくれました。 さらに映画化されたので、第2弾の本作も気になって読み始めました。 ...
筆先から生み出される「線」の芸術、水墨画。それを題材にしたデビュー作「線は、僕を描く」は、あの漫画「BLUE GIANT」同様に、紙面上で描く筆の穂先の音が聞こえるかのような、痛烈な印象を私に残してくれました。 さらに映画化されたので、第2弾の本作も気になって読み始めました。 本作では主人公が進路に悩む姿と、水墨画を通しての生き方に焦点が当てられていました。 最近の小中高等教育で取り入れられている、外部講師による体験的授業が、本作の主人公にとっても、授業を受けた子どもたちにとっても、相乗効果があり、未来への道筋が見えてくる辺りは、著者もご経験があるのではと感じました。 私も学校現場に勤務していたことも経験もあり、子どもからもらうパワーの大きさ、素晴らしさは、我が子以上に感じました。 続編というのは、第1作が評判になる分、期待度が大きくなってしまうのは仕方がないと思います。 水墨画が描かれる場面は、前作同様迫力がありますが、映画化されたため、それを見てしまい、今回は前作ほどの驚きがなかったことは残念でした。私の場合は、小説が産む想像力を映画化が削いだ結果になったみたいです。 全体的にはよくまとまった仕上がりの作品なので、多くの方が高評価のようです。
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